いつも通りの今野
すべて仕組まれているということか。結論ありきの裁判なんてやる意味なんてあるのかっ! 怒りに震え、どうしようも出来ない無力さに心が痛むのだった。
全てが仕組まれている。こんなやらせ裁判に怒り、絶望をしていた。というかまず被告人の山田本人がいないというのもよくわからない。そして守り切れなかったのが悔しい。僕は目の前の机に突っ伏していると…。
「あ、佐藤先輩。何をしてるんですか? 机に顔なんか埋めちゃって。あーっ! というかまた大声で異議ありー! みたいなのしましたね? しかも私に! ひどいですよ! そんなに融通聞かないんですからね?」
絶望で伏している僕に対してこのテンション。さすがというかこのポジティブさも大事なのかな…。
「せーんぱい? 大丈夫ですか??」
「ああ、大丈夫と言ったら嘘にはなるんだけどさ。こんな裁判やってかないと行けないのかってさ。もうどうせ、この後なにがあろうとも負けなんだろうしな。やる意味ある?」
「えーそうなんですか? せっかく先輩だって怒られながらもここまでやってきたんですし最後まで頑張りましょうよ! 私だってさっきは頑張ったんですよ? 先輩はここからが本番じゃないですか?」
「裁判官だって相手側。多分聴衆だってそうだろう。それなのに…」
パンッ!
「佐藤先輩ってそんな弱気な人だったんですか! 山田先輩のためにちょっとは頑張ってくださいよ! まあ、準備ゼロで巻き込んでしまったことについては謝りますけど…。なんでも出来るのが佐藤先輩なんです! ここもどうにかしてください!」
今野にビンタをされた。されるなんて思ってもみなかった相手にされ、驚きが隠せない。だが、こいつが僕のことをそう思っていたのか。そんな超人ではないんだけどな。
僕は彼女の頭を軽くポンッとする。
「ありがと。、もう少しはあがいてやるかな」
「はにゅっ?! なんですか急に頭なんてポンポンしてきて! こんなところで恥ずかしいです!」
「本当にお前はいつも通りだな。さあ、やるぞ!」
「だーかーらー急になんなんです!!」
今回短いですよね。きりが良かったというか。前回と相殺ということで…。