その11 冬コミ初参加と台東区 萩の湯さん(2018.12.29)
さて、毎度、ぼっちの髭面おっさんが東京近辺をふらふら銭湯求めてさまよっておりますが、今回は私の地元・江東区から台東区をめぐる『そぞろ鷹樹』。
『その9白山湯さん』と、対になっているお話でありまして、そうです、コミケなんですね。
夏コミのカルチャーショックぶりは、その9を読んで頂くとして、夏いったら冬もやっとかんと~と、思ったわけですね。
人生真ん中をすぎますと、新しい事に手を出したがらないもの。機を逃すと、多分もうコミケは行かないと思うので、思い立ったがラッキーデーなのでありますよ。
今回は、夏コミの教訓をモトに、主目的を設定。
とある研究家さんから「オスマントルコ帝国軍の軍服イラスト集あるよ」と情報提供頂いたので、この画集をGetするのを当該主目的としました。
余裕があれば、宝島社さんの先輩作家さんのコラボカフェに寄って、ツイッターで知り合いになった作家さんのポスターを見てこようというミッション。
ついでに、浅草で1月の法事の打合せをして、執筆時に焚くお香を買い、更に足を延ばして台東区の名銭湯『萩の湯』さんでひとっ風呂。懐かしの鶯谷の『信濃路』でホッピー&モツ煮~なんてコースを考えておりました。
ミッションが簡単(本当か?)なので、移動は都バス縛り。
ゆりかもめとか、東京行の臨時バスとか、メチャ混みなので、それを避けて乗継、乗継でいくのです。
相方は実家へ大掃除のお手伝いに行っているので、鷹樹さん一日フりーダム。放し飼いです。禁止されているお酒も飲んじゃう。
夏コミは、緊張して小銭を用意したり、非常食を用意したりしておりましたが、一度経験済みなので、余裕のよっちゃんです(昭和的)。
移動経路も、ホームグランドであります錦糸町から、乗り換え無しで会場まで都バスが出ていますし、コース取りは完璧。帰りは、夏コミ同様に東京方面ではなく門前仲町方面に抜ければ、いろんな路線がありますから、『第二級都バス使用技能士』の資格を持つ私ならどこにでも抜けられます。定期券持ってるから乗り放題なのでありますよ。
昼前には会場から抜けられるよう、10時には進発。
天気晴朗、なれども風強し。コミケ日和であります。
予想通り、錦糸町~東棟を結ぶ【急05】便は、がらがら。座っていけました。
砂町あたりを抜ける頃には、多少混んで参りましたが、東京駅発のぎゅう詰めに比べれば、快適であります。
東棟前で下車。あちこちですごい行列でありました。
下調べしてませんが、ぞろぞろとバス降りた方々についていけば、入口にたどり着けるでしょうよとタカくくって、るりるりら~と歩きはじめます。
降りた方々が左右に別れたのが少し気になりましたが、いかにもコミケなヒョロガリ眼鏡君(失礼)を私の先導役にエア任命して、彼の後をついていきます。私を導くがよい。
ぞろぞろと人が歩いています。前回ショックを受けた『あられもない格好の萌えキャライラスト付きバック』も、いちいちショックを受けません。
ヒョロガリ眼鏡君は、歩道橋を渡って、コミケ会場の方向へ。『こちらかは入場できません』の看板の前でしばし考えたあと、歩道橋を降りて東棟に向っていきます。
歩きながら誰かと携帯で話をしていましたが、それが中国語な事にやや不安を覚えながら、フェンスを挟んで東に沿って進みました。
心配なのは、肌色のショッピングバックを持った方々が逆方向から歩いて来てることで、その流れに逆らって歩いているのは、私専任の先導の中国人らしきヒョロガリ眼鏡君だけ。
道は、東棟を越えて倉庫街へ。
「あれ、道、違うんじゃね?」
と思い始めた時、やっと門が。
ですが、これは、出口専用でした。
呆然とする、ヒョロガリ眼鏡中国人と、わし。
逆方向に歩いてきた方々は、ここから出てきた早くもお宝Getした勇者たちだったんですね。
とぼとぼと元来た道を帰る、二人。
この無能な先導め! 金返せ!
と思いましたが、勝手についてきただけだったわ。
なんだよも~ まったくも~ とぶつくさ言いながら、ヒョロガリ眼鏡中国人を馘首して、バス停まで戻ります。
20分くらいロスしたぜ。
また歩道橋を渡り、案内図を見ます。
やっぱり、歩道橋から行くのが、近道でした。
また歩道橋を登ります。やっぱり、立ち入り禁止。
なんだよも~ まったくも~ とぶつくさ言いながら、また案内図を見ます(二度目)。
いっそのこと、フェンス乗り越えちまうかと思いましたが、不死身の杉本さんがフェンスの内側をぶらぶら歩いていて、怖いので断念(再現性高い軍服でした! すげ~)。
鷹樹さん、もうお家帰りたくなり、お腹も痛くなりました。
「フェンスは杉本が怖いからダメだけど、立札なら、気が付かなかった態でぬければいいんじゃね?」
と、黒鷹樹になりながら、三度歩道橋を渡ります。
行ったり来たり、なにやってんだか(笑)
すると、なんという事でしょう。『ここから先立ち入り禁止』の立札が無いじゃありませんか。
頭から「?」マークを生やしながら、ギュギュっと鳴るブーツを履いた仮面ライダー(だと思う)さんと一緒に通路に入ります。その先には、角が生えてるお姉さんが歩いていました。
あれだね、何度か行ったり来たりすると、通れるようになるフラグが立つんだね(RPGか)。
ヒョロガリ眼鏡中国人さんも、無事敷地内に入れただろうか。
建物の外周を回ります。
もうね、入り方がわかんないの。
喉も乾いてきて、お家帰りたくて、半べそです。
ナメで飲み物も用意してこなかったのが悔やまれます。鷹樹さん徒手空拳。
やっと、販売機を見つけ、「コミケ限定」のお茶を購入。メイド姿の女の子の図柄です。
図柄的に、髭のおっさんが飲んでる姿がキモいと思われるかもしれないので、普通のミネラルウォーターも購入。やっと心の余裕出来ました。
ふと見ると、販売機の横にガラス戸。
ここから建物内に入れます。
なんだよも~ まったくも~ とぶつくさ言いながらやっと侵入。
寒風吹きすさぶ外と比べ、気温も湿度も急上昇。
ニット帽とマフラーと手袋を鞄に仕舞います。
見た事あるゾーンだなぁと思ったら、東棟と正面玄関を繋ぐ渡り廊下の終着点でした。
やったね、ゴールは近いぞ! と、「東」と書かれたところに向う鷹樹さん。
一応、座標をメモした手帳を見ます。
痛恨のミスが発覚。「西」でした。
なんだよも~ まったくも~ とぶつくさ言いながら混雑する夕方の新宿駅東口改札ほどの渡り廊下の人の流れに乗ります。夏よりマシかな?
ここまで、1時間弱。
知り合いの作家さんに、心の中で詫びながら、コラボカフェとポスターのシークエンス省略することにしました。すまぬ、すまぬ。
とぼとぼと、正面エントランスに到着。
今度は西棟に向う流れに乗ります。
それにしても、すごい人の数だなぁ。大先輩作家さんに「コミケいくなら、私もいるので、合流しようか?」とおっしゃっていただいていたのですが、鷹樹の探査能力じゃ、待ち合わせ場所にたどり着けんと思う。サイン欲しかったのですが、断念して正解です。ご迷惑をおかけするところでした。
建物に入るだけで、1時間って……。ナメプしてました。
前回、夏コミで行かなかった西棟に到着。
ここは、4エリアに分かれていて、メモ帳には4の文字があったことから、西4というフロアを目指します。エスカレーターで行けば、すぐ上なのですが、保安上の都合で封鎖。
どこいけばいいのやら、うろうろ。
人の流れに乗って動いていると、いつの間にか出口へ。
「ちゃうねん、ちゃうねん」
と、なぜか関西弁になりながら、Uターン。既視感あるなぁ、これ。
エスカレーターの脇で、ちょっと休憩。お腹痛いので、トイレの場所も確認。
エスカレーターには、侵入者が出ないように、三角コーンが立てられ、警備員さんがいます。
その警備員さんに、真面目そうなお兄さんが話しかけていました。
「西4に行くにはどうしたらいいんですか?」
そう、それ! それが訊きたかったの!
耳をダンボのようにしながら、会話を盗み聞きます。「盗む」は響きが良くないなぁ。傍聴? うん、これでいきます。
真面目そうなお兄さんの後ろにくっついて、西4こと企業ブースを示す案内板を辿ります。
先任のヒョロガリ眼鏡中国人と違って、後任の先導さん、超優秀。
案内板を見つけて、的確に私を誘導してくれます(勝手についていってるだけだけど)。
そして、屋外へ。やっと、屋内に入ったのに、またお外だと?
仕舞ったマフラー等を引っ張り出して、武装しているうちに、お兄さんは先にいってしまいました。
でもまぁ、あとは延々スロープを登るだけなので、迷うことないでしょう。
西4は、ゲーム会社などの企業が集まっているエリアで、人気がある企業だと、混乱を避けるために、この寒空の下、直線二百メートルほどもあるスロープの半ばにまで並んでいます。
晴れててよかったなぁと思います。これ、ホワイト・コミケだったら、凍死者出るぜよ。
ええと、『オスマントルコ帝国軍の軍服イラスト集』とか、こんな大規模ブースの並びにあるんか? と、不安になりながら、会場をうろうろ。
ゲームキャラクター(何のゲームか鷹樹にはわからん)のコスプレのコンパニオンさんが、呼び込みとかしています。女の子なんだから、お腹冷えないように、気を付けてね。腹巻しなさい。
人の流れから逸れて、メモ帳を見直しました。
西はあってる。その次が違う。ここは5桁の数字の並びが番地になっていて、ひらがなが入っていません。そして、私のメモ帳には、4の文字が入っていますが、「西4」であるとは限らないことに気が付きました。
なんだよも~ まったくも~ と、ぶつくさ呟きながら、ぎったがえす「西4」の廊下に出ます。
今度はね。出かたがわかんないの。
封鎖されたエスカレーター使えば、下のフロアに行けるのに、スタッフオンリーなのよ。
ふらふらと、ガラス戸を潜ると、また、お外。
屋外展示場でありました。
なんだよも~ まったくも~ とぶつくさ呟きながら、またマフラーやニット帽を引っ張り出します。
目的地にたどりつけないまま、もう1時間半も彷徨っています。
ワンフロア下に行きたいのに、行けない。じわっと涙が浮かびそうになって、慌てて袖で拭います。
お家帰りたいなぁ……。
ここから、飛び降りてショートカットしちゃおうか?
わぁ~と叫びつつ、勢いでエスカレーターを駆け下りちゃおうか?
などと、悪い事考えていると、甲冑の騎士さんが通りかかりました。
成敗されたら怖いので、断念。彼は、企業ブースのところから、休憩に入るのでしょう。
その騎士さんが潜ったドアについていきます。
おお、その先は、下り専門のエスカレーターでした。
ありがとう、無名の騎士よ!
無事、西棟入口に到着。振り出しに戻る。
で、再突入。今度こそ、キメたい。
人の流れの外側にコース取りします。案内板出たら、仕切り板にはりついて、じっくりと見るためです。
案内板見える。
流れから外れて、立ち止まり、じっくり見ます。
あった! 一回目の突入時は、人の流れ優先で見落としていた案内板を発見。
目的地は「西1」でした。
父さん! ラピュタは本当にあったんだよ!
「西1」に入ります。
探すは、「ほ」という番地。
あった! 企業ブースと違って、こじんまりとした「ほ」のエリア。
そんなに人の流れも激しくありません。
おおお! 発見! 無事購入したぞ! てててれってってて~!(ドラクエ風ファンファーレ)
さっき、ちゃうねん、ちゃうねんとUターンした出口に向かいます。
ここ、前回も来た場所なので、もう大丈夫。
ざっとバス停を見回すと、ちょうど門前仲町行きの臨時バスだ出るところです。
ガラガラの車内。
滞在予定時間は1時間オーバーしましたが、無事に昼過ぎに離脱完了。
コラボカフェでお昼の予定でしたが、12時を回ったので、混雑しているでしょうから、断念。
ポスターも、これ以上迷子になる余裕がないので断念。
申し訳なかとです。
臨時バスは、無事に門前仲町に到着。もはや、ここは私のテリトリーです。
勝手知ったる【門33】バス停に移動。豊海水産埠頭と亀戸を結ぶ路線です。
接続良く乗車。目指すは、本所吾妻橋です。
石原、本所と、鬼平犯科帳の舞台を巡りつつ、浅草と目と鼻の先の本所吾妻橋で下車。
ちょっとだけ歩いて、リバーピア吾妻橋のバス停に行き、金町と浅草寿町を結ぶ【草39】路線のバスを待ちます。
ここも、運よく待たずにバスが到着。
浅草国際通りの手前の、浅草一丁目で下車。私の菩提寺のすぐ近くです。
法事のお斎の会場になる、老舗の釜飯で有名なお店にて、打合せ。
このまま、ロック方面にあるいて、行きつけの洋食屋さん『リスボン』さんに向います。
ここで、カツサンドとマカロニグラタンで遅めの昼食。
伽古屋先生の『冥途ごはん』に私が登場するなら、これを頼むだろうなぁ。
さくっとしたパンの外側と、キャベツの水分とカツの油を吸ってしんなりした内側の歯触りの良さよ。
分厚いロースカツを食いちぎる時、生命の迸りを感じる。命を頂いて、命を繋いでいる感じがします。
甘みと酸味が強いソースが指に垂れて「なんだよも~ まったくも~」と、しゃぶる愉悦。
こっちの、何だよも~は、良い「なんだよも~」です。
バター香る素朴なマカロニグラタンを、ふうふう冷ましながら食す。
アルデンテも何もない、クタクタのマカロニが、ホワイトソースにまみれてじわっと味がしみ込んでいるのがいい。
グラタン皿についたおこげを削ぎおとし、僅かな苦みを楽しむ。
ここもかなりの老舗ですが、消えずに残ってほしい店ですね。
浅草をぶらつきながら、仏具屋さんに。
ここでは、お香を買います。
街に人が多いですね。外国人観光客も増えた気がします。
一時期、閑散としてしまったので心配していましたが、復調してきたのでしょう。
丁子の香りのするお香を購入。
大きなサイズは、なかなかなくて、浅草で買っています。
執筆時に、お香を焚いているんですよ。書いてる時は、気が昂ぶるタイプなので、緩和するため。
この『そぞろ鷹樹』は例外。気楽にるりるりら~と書いてます。
浅草と足立区梅田を結ぶ【草41】のバスに乗ります。
途中の鶯谷で下車。
私はかつて、鶯谷と根岸の中間あたりにある事務所に勤務していたので、鶯谷やら日暮里やらで飲んでいたのです。
体が冷え切っていたので、台東区の名銭湯萩の湯さんでほっこり。
70円でタオルレンタルも出来るので、手ぶらで来れます。
炭酸泉15分、水風呂5分を3セット。高温風呂10分(限界)、水風呂5分を2セットで、さっぱりポン。鶯谷駅前の老舗大衆居酒屋『信濃路』さんへ。
久しぶりにホッピー! プリン体もなく、カロリーも低い、おっちゃんたちのの味方ホッピー! からからの度々にしゅわしゅわとホッピーと安焼酎がころがり落ちていきます。ぷは~!
ポテトサラダともつ煮込みで、一杯。味噌仕立ての煮込みが、サラリーマンなり立てのころの、味で懐かしい。
ナカを2回お代わりして、おつまみ追加でコーンバター。
佐藤青南先生の『サイレントヴォイス』を読みながら、ふわっと酔います。
知ってたけど、超面白いんですけど。私は、体育会出身なので、西野君に感情移入しました。
エンマ様鈍くて、じれったい! 犯人追及はあんなにするどいのに、も~。
ホッピーもう1セット頼もうかと思いましたが、深酒厳禁。
再び【草41】に乗って、今度は三河島駅前で下車。
ここで、わが町亀戸をまで行く【里22】のバスに乗り換え。
迷子になった以外は、結構順調に行けたんじゃなかろうか。
久し振りに下町も堪能。
あちこちで、小屋掛けされて、角松や正月飾りが売っていたのが、いかにも師走の下町風景でありましたよ。