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その2 荒川区 梅の湯さん(2017.12.27)

 さて、今回私が選んだのは、荒川区の銭湯スタンプラリーに参加しております関係で、再び荒川区でありますよ。

 本拠地亀戸から、亀戸~日暮里を結ぶ都バス路線【里22】に乗って大関横丁へ。ここは、前回紹介いたしました都電荒川線の終点三ノ輪橋最寄りのバス停なのでありますね。

 ある程度年齢がいった紳士諸賢が憧れた『あしたのジョー』の舞台であります泪橋を通過する路線であります。作中では、あたかも貧民窟みたいな描き方をされていましたこの地、すっかりきれいになっておりまして、面影はございません。

 大関横丁で降りるべく準備しておりますと、乗り換える予定の、浅草雷門~池袋を結ぶ都バス【草64】がピタリ真後ろに並んでおりました。

 【里22】を降りて【草64】にすぐ乗ることが出来まして、寒いバス停で待つことなく移動出来てラッキーでありました。寒さに弱い、貧弱な昆虫みたいな野郎でございますゆえ。

 わが故郷に近い荒川四丁目で並行して走っておりました【里22】と別れて、田端方面に。

 更に乗り換えるのは、田端新町三丁目であります。

 ここで、神田~荒川土手を結ぶ都バス【東43】に乗って二停留所目が、今回の目的地の梅の湯さんの最寄なのでありますね。

 市街地の中にある銭湯は、電車路線より、バス路線の方が、便利なのでありますよ。

 田端新町三丁目の交差点を、点滅しはじめた青信号を走って渡ります。

 ふと後ろを見ると、信号につかまった【東43】のバスの姿。

 バス停まで早足で行き、またもや待ち時間無しで、乗り換え成功。

 下調べしたわけではありませんし、電車と違って、道路状況によって微妙に到着時間ズレる事があるのが、バスであります。こんな、ピタリと連続で嵌るのは珍しいのでありますよ。

 足がひび割れ、数日間銭湯巡りを封印していた私に、銭湯の神様が「おお、復帰したか。疾く参れ、疾く参れ」と招いておられるのではなかろうか? と、思った次第であります。

 西尾久二丁目のバス停から、住宅街の細い路地を抜けると、ありました、憧れの梅の湯さん。

 私が生まれる前から営業しています老舗銭湯でありますが、昨年9月にリニューアルしたばかり。

 オシャレな外観で、掃除が行き届いておりますので、未だピカピカであります。

 下駄箱にわがドタ靴を預け、階段を上がりますと、なにやら三線の音。

 ロビーで三線のミニコンサートが行われていたんですね。

 邪魔にならないよう、足音を忍ばせて、フロントへ。

 うちの母親より、明らかにご高齢のおばあ様が、うつら、うつらとしておりました。

 爪弾かれる三線が心地よかったのでありましょう。

 起こすのも、可哀想なので、困っておりましたら、すぐに若いスタッフの方が気付いてくださいまして、居眠りしているおばあ様を起こさぬよう、スタンプも押してくださいました。

 ここが、荒川区銭湯四軒目なので、手拭いもGet。

 荒川区のスタンプは、全部イラストタイプのスタンプなのでありますよ。

 銭湯の外観と関連があるオブジェが図案化されておりまして、必ず黒猫ちゃんがどこかに隠れています。

 集めて楽しいスタンプでありますよ。

 脱衣所に向います。

 木目調のロッカーと、屋根の傾斜をそのまま使った天井。

 微かに香るのは、シーダー系のアロマ。

 見ると、アロマポッドが、目立たぬようにロッカーの上に置いてありました。

 指先までピンと気が通っているような、お客様を迎えるという心意気に頭が下がります。

 洗い場は、掛け湯用の小さな水場があり、そこで常連さんは桶で組んで、ざぶりとぬるい湯を被っていきます。

 カランはピカピカ。高いタイプの椅子で、膝に不安があるご高齢の方でも楽に座れるようになっています。そこで、ざっと体を洗い、ますは露天風呂へ。

 露天用に設計された、吹き抜けの屋根に、夕闇の空が見えます。

 高い位置に作られた格子窓から、木枯らしが吹き込み、照明に浮かぶ白い湯気がくるりと舞っています。

 首まで湯に浸かり、風に頭を冷やす、この贅沢な時間。

 バスソルトを使った薬湯、高濃度水素水のマイクロバブル風呂、寝風呂、ジェットマッサージ風呂、何かいい匂いのする水風呂と、スーパー銭湯顔負けの充実設備。

 温冷交互浴をしているので、全部の湯船を試しつつ、水風呂でリセットで、堪能いたしました。

 寝風呂は、どうもこっ恥ずかしくて、駄目でした。

 ちょっと体を反らすと、『ひょっこりひょうたん島』になりそうで、気が休まりませぬ。

 裸でぶらぶら(何を?)でありますので、どうして見えてしまうのですが、「ツクリモノか?」と思える程のご立派なお道具をお持ちの紳士がおられることがありますね。

 そういう方に限って、必要以上に正々堂々されておられまして、寝風呂もまた彼らの独壇場のような気がします。

 つつましい野郎の僻みか? と、言われれば、そうかもしれません。なんとなく負けた気になるのは、確かであります。

 謎ドリンクも豊富でありまして、今回Getしました。ダイヤレモンと申しまして、きっぱりと無果汁。謎ドリンクが、冷蔵庫に増えて参りまして、相方には「なにこれ、怖い」と言われております。

 さて、この梅の湯さん、お隣になんと焼き鳥屋さんが併設されております。

 たっぷり一時間半も浸かって喉はカラカラ。生ビールが飲みたいところですが、私は禁酒の身。

 かつては、大ジョッキをチェイサーに、JJ&Sかジャックダニエルをボトル半分、多い時は一本、連日空けておりまして、タバコも一日二箱は煙にしておりました。結果、内臓ボロボロだったのであります。

 ついに倒れまして、退院後はきっぱりと酒・煙草を断ちました。

 付き合いで飲まざるを得ないことはありますが、それ以外は飲まない……なのです。

 でも、でも、見本誌到着記念だし、銭湯巡り復帰記念だし、健康診断終わったし、いいよね?

 と、この場に居ない相方に言訳しつつ、併設焼き鳥屋さんに入ってしまったのでした。

 カウンターだけの小さなお店。ママさんが一人で切り盛りしているお店です。

 ひとっ風呂浴びた後の常連さんが、立ち寄るみたいです。

 お互い名前も知っているような身内ばかり。私だけが部外者です。

 おばあ様が一人、齢六十を超えた感じの淑女が一人、ママさんとおしゃべりしています。

 私が頼んだのは、生ビールと、お新香と、お任せ五本盛り。

 お通しは、柿と胡桃と蒟蒻の白和え。

 常連さんのおしゃべりで、この胡桃は、冬休みに入ったママさんのお孫さんが、お手伝いで割ったものだと知る。

「いっぱい割ってくれてさ。全部入れちゃった」

 などと言って、コロコロと笑っていました。胡桃一杯の白和え美味しゅうございました。

 レバと皮と葱間をタレで。濃いタレの味が、ビールに合う。

 砂肝とつくねは塩で。しょっぱいのもビールが進む進む。

 二杯目行きたいのを貰えて、清算。

 軽く飲んで、さっと出るのが、江戸の粋ってもんです。

 すっかりアルコールに弱くなり、中生一杯で、ふわっと軽い酔いを感じます。

 暗くなった路地を、コートの襟を立てて風を避け、帰りのバス停に向います。

 今日も、いいそぞろ歩きでありました。


 今回の画像データは 鷹樹烏介ツイッター https://twitter.com/takagi_asuke

 を参照ください。

 

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