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異世界鉄道  作者: 山川 ぼっか
ここは二ホン??
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意義あり!

 何を確認されたのか、どういう風にこの先を戦って行けばいいのか分からないという絶望的な状況でこの裁判は開始された。というか異世界にきて、僕たちだけで戦うのがまさかモンスターとかではなく人間と弁論で戦う羽目になるとは全く想像がつかなかった。

 特に何をしているのかを考えることはせず、裁判長の言う通りに流れに任せて裁判は進んでいく。そして、最初の証人喚問が始まったのだ。


「一人目の証人は弁論台へ」


 裁判長の合図とともに上がってきた一人目の証人は…。

 

「では、出身と役職、名前を述べてください」

「はい、ビバーチェ出身、ハイウィザードのアーネ=ソーネと申します」


 なんとまさかの一人目の証人はアーネであった。これはラッキーである。実質こちらの味方のようなもの。こちらに都合の良いことを言ってもらえると助かるのだが。


「では、あなたの当日の行動を教えてください」


 そう言われると黙って彼女が話し出すのだと思って見ていたらなんとおもむろにポケットから紙を取り出し読み始めた。


「その日、私は見てしまったのです。彼があからさまに地図に水をかけていました。何をしているのかと声をかけようとしました。でも、一瞬こちらを見てきたときのにらみ顔は今でも頭から離れていません。怖かった。以上です」


 やりやがった。あいつやりやがった。なんにも知らないのに紙を読み上げるというすばらしい証言をしやがった。というか多分事件が発生して来たばかりだったからいるはずがなかったのでは。裁判長はアーネを下げようとしていたので


「異議あり!」


と、赤文字でとげとげしい吹き出しが出てきそうな勢いで叫ぶ。その場は一瞬に 「こいつ、なにやっているんだ」 という逆風が吹き荒れる。しかし、あのあからさまに怪しい紙、そして何よりも彼女が目撃していないと僕が知っている。この証拠を突きつければ…


「弁護人、大声を出す場ではありません。意義を認めません。証言ありがとうございました。アーネさんはご退席してください」


 理不尽にもほどがあるだろう。悔しがる僕の横をアーネは証言台をおりながら何かをブツブツ呟きながらルンルンに降りてくるので耳を澄ましてん何を言っているのかを聞いてみる。


「おっかね~おっかね~ふんふんふーん」


あ、やりやがった。一人目からしっかりと買収をされている。ありなのか…。しかし、二人目の証人は今僕の隣でのほほんと半分寝ながら弁護士として立っている今野である。一人目こそ買収されていたもののこいつは確実にこちら側なのである。しっかりと味方につけねば。


「おい、おい今野」

「あ、さっきの異議あり~ってなんですか。隣にいて恥ずかしかったんですよ! もう少し私に気を使ってくださいね」

「ありもしないことを証言と言われたら誰でも…」

「そういう先輩の正義感は好きなんですけどね。では、ちょっとだけ行ってくるのでこの席をよろしくお願いしますっ!!」


 僕には何も話させずに証言台へと向かっていく今野。大丈夫だろうか。

蛇足とか言わないで…。

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