屋台のラーメン
屋台の暖簾をくぐる。周りに漂っていた匂いが更に強くなる。これだけでもよだれがたれてしまいそうだ。
「へいらっしゃい。お、お似合いな二人さんだね? うちはとんこつがおすすめだけど何にするんだいっ」
「「お似合いじゃないですから!!」」
「え、えっと、じゃあ、僕はとんこつで。アーネはどうする?」
「へ? さ、佐藤と同じのでいいのです」
「わかった、じゃあ、もう一つとんこつ追加で」
「とんこつ2つだな、すぐできるから待っとけ」
彼女はラーメンを作るのに使う道具が気になるのだろうか、とてもキョロキョロしている。
「どうしんたんだよ、そんなにキョロキョロして。そんなに待ち遠しいのか? まあな、お腹へったよな」
「…」
なぜか彼女は黙り込んでしまっている。昼間に寝ていたとはいえやはり夜は眠いのだろうか。まあ、飯だけ食って部屋につれて帰ろう。眠たいだろうし。
そうこうしていると麺が茹で上がり、ラーメンが出される。
「嬢ちゃん待たせたな、冷めないうちに食べるんだよ」
僕とアーネの目の前には出来たてのラーメン。僕は箸立てのなかに乱雑に入っている割り箸をとる。これがラメーンとしての。いや、屋台ラーメンとしての価値を上げる必須アイテムだと僕は勝手に思っている。これでこそ屋台ラーメン! おいしいと僕は麺をすする。
夢中で食べていると横から麺が飛んでくる。飛んでくる?! 焦って彼女の方を見ると割られていない割り箸と手に絡まりまくった麺が……。
「おい、佐藤。これはどうやって食べるのですか! 難しいのですよ! この麺! 佐藤の食べ方を見よう見まねでやっているのですが」
「見よう見まねってまずは箸を割らないといけないんだよ。それでこの箸はこうやって持つんだよ」
「子供には難しいのですよ!」
そういう彼女に僕は後ろから抱きつくような形で手を握り、箸の握り方を教えてあげる。
「いつもは子供扱いするなってするのに急にどうしたのかな?」
彼女は顔を真っ赤にしながら
「はえっ!? 急になんなのですか!?」
何って箸の持ち方を……。まてまてまて。なんだこの状況は。ド深夜に幼女を連れ出した上で、散歩で夜食を食べに出て、箸の使い方と言って後ろから抱きついて……。抱きついて?! 手を握りはs 手を握り? あああ、もうダメ。僕。今の僕の顔は目の前にあるラーメンの何杯も熱くなっていたのだろう。と、第三者視点から見たようなふりをして冷静になろうと心がける。
そうだ、彼女はまだ子供。そして箸の持ち方を知らないから教えてあげているだけ。僕だって子供の時にそうして教えてもらっただろ? そうだ。なんもやましいことはしていない。
「どうしたのですか……。早く、おしえて、ほしい、な。」
え、この子はなんなの?!
お久しぶりですね。
ラブコメの波動が……!? あるんでしょうか。
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