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その3 荒川区 タイムリゾートさん(2018.1.4)

 さて、今回私が選んだのは、荒川区の銭湯スタンプラリーに参加しております関係で、またまた荒川区でありますよ。

 実は前日、舎人ライナーの熊野前駅に近い「尾久ゆ~ランド」さんに行ってきたのでありますが、今回そぞろ歩きました「タイムリゾート」さん界隈は、わが母校、荒川区立大門小学校に至近の距離。

 鷹樹的センチメンタル・ジャーニーなのでありまして、こっちを取り上げることと致します。


 本拠地亀戸から、墨田区攻略戦、北区攻略戦ですっかりお世話になりました都バス【里22】に乗りまして、おなじみ都電荒川線終着【三ノ輪橋駅】がございます、大関横丁で下車。

 一両編成の可愛い路面電車に乗り換えます。

 目的地は【町屋二丁目】。ここで降りますと、大門小学校正門まで、一本道なのでありますよ。

 良い子は絶対に真似しちゃいけませんが、都電の線路に、工事現場からくすね……いや、拾得致しました、五寸釘なんぞを置きますってぇと、ぺちゃんこに潰れる。

 こいつを、公園の砂場の敷石で、研ぎを入れますと、スローイングナイフになるんですな。

 工事現場からくすね……いや、拾得致しました板切れに的を描き、そこに向って投擲してトントンと突き刺す遊びをしておりましたのを、思い出しました。

 今は、すっかりお行儀のいい街になっちまって、こんな悪ガキは見かけませんがね。


 防災道路と名前を変えて、道幅を拡張した道路を歩きます。

 今回の目的は、あくまでも銭湯。今回の目的地『タイムリゾート』さんの位置をまずは確認であります。

 細い路地の先に、マンション併設型の銭湯。

 うむ、地形確認しますと安心できます。出張とか、どこかに出向く時、私は地形確認からやる習性がございます。

 場所の確認を終えたら、そぞろ歩き再開であります。

 まずは、わが母校の正門に向いました。以前は用務員室が門衛よろしくあったのですが、今は安全ステーションとかに名前を変えて、目立つように作り変えてありました。

 学校に乗り込んで刃物振り回したアタマオカシイ野郎の事件以降、学校はセキュリティ厳しくなりましたね。写真を撮っているだけで不審者みたいになってしまいますので、早々に退散。

 この小学校、私の父親や叔母上の出身校でもありまして、歴史が古いんでありますよ。

 叔母上の話では、新入生の頃、校内案内されている時、学校敷地の境目の壁の上を走っている馬鹿男子がおりまして、

「ああいう悪いお兄さんの真似をしちゃいけませんよ」

「はぁ~い」

 なんて、引率の先生と新入生の間でやりとりあったそうですが、叔母上、その悪がきが私の父親(つまり彼女のお兄ちゃん)と気が付いて、恥ずかしかったと申しておりました。

 不思議な事にその三十数年後、私の妹も全く同じ体験をしておりまして、歴史は繰り返すといいますか、血統といいますか、数奇なものであります。


 その小学校の正門の斜め前、おお! アベブンだ! まだやっていたのか!

 おそらく開店当初は「アベ文具店」だったと思うのですが、アベブン、アベブンと呼称されているうちに、屋号が「アベブン」になってしまった文房具屋さんであります。

 忘れ物するうっかり小学生の頼もしい味方でありまして、筆箱忘れた鷹樹少年が鉛筆一本だけ買いに行ったりした記憶があります。

 まぁ、授業中は私、脱魂しておりまして、どこか異世界で冒険活劇やら、怪獣退治などしておりましたので、筆箱など要らないちゃぁ、要らないんですけどね。

 私が通っていた時期、すでに老舗でしたので、創業何年だろう? 昔と変わらぬモノがそこにあるというのは、郷愁に切なくなりますね。

 アベブンの前を通って、昔『デンカ通り』と呼ばれた道へ。

 ここはバス通りでありまして、この通り沿いに、私が住んでいた都営住宅がありました。

 ここが『デンカ通り』だったのは、『旭電化』『旭化成』の大きな工場、及びその従業員のずらっと並んだ社宅団地があったからであります。

 工場が日立市に移転してからは、その広大な敷地は公園になりまして、荒川の土手まで続いています。

 だから川からの風が冷たいこと。う~ぶるぶる。コートの襟を立てました。

 社宅から小学校に通う生徒も多かったので、同窓会などをしても、人が集まらないと聞きます。都心部から地方へこぞって工場が移転した時期があったのですが、こうして引き裂かれる地域もあったのであります。時代の流ってぇ奴でしょうねぇ。

 夏休みは、ラジオ体操の場所になりました、自動車教習所みたいな一般道を模した公園『交通公園』はすでになく、大きな高層住宅が建っておりました。

 私が住んでいた古い団地は老朽化が進んで取壊されており、新しく建て代わるようであります。

 団地の周辺の公開空地は、子供たちの遊び場でありまして。縄跳びやベーゴマ、メンコや缶ケリなどで、暗くなるまで遊んだものです。

 今はPSPなどを持ち寄って、並んで腰掛けながらピコピコやっておる風景ですが、子供のうちは、もっと体を動かす遊びの方がいいような気がいたします。

 自分が出来ないから羨ましいだけかもしれませんがね。古い奴だとお思いでしょうが、古い奴ほど……おっとっと、これ以上は運営さんに怒られちゃうのでヤメヤメ。まったくもう、傷だらけの人生でありますよ。

 話には聞いておりましたが、工事用の塀に囲まれた故郷を見ると、なんだかジワっと涙が浮かんできそうで困りました。歳をとるとなんとやらでありますよ。

 旧『デンカ通り』を辿ります。

 この通りには、同級生の親御さんが営んでいた店があったり、おつかいに出かけた店があったのですが、すっかり様子が変わってしまっています。

 近所で評判の美少女だった黒〇さん(名前思い出せず)のお家は、工場だったのですが、普通の住宅になっておりました。

 表札は黒〇のままだったので、今でもお住まいなのでありましょう。彼女の弟が、交通事故に遭った場面に私が居たのですが、そんなことが急に思い出されました。

 仲が良かったよーちゃん(苗字思い出せず)の釜飯屋さんは、閉店されていまして、所在を確認できず。

 買い物にいくと、コロッケをくれたお肉屋さんも閉店しておりました。

 初見では絶対読めない第五峡田小学校前まで歩きます。これ「はけた」って読みます。

 私の学年だけかもしれませんが、わが大門小学校と、この第五峡田小学校は公園の覇権を巡って血で血を洗う抗争を繰り返しておりまして(BGMは「仁義なき戦い」で)未だにここに立つと緊張します。

 小ぶりな食パンを買いに行かされたベーカリーもすでになく、その隣の本屋さんも無くなっておりました。第五峡田小学校の縄張シマを通るので、緊迫感がある買い物でしたが、本屋さんで立ち読みできるのですこし楽しみな買い物だった記憶が蘇ります。焼きたてのパンの香ばしい香りも好きでした。

 ここで「デンカ通り」を折り返して、もう一つの母校「北豊島幼稚園」の方へ。

 塀とネットに囲まれた団地を視界に入れないようにして、今度は東から西に辿ります。

 すると、見えてきました、石鹸工場跡地。今は工場は移転して、事務所だけ残っているようです。

 ここは、人生初の冤罪事件に遭遇した場所で、見ただけ笑っちまいます。

 まぁ、悪ガキが多かった地域ですが、特に悪かったのが、私と別名同姓の鷹樹君でありまして、小学生の分際で、この石鹸工場の事務所荒らしをしたんですね。

 事務所荒らしといいましても、金庫を狙ったわけではなく、控室に潜り込んで、ソファでTVを見て、冷蔵庫から買い置きのジュースやら戸棚からお菓子などを食い荒らしたという、ほのぼの荒川区の日常……いやいやいや、警察沙汰になりました。

 ニセ鷹樹君、守衛さんに一旦はとっつかまったんでありますが、警察が来る前に逃亡。

 その時名乗ったのが、同姓であることをいことに、私の名前だったというわけです。

 当時の私は、学校から帰ると瞬間に消え、行方不明という有様でしたので、アリバイがない。

 そして、いかにも私がやりそうな事だと思ったのか、母は警察からの連絡で私が犯人と断定。

 腹を空かせて家に帰ったところで、母に逮捕されたのでありますよ。

「烏介! あんた、馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、ついに犯罪まで! この子はもう!」

 ぼろぼろ涙を流しています。

 私は頭から「?」マークを生やしておりましたが、いったいぜんたいどの悪事が発覚したのかと、ヒヤヒヤものでありました。

 母が警察に連絡すると、すでに真犯人は親に連れられて出頭。

 私は冤罪である事が発覚したのです。

「おほほほ……、信じてたわよ」

 との母親の言葉に、うそつけ、このクソババァと思った次第であります。


 冤罪事件の石鹸工場跡地から、南に曲がりますと、お地蔵様がありまして、ここに駄菓子屋さんがありました。店名は忘れましたが、通称「地蔵のとこ」。我々のたまり場でありました。

 ここも、ずいぶん前に閉店。

 同級生の中〇さんのおばあちゃんがやっていた駄菓子屋も近所にありましたが、閉店。

 幼稚園は、中高一貫の女子高に変わっておりまして、さすがにカメラを出すのが憚れましたので、断念。

 幼児だった私は、ここが大嫌いだったらしく、脱走の常習犯だったらしいです(記憶に無し)。

 ここから、住んでいた団地まで、子供には結構な距離&信号もあるのに、勝手に一人で帰ってきて、近所の公園で遊んでいたそうです。

 幼稚園の先生は「この子おかしいので、検査したほうがいい」と逆切れしていたみたいですが、脱走した子が交通事故にあったり、誘拐されたらどうするつもりだったんですかね? 言うこと聞かない悪い子だから、そんな目に遭っても当然とでも? ま、ここまで無事に育ったから、いいか。

 

 この周辺には、石〇君、くーくん(氏名思い出せず)、藤〇君と、仲良し三人が住んでいました。


 ――確か、細い路地を……。


 記憶を頼りに行きますが、この辺りは迷路のように細い路地が入り組んだ場所なんでありますよ。

 三人でよく遊んだ小さな公園は見つけたのですが、彼等の家は発見できず。引っ越してしまったのかもしれませんね。

 この迷路の地形を頭に叩き込んでいたのだから、子供の記憶力はすごいものです。


 荒川区攻略戦を始めるにあたり、最初に行く予定だった『大門湯』さんを訪問。

 破風造の渋い銭湯は記憶のまま。

 入口のシャッターは閉まり、そこに張り紙がしてあって、昨年6月から休業中だったことを知りました。

 ここもまた、ひっそりと廃業してしまうのか? と、しんみり。

 古い記憶がまた消えてゆきます。


 夕暮れ迫り、タタントトンと走る都電の風景がセピア色です。

 荒川から、ガランとした公園を吹き抜ける風は冷たくて、体も冷え切りました。

 頃は良しと、銭湯に向います。

 

 『タイムリゾート』さんに到着。地形確認した時はなかった自転車がずらり。

 おお、結構繁盛しているのかと、少し嬉しくなりました。

 ここで、荒川区スタンプラリーの景品2個めをGet! 八店舗回った計算ですね。

 荒川区のスタンプは、全部イラスト風のスタンプで、隠しキャラ風に黒猫ちゃんが隠れています。

 これがねぇ、可愛いの。全部集めたくなっちゃう。

「ここらに来るのは、爺さん婆さんばっかりだからねぇ。あっちこっちの銭湯はいけねぇんだよ」

 フロントのご主人はそう言って笑っていました。

 このご主人、常連さんには名前で呼びかけています。

「おお、〇〇さん、正月来なかったねぇ」とか「▽▽さん、もうお孫さんは帰ったのかい?」とか、顔と情報が一致しているんでありますな。営業なら優秀な成績をとれたと思います。

 でも、お遍路帳のスタンプはひん曲がってしまいました。

「ああ、悪いねぇ。緑内障で眼が……ね」

「いいすよ、いいすよ、お大事にね」

 なんて会話を致しました。


 更衣室も混んでいました。

 銭湯巡りしてから、墨田区のリノベーション系銭湯『御谷湯』さん以外では初めてかもしれません。

 地元常連さんも

「今日は混んでるねぇ」

 と、おっしゃってました。理由は不明。

 カランの数は32ありましたが、全部埋まるという快挙。

 湯船も広いのでありますが、肩を並べて浸かっております。

 あとから、あとから人が入って参りまして、湯船の熱湯の吹き出し口しか確保できなかった私は、

「あち、あちち」

 などと言いながら、湯船をかきませつつ入っておりました。

 湯船に浸かっておりますと、カラン難民のお爺ちゃんたちが、ぶらぶらと歩いております。ぶ~らぶ~らさせながら(何を?)。

 それが、どうしても視界に入っちゃう。

 空いている時は、適当に体をズラして視界に入らないようにするんでありますが、生憎と湯船も混んでる。至近距離で、隣のおっちゃんとお見合いする事になって、これも気まずい。何か芽生えちゃったら、危険であります。

 自然と、洗い場の方を見るしかなく、風呂桶もってぶらぶらのぶ~らぶらを見学するしかないのでありますよ。


 ♪あちちのぶ~らぶら♪

 ♪ぶ~らぶらのあちち♪


 なのであります(なんのこっちゃ)。

 全く忙しないので、カランが空いたところで、ソレッと確保。

 体を洗って、退散することに相成りました。

 コンビニとかで見かけない謎のドリンクはいねが? と、探しましたが、ありませなんだ。残念。

 ブルガリアヨーグルトを飲んで、水分補給。水分大事です。

 ほかほかと暖かいまま、また都電に乗ります。

 ちんちんという発車ベルにまた、郷愁を掻き立てられながら、おっさんのセンチメンタル・ジャーニーは、終劇と相成りました。

 また、次なるそぞろにて、お会いしましょう。


 今回の画像データは 鷹樹烏介ツイッター https://twitter.com/takagi_asuke

 を参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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