捜索
「え、私のことは無視ですかああ!!」
しっかりと彼女のことは無視をして、ネモ君の心当たりがあるという地区に案内をしてもらうことに。
宿を出て、街中をついていくとドンドンと繁華街の中でも飲み屋街の中に入っていく。
「こんなところで山田が隠れているのかと思うのかい?」
「はい。ここならアーネも山田さんも見つかるかと思うんです」
「心当たりは?」
「勘です…。というかお二人ともお酒を飲むのが好きですしいるかなって」
んん。ここに来てネモ君あて感を信じなければならないのか。しかし、ここまでついてきてしまった。時間もない。
「あて感か。まあいいか。よし、全部の居酒屋に入って二人を見つけ出すぞ!!」
「「「おー!!」」」
三人でこぶしを突き上げ、声を上げる。酔っ払いが周りに多いのもあり、周囲から浮くこともなかった。なんなら、周りも一緒に掛け声をかけていたくらいであった。
偶然にも、三方向に道が分かれており、各々一本ずつ道を担当することに。一つだけ雰囲気が怪しい道があったのでそこは僕の担当。ネモ君はまだ子供なので一人で居酒屋に探させるのは少し、気が重かったが猫の手も借りたいほどの人手不足。何かあったら逃げてくるようにだけ伝え、解散をする。
しっかし、この薄暗い飲み屋街。人気が少ないのである。その分、一軒一軒のお店が入りにくい雰囲気になっており、気軽に店に入って探すのが、難しい。暖簾をくぐっては
「やっているかい?」
と聞き店の中を確認する。もちろんやっていることは重々承知なのだが…。そして、中に彼らがいなさそうで、あれば店員の返答だけをまち、
「もう少し考えさせてくれ」
と出ていくのを繰り返す。ただの迷惑野郎な感じもするのだが、効率よく探して、店員につかまりにくくするにはしょうがないことであると割り切ってやっていく。
通りの店を一軒一軒見ていったのだが、どうやらこの通りにはいなかったようであの二人を見つけることはできなかった。というかあの二人はどちらかというと大声で騒ぎながら飲むようなタイプの人間なので薄暗いという時点で選択肢から外れているであろう。
三人の中で一番早く戻ってきてしまったのか二人が帰ってくるのを待っているとネモ君の姿が見えてきた。
「師匠! 師匠はもう見終わったのですか?」
「そうだね、雰囲気からして二人がいる感じもしなかったしね」
「そうでしたか。だから早かったのですね。僕は大きなお店が多くて子供は入れねえって何度か追い返されてしまいました」
「じゃあ、中は見れていないのか?」
「そこは大丈夫です! なんとか中には入ることが一瞬でも出来ていたのでしっかり中は見ました。残念ながらどちらもいる気配はありませんでしたが…」
「そうだったのか。無理をさせてしまったね。ごめんな、ありがとう。」
やはり子供にやらせるには世の中的に厳しい条件だったんだな。それでもやり遂げてくれるネモ君はさすがである。
「師匠、なんで謝るんですか? え、僕ってなにかまずいことしちゃいましたか??」
こんな反応がまだ子供なのだなと僕を安心させてくれるし、面倒見のある子だなと思う。
「大丈夫だよ。心配しないで。というか今野はまだ帰ってこないのか…」
「そうですね。僕たちが早すぎたのでしょうか」
「もう少し待っても来ないようなら探しに行こうか」
間に合った…。