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異世界鉄道  作者: 山川 ぼっか
ここは二ホン??
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理不尽裁判

 一方的に悪口を言った今野は何も話さずに証言台へと向かって行く。


「では二人目の証言者、弁論台へ上ってください」


 裁判長のかけ声で彼女は台へと一段飛ばしをして上る。本当にこの状況を理解しているのだろうか。


「では、出身と役職、名前を…」

「はーい! 私は日本出身で役職は…。えーっと。まあ、いいとして名前は今野すずかと言います。お手柔らかに? お願いします!」


 この重苦しい雰囲気の中、裁判長の言葉に割り込んだ上でいつもの彼女をしている。普通にやばいことではあるのだがもう知らん。好きにやってくれ。

 主導権をとられてしまった裁判長は軽く咳き込み立て直そうとする。


「ゴホン。では、次に当日の行動を教えてください」


 そう言われると彼女は話し出す…訳ではなく先ほどと同じように紙を取り出し


「えーっと、ここでさっきあそこにいるおじさまに貰った手紙を読めばいいのよね? えーっと、私は見てしまったのです! 元々私は彼と同じ部屋にいたのです。そして、話をしながら彼はお茶を飲んでいました。そのときです! 彼の手元にあったお茶が落ちていく。それをなんとか取ろうとしてなんとか落ちてしまったのです! 私は彼から黙っていないとどうなるかと脅されていました。彼は極悪人です!」


 最初の一言に会場はざわつきが起きる。そして、彼女の迫真の棒読みでいろいろな意味でざわつきが増す。堂々と仕込まれた文を読むと宣言した上でこの棒読み。彼女を見るとやりきった感にあふれているがこの現状でその表情が出来るのは今野、ただ一人だろう。しかし、これはこちらにとって大チャンスである。話を聞く感じだと真実ではあるのだがあの仕込まれ文と棒読み。勝てるっ!


「証人に質問はありますか…。なさそ、」


 ない前提で形だけのセリフにさせない。


「裁判長、質問があります!」

「では、つ…。被告人側。質問の機会を与えます」

「ありがとうございます。証人に伺います。その読んでいる手紙は誰から渡された物でしょうか」

「え、佐藤先輩。証人だなんて図々しいですよ。もっとラフにしてくださいよ」


 本当にこいつは。


「今は真面目な場所だからしっかりと質問に答えてくれ。で、誰に貰ったんだ?」

「え、反対側にい…」


 彼女が答えようとすると反対側にいる検察?らしき人たちが横やりを入れてくる。


「裁判長! 証人と被告人側の弁護士は長いつながりの上、今回の弁護人でもあります。被告人側で仕組んだ可能性があります。この質問はそっこく中止するべきです」


 弁護人にしたのもおまえらだし、弁護人にしたのもおまえらだろ。何を言って。


「検察側の発言を認めます。弁護人は発言を終えてください。そして、証人は台を降りてください」


 ?! 


「待ってください! 元々この裁判を準備したのは彼らなのではないのでしょうか。そしてまず元から弁護人と証人が同じの時点でおかしいかと思われます! 裁判のやり直しを…」

「弁護人、裁判を準備したのが彼らなのであれば私共を準備したのは…もう言わなくても分かるかね。発言は許可しません」


 すべて仕組まれているということか。結論ありきの裁判なんてやる意味なんてあるのかっ! 怒りに震え、どうしようも出来ない無力さに心が痛むのだった。


あれ、シリアス展開ですか?

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