スペシャリスト
急かされるままに技術者の集っているところへと向かう。計画の概要を伝えるためだ。
「で佐藤とやら、俺たちゃ何をすればいいんだ。この村には二世のやつや新たに転生してきた奴らが混ざっている。大体の日本人はこの村の上にある神殿に召喚されるんだ。だからお前たちは珍しいタイプなんだ」
唐突に話し出した彼は、しれっと大切なことを言っている。もしかしたら日本に戻る秘密がここに眠っているかもしれない。とても気にはなる。だが、今は目の前のことに集中しよう。
「そうなのか。その話は今度詳しく教えてくれ。今回はこのトンネルを使ってロープウェイを作ろうと思う。この下の出口は川につながっている。ある程度の水力もある。だから動力は水力で考えている。上側の出口はギルドにつながっているのだが、改修をして、上手く鉄鉱石運搬の拠点にしたいと思っている。どうだろうか…」
誰も反応がない。やはりこの計画は無計画すぎてしまっただろうか…。水力でやろうとしたことだろうか、ギルドを壊す…改修することだろうか…。不安に感じていると
「いいじゃねえか。俺たちも最近何もできてなくてよ。でっかいことをやりたかったんだ!」
「行けるのか…?」
「俺たちをなめてもらっては困る。ここに籠っているだけのオタクじゃない。やりたいことは何でも計画済みよ」
「計画済みとはどういうことなんだ」
「そのままの意味よ。おいっ! 鬼瓦、あれを持ってこい!」
「は、はいっ!!」
先ほど、自己紹介の波の一人目として名前を名乗っていた気の弱そうな彼がパソコンを持ってくる。そして、とあるデータを見せてきた。
「こ、こちらになります…」
そのデータには…トンネルのような図形、そして天井からぶら下がっているロープ…。まさか!
「ここにはまあまあな人数がいるからな。あのトンネルをいつか使えないかって考えていたのが俺とこいつなんだわ。最初は電車でとかいろいろやっていたんだけどな狭いし、勾配も段差もあるからという理由でロープウェイにしてみていたんだ。まさかこれが活きてくるかもしれないと考えるとぞくぞくするな…!! よろしく頼む!」
「こちらこそ最初から設計図があるなら他の意見も聞いて詰めていくだけで済む。非常に助かる」
「まあ、動力をどうとかまでは考えていなかったからな、その辺は電気が得意なやつらとも話し合おう」
ここにはあらゆる分野のスペシャリストだらけだ。下手な建設会社などよりもいるだろう。偶然なのかどうなのかは分からないが助かる。
そのまま、僕たちは計画を詰めていくうちに日沈み、昇っていたのだった…。
次回、百話記念番外編投稿予定?!(未定)
ここまでよんでくださり本当にありがとうございます。いつもなら章のおわりにあとがきを入れているのですがここで…ではなく次回に色々まとめます!これからもいせてつをよろしくお願いします!!