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異世界鉄道  作者: 山川 ぼっか
ここは二ホン??
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母親探しの結末

 なぜなのだろう。あの後、結局一軒一軒、全ての店を回らせられ、最後の店まで来てしまったのだ。しかも毎回毎回交換条件という名の詐欺にあってきた。しかも商品が毎回同じ物。あの、温泉がないのに温泉まんじゅうを買わされるのだ。そんなにいらないのよ。形だけのお土産は。

 ここまでいくら使わされたのかは分からないが誰がなんと言おうとここが最後のお店なのである。ここで終わりなのだ。


「はあ、はあ。やっとここで最後か。何件回らせるつもりだよ」

「だ、大丈夫ですよー。ここで最後ですから!」


 女の子は最初にあったときとは印象がとても変わっていた。引っ込み思案で人見知りの子なのかと思っていたのだが何軒もお店を回っているうちに打ち解けてきたようである。

 それだけが僕の中では最後の元気の源というかここまで頑張れた証拠である。


「すみませーん! この子知ってますかー??」


 奥からおばさんが出てくる。顔を見て気づいて感動の再会……。では無かった。


「いらっしゃい! やっと来たのね。もう街中あんたの噂でもちっきりよ! ん? 分かるような気がするんだけどね、思い出せないねえ」


 衝撃であった。この街に住んでいるという女の子の言葉を信じてここまでやってきたのだがどうやら外れのようだ。ここまでの努力はなんだったのか。まあ、女の子をおんぶしてひたすらお土産を買っていただけではあるのだが。

 

 「でも、話はしっかりきいたことがある。ここまで言えばもう分かると思うんだけど……」


 このパターンはここでもお土産を買えと言うことみたいだ。しかし、ここまでやってきたのだ。途中でやめるなんてプライドが許さなかった。おすすめを聞くまでもなく、いつもの温泉まんじゅうを手に取り会計を済ませる。


「ここまで来て、引き下がれないですからね。買いますよ。これ。」

「お、ありがとうねえ。では、では」


 店員のおばさんは話を続けるわけではなく、徐々に僕に近づいてくる。なにをしようとしているんだ、この人は。しかし、要件があったのは僕ではなかった。


「おかえり」


 そういいながら手を伸ばすと僕の背中に乗っていた女の子は飛び降り、おばさんへとかける。


「ただいま!! このおじさんカモだった!!」


 え??  全く理解が出来ない。いや、したくないと言うべきなのかもしれない。


「しかもこのおじさん、最初ね? 私のこと誘拐しようとしてきたの! まぢ無理」


 は??  


「よくここまで耐えたね。今日はおいしいものたんまり食べような」

「うん!!」


 目をまん丸にすることしか出来なかった。まさか、僕。詐欺にあっていたんですか?え?


「あんちゃん、よくここまでやりきったね。おかげでうちらはがっぽりよ。助かるねえ! またやってくれると助かるよ!!」


 かける言葉も見つからず、ただただ人間不信になってしまいそうである。


「あの、それはさすがに酷いのでは……」

「なーに言ってんだい! こんな稼げない観光地でやってくにはこれしか無いんだよ! あんただってこの子の言葉を信じて来たんだろ? 実際この子が迷子だったってのは本当なんだよ。よくあることなんだけどね! まあ、ここまでやりきったのはあんちゃんが初めてだし、うちの分は返すよ。他はうちじゃあなんも出来ねーけどよ」


 あきれて言葉も出なかった。異世界に来て、感覚がおかしい人は何人もあってきた。だが、最初にだまされるのが同じ世界から来た人だとは思っていなかったのでとてつもなく悲しい。

 とりあえず、こんなところには、もういたくない。おばさんからお金を預かり、店を出ようとする。

 

「お、お兄さん。だましちゃって……。ごめんなさい……。でも、でも。私も大変だから…。。」


 これが演技なのか真意なのかはもう僕には分からなかった。でも、信じたくなってしまう僕は優しすぎるのだろうか。今日は宿に戻ってあいつらを飲みに誘おう。それでぱーっと気分を晴らすんだ。


その後、街に戻り、彼らを誘おうと歩いていると飲み屋で騒ぎ散らかしているのをみつけてしまう。そこでここまであったストレス分も含めて説教したとかしていないとか。。

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