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勝負


 自身の戦闘を終えた後にアリスが戦闘訓練を行っているであろう部屋へと向かったのだが、彼女も戦闘を終えているらしい。ニコニコして訓練室から出てきた。


「あ!ディルだ!アリス勝ったよ!」


「さすがは俺の友達だ!俺も勝ったぞ!」


 

 ニコニコ顔で戦果を報告するアリスとは対照的に、青い顔をして出てくる生徒。きっと黒ウサギに怖い思いをさせられたのだろう。

 ふと、人が横切った。光の当たり方で紫に見える白髪の、矮躯な男。何人もの人間とすれ違う校内でなぜこの男にスポットを当てたか。理由はすれ違うギリギリまで存在に気付かなかった。普通ならここで「こやつ、出来る!」ってなるところだが、俺が感じた印象は「この人、影薄いな~。」であった。


 その後はアリスと雑談をしながら互いの対戦相手を確認しに行った。俺の対戦相手は・・・椿つばき りんって人・・・あぁ、例の女の子だ。学級委員とかやりそうな。



「次の組み合わせに進んでください」


 そうアナウンスが聞こえた。アリスに「頑張ってね!」と激励され、なんとなく降参できなくなった気分で次の戦闘訓練室へと向かう。



 既に異空間へと到着していた椿は、正座し、剣に手をかけていた。剣・・・じゃないな。刀だ。極東の国でサムライと呼ばれる先頭集団が使う武器。片側にしか刃を持たず、反りがあり、切断力を高めたデザインの剣。特に極東の国にある刀は、刀を作る専門職がいる。鍛冶屋ではない。文字道り、刀を専門に作る者を言う。なぜ詳しいかって?なぜか興味を惹かれたからだ。


 とにかく、椿さんは、刀を使うサムライなのだろう。楽しみだ。どんな戦い方をするんだろうか。










~~椿 凛~~


 これは戦闘訓練ではない。将来の序列を決めるための戦闘だ。真剣勝負だ。しかし、目の前に現れた男は楽しそうに、興味深そうに私の事を見るだけだった。強さは感じない。楽勝だ。勝てる勝負だ。しかし、油断禁物。一太刀で仕留める。そんな意気込みでコイツに向かう。



 カウントダウンが始まった。片膝立ちになり、刀を構える。居合で仕留める。最速最強の一振りで仕留める。私が最も得意な技で。

 カウントがゼロに向かい進む最中に目の前の男は、全く緊張感が無い顔で首をボキボキ鳴らしている。



 そしてカウントがゼロになる。私は全力で男との距離を詰め、最速の一太刀を放った。確実に男の首を跳ねたはずだった。間違いなく直撃の速度だったのだが、手ごたえが無かった。男は、紙一重のところで躱されたようだ。不覚にも驚いて一瞬、ほんの一瞬。普通の人なら気にも留めないような一瞬。固まってしまった。



 そこで勝負は決した。

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