お土産街
「おじさん、、助けて……」
え。って、どういうことだ。僕が叫んでいるのを見て、偶然からかってきただけではないのか??
「助けてって……。どういうことかな? おじさ、お兄さんはこの街に来てそんなに長くないから詳しいことは分からないんだよね」
彼女は僕の袖をつかみ、下をうつむいたままである。先ほどまで怖がっている顔ではなく、寂しく、不安が顔から現れている。なにかを自ら話してもらえるような気配を僕は感じられなかった。
だからといって見捨てられる案件でもない。とりあえず何か聞いてみよう。
「助けてって僕でいいのかな?」
“こくり”
「僕でもどうにか出来るようなことかな?」
“……こくり”
どうやらうなずくくらいなら出来るようである。これならなんとかいけるかも。
「誰かに追われてるの?」
“こくり” うなずきながら僕のことを指さす。軽い冗談ならいけるみたいでもある。。。
「ここに来るのは初めて?」
“ううん” 彼女は首を横に振る。
「この辺にすんでいるのかな」
“こくり” ということはお土産屋さん付近の子なのかもしれない。旅行者での迷子とかになると探すのに一苦労だがこの辺の子なら案外簡単かもしれない。
「下にあるお土産屋さんとかの付近に住んでいるのかな」
“こくり” これならもうほぼ決まりだろう。戻り方が分からないだけだったのだと思う。
「それなら今からお兄さんも同じ方に行くから一緒に戻ろうか」
“こくり”
「迷子になるといけないからお兄さんと手、つなぐ?」
「おじさんってロリコンさんなんだよね? やっぱり」
“ううん” 僕は軽く首を横に振る。やっぱりってなんだよ。やっぱりって。あとまだお兄さんの年齢だし……。
結局? なぜかおんぶをするという形で収まることとなり、小高い丘を女の子一人おんぶしながら下っていく。
下の町に着き、女の子に家がどこかと聞くが「お外にあまり出ないからよくわからない」
と言われてしまい、手前のお土産屋さんから聞いて回ることに。
「すみませーん、この子のこと、知りませんか?」
お店の扉を開くと店主のおばさんが手をすりすりしながら近づいてくる。
「あら、お兄さん。本当に帰りに寄ってくれたんだね! ん? なんだい。知ってはいるけど私も商売やっているんでね。どうだい、ここの商品何かを買ってくれたら答えてあげるってのは」
交換条件を出されてしまった。この街の子なら教えてあげてもいいのに……。とは思いつつもお土産の一つくらいなら買っていくのもいいかもしれない。
「じゃあ、ここのおすすめとかあります?」
「お、乗ってくれるんだね? そうだねえ。これとかどうだい! 温泉まんじゅうだよ!」
「え、この街って温泉があるんですか?」
「なに言ってんだい。無いに決まってるんじゃあないかい」
「じゃあなんで温泉まんじゅうを……」
「観光地と言ったらこういう物だろ? まあ、とやかく言わずに買ってくれるんだね??」
「ああ、はい。それでいいです」
なにかとても気に触るし、なんでもありかよ。とは思いつつもこれ以上変な物を出されるのもいやなので買うことに
「ありがとうねえ! おにいさん、本当にイケメンさんだよ。じゃあ、まいどありがとねー」
「は、はあ。ってこの子のことだろ? 向かいの店のやつなら知ってるよ」
「この子の家ですか?」
「あ、? いーや違うよ」
ここから何件もお店を回らせられるのはまた次回のお話。
また次回のお話。