ついに
食事会は何事もなく終わる…はずだった。がなんと最後に鉄道を敷くなんという野暮な約束をしてしまったのだ。僕たちは日本に帰ることが目的だったはず。ならそんなことをしている余裕はないと思った。どうやって断るかを考えていたところにことの発端がやって来た。
「おぉ!やばい約束しちゃったな! まあ何とかなるだろ?」
これってぶん殴ってもいいんですかね。いや殴りたいんですけど。
「やばいとかじゃないだろ。僕たちは日本への帰り方を探してるのに鉄道なんて敷いてる暇なんてないんだぞ?」
「それもそうだなっ! がっはっはっはっは」
高笑いをしたところで僕の限界が来たので顔面に一発を食らわせた。
うん。しょうがないよね。
と、痛がってるところに殴り終えるのを待っていた今野が入って来た。山田に対して合掌をして、僕に話しかけてきた。
「確かにそんな仕事している場合じゃないとは思いますけど逆にチャンスだと思うんです。鉄道建設の技術提供と交換に日本への帰れる道を探すのと婚約相手を見つけてもらうんですよ! そしたらwinwinじゃないですか?」
君の欲望さえ入ってなきゃ上出来だとは思うんだよ。まあお酒はいってるし今日は黙っておくか。
「確かにいいアイデアだね。その方向で調整していくよ」
「私のアイデア採用ですか?! やったー先輩大好き~!」
と言うと抱き着こうとしてきた。酔っぱらってるこいつがこのまま何をしてくるのかわからなかったのでさらりとかわしておいた。二人とも酷く酔っていたので寝かして俺は一人で今後について考えることにした。
と考えていたが疲れていたのか僕も机に突っ伏して寝てしまったが。
翌朝、
「せんぱーい! 王様がお呼びですよ!」
今野の声で僕の朝は来た。机で寝てしまったからか疲れが取れた気がしない。しかし、朝一で呼び出されるのか。いつから国王の召使にでもなったのだろうか。
ぐちぐち言いながら最低限の服装を整えて国王のいる所へ向かった。
「朝一でお呼びでしょうか。国王様」
厭味ったらしく僕は言った。
「おお。佐藤じゃないか。昨日の話なんだが準備が出来次第さっそく取り掛かって貰いたいのだが…」
「その件なのですが建設を了承する代わりに僕らが日本へ帰れるように調べていただけませんか? 僕らは、日本に残した友人や家族に会いたいのです」
国王はうつむいて考え、側近も呼び出し話し合ったうえで結論を出してくれた。この素早さは、独裁国家のいいところだと思う。
「よし。認めよう。私らもがんばって二ホンへと帰れる魔法のトンネルを探そう。そして君たちの建設作業にも支援はいくらでもしよう。これでどうかね」
「異論ございません。よろしくお願いします」
契約してしまった。これからついに始まるのか。しかしなんでもほしいものがあったら言えと言ってもらえたしきっと大丈夫だろう。