女の子とおじさん
「おじさん……なに、してるの……??」
一人で山に向かって叫んでいると後ろから小さな女の子がちょこん、と一人立っている。え、……恥ずかしすぎる。おじさん……いや、お兄さん本気で恥ずかしいよ。
「えーっと、まあ、たまには大人も大声出したいときがあるんだよ」
「そー……なんだ。でも、おじさんでもやっほーって言うの?」
「言うから! 言ってたでしょ? 他に何かある?!」
僕はつい恥ずかしさのあまりかっとなってしまい口調が強くなる。こんなことで木を立ててはいけない。そうとは分かりつつもつい、なってしまった強い口調に彼女はおびえ、近くの木にそそくさと隠れてしまった。決して女の子を脅かしたかったわけではなく、下手に怖い人がいるなんていいふられたら困ると思い、両手を広げながら女の子に近づく。
僕が一歩歩みを進めると女の子は小さな足で二歩下がっていく。逃がさないとさらに近づいて離れるというのを数歩繰り返すと女の子は大きな岩にぶつかってしまった。逃げ場はなくなった。これで弁解が……。
「お、おじさん……。私を捕まえてどうするんですか……。まだ子供なので何もない……ないんです……」
「まって、まって。別に捕まえたいわけでも誘拐するわけでもないから!」
「誘拐……するんですか?! せめて売られる前にお母ちゃんにだけは会わせてほしいです……」
「誘拐はしないって! 誤解を解きたいだけだから!」
「誘拐をするってところが……誤解ってことですか……。じゃあ、私が目当て……!? おじさん……ロリコン??さんなんですか」
これは犯罪だと思った。捕まってもいい。決して、決して僕はロリコンではないのだがアーネよりも小さい子にロリコンさんなんですかなんて首をかしげながら言われたら攻撃力は抜群だと思う。冷静になろう。
「ロリコンさんではないかな。でも、本当に君をどうにかしたいとかはなにもないんだよ。ただたださっきね、叫んでいたのを誰にも言わないでほしいってだけなんだよ」
「そう……だったんですね。私が勝手に…かってに、勘違い、してただけだったんですね。ごめんなさい」
「いいのいいの! 僕こそ脅かすようなことをしてごめんね。じゃあ、僕はそろそろもどるね」
そう言い残して立ち去ろうとすると、左袖がきゅっと握られていた。そして、女の子は僕のことを見上げるように
「おじさん、、助けて……」
え。
……。。