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異世界鉄道  作者: 山川 ぼっか
ここは二ホン??
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今野さんのお話(前編)

これは、山田が設計図を壊してしまったときのお話である。

 私は見てしまったのだ。山田先輩が設計図にお茶をこぼすところを。そして、なぜか近くにあった布で拭こうとして破れてしまうところを。



「山田先輩…。なにしているんですか?」


 私はすべてを見ていたので知っていた。それでも、知らないふりをして声を掛けるのが後輩としての多分やさしさであると思っていた。


「こ、今野じゃねーか!! 急にどうしたんだよ」


 この時の彼は頭から飲んでいたお茶を被ったのではないかと疑ってしまうほどの冷や汗が出てきていた。


「偶然通りかかったら山田先輩がいたので声、掛けちゃいましたっ」


 よし、できてる。いつも通りの自然な感じの職場のアイドル今野ちゃん。


「そ、そうか。佐藤がいないと俺たちなにも出来ねーからな。ちょっと肩身が狭いぜ」

「そうですね。つくづく佐藤先輩に私たち引っ張られていたんだなって感じます。でも山田先輩はすごく汗かいてますけどなにかしていたんですか?」

「…。」

「…。」


 まずい。少し引いて来ていた山田先輩の冷や汗がまた出だしている。そしてこの地雷を踏んでしまったかのような空気感。


「そうだっ! さっきは知ってらしたもんね。お茶も持ってる…あっ」


 今のは私でもわかる。持ってるお茶は地雷すぎる。


「あああっネモ君が呼んでいたんでした! ちょっとお話の途中なのにごめんなさい、失礼しま」


 私がここに居もしないネモ君を引き出して逃げようとすりと


「気づいているんだろ? 逃げなくていい。ごまかされる方は俺がきつい」

「すいませんでした」

「まあい いい。とりあえずばれるまでは黙っておいてくれ。いいな?」

「はい。」

「誰か知っていると聞かれても見てないって答えるなよ?」

「はい」

「とりあえず俺は街のはずれで隠れているからどこに行ったか聞かれたら知らないって答えてくれよ?」

「はい」

「よし、じゃあ解散」


 そう言うと山田先輩は走ってどこかに行ってしまった。しかし、どうしよう。もともと体格のいい先輩が私の肩をがっちりつかんで説得していたのだが顔が怖すぎてやばい。とか考えていて適当に 「はい」 と返事してしまった。何を聞いていなかった。どうしよう。きっとあの形相で言っていたのだから脅されてはいたのだろうけど何一つ思い出せない。

 とりあえず私もここにいては疑われると思い離れることに。


 続く。


多分佐藤君以外の視点でお話進むの初めてですかね。会議でダラダラもつまらないですし、番外編的なお話にお付き合いください。

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