口約束
僕は彼女に別れを告げて、王様を探すことにした。たくさん来ている人をかき分けて探しているときに見覚えのある人がまたいた。その人は僕を見つけるなり近づいてきた。
「お久しぶりですね。と言っても馬車に乗せた三日ほど前のことなのですが」
そう声をかけてきたのはアンダンテの街の警察署長のロンだった。
「お久しぶりですね。いつこちらに来たのですか?」
「先ほどです。私ほどの階級の人間になるとテレポートが使えるようになりますので」
え。テレポート使えるなら僕たちにも使っておいてよ。そしたらあんな地獄見なかったのに。と思ったので僕たちには使えなかったのかと聞いてみた。そしたら、
「使ってもよかったんです。でもこれには欠点がありまして、身体以外は何も転送されないんです」
なんだその不便な魔法は。そりゃ使いませんわ。
「ってことは服を着た状態でテレポートをしたら服が」
「なくなります」
「じゃあ、裸でテレポート先に出てくると?」
「そうです。そんなことを国賓として扱われている皆様にはできませんので」
「なるほどです。でも馬車も大変でしたよ?」
「ですよね。もう少し馬車が早ければいいのですがそこまで馬もおりませんので」
「配慮してくださったのでありがとうございました。そういえば国王陛下をご覧になっていませんか?」
僕がそう聞くともう少し先にいると教えてくれたので軽い挨拶をかわし王様の元へ向かった。しかし、貴族の女性は美しい人が多い。きっとみんな育ちがいいからだろと思って少しきょろきょろしながら歩いているとどっかで聞き覚えの声が。
「ねぇ。俺なんかどう? 日々の肉体労働で鍛えられた筋肉とかあるぜ?」
そんな酷いナンパをしていたのはうちの山田だったので相手の女性に
「うちの同僚が調子に乗って悪かった」 と謝り山田を説教してつれていくことにした。教えてもらった場所に行ったところ国王がいた。
「やっと来てくれたのかね。わしの周りには人がたかってしまって君のところに行けなかった。申し訳なかった」
いや、本当は来たくなかったし、見つけたくもなかったけど来てやったんだよ
「そんなことはございません。お話できうれしく思っております」
「そうかね。では、先ほど、途中でやめてしまったテツドウとやらについて教えてもらえませんかな」
会食前にしっかりと考えてきたことを話そうとした。しかし、お酒が入ってしまったせいで思い出せない。どうしようと戸惑いかけた瞬間。
「鉄道ってのはですね~二本の棒状のものを馬車がちょー速く走ってる感じっすよ。俺らの来たアンダンテからなら数時間で行けんじゃないっすか」
よく言った。酒に酔ってる方が使えるんじゃないか?と思った
「ほほう。そんなものはわしらの世界でも作れたりするのか?」
「それなら俺らがやってやりますよ~」
ベロンベロンに酔っている山田がそんなことを言ってしまった。僕がすぐに訂正をしようとすると。
「本当かね! それは助かるよ! 金ならいくらでも出す!是非頼みたい!」
「かしこまっ!」
かしこまってねーーーーよ!!