表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

魔の教室M組



 ~~入学式当日~~



 やべーよ、完全にクラス分けテストの存在忘れてた。しかし、昨日のアリスの話だと、魔法基礎知識、魔法実技、戦闘能力のテストを行うらしい。俺は戦闘に関しては問題ない気がする。魔法発動も問題ないはず。知識は~・・・どーにかなるだろ。そういう結論に至り、対策は別に行わない事にした。


 朝はアリスの水魔法で叩き起こされた。寝耳に水って実体験するとめっちゃ怖いな。溺れる夢みたぞ。仕方ないので、濡れた布団を干し、風呂に入る。

 濡れた髪は、アリスの魔法で速乾だった。俺じゃなけりゃウェルダンに焼きあがっていただろう。ひとまず優しく注意をしておいた。その後は、櫛で髪をとかしたり引っ張られたりと、コレ遊ばれてんな。おそらくアリスの事だし、人形遊び気分なんだろう。

 にしても、入学式ってのは微妙に緊張するもんだな。制服を着ながらそんな事を思った。



「できた!これでディルも綺麗だね!」


「おお、ありがとさん」


「ディル?時間、大丈夫?」


「ん?やばいな!走るぞ!」


 そうして部屋を飛び出す。これはスタートダッシュ失敗した感じかな~。アリスは足が遅いのでおぶって走る事にした。


「アリスお姫様抱っこがいい!」


「暴れんな!落ちるぞ!」



 そんなバタバタした感じで始まった学生生活開始の儀式、入学式だが・・・学長の話が長い!長い長い儀式を終えた後、それぞれクラス分けテストが始まる・・はずだった。けど、俺もアリスも免除らしい。対策しなくて良かったー!


 クラス分けテスト免除組みは今日からオリエンテーションがあるらしい。クラスは全部で6つある。成績が良い順に、S、A、B、C、Dとなっている。そして俺たちが入るクラスはどれでもない特殊クラス。M組とか呼ばれているらしい。もしかして問題児クラス?でもアリスと一緒のクラスだし、それはないか。

 そんな事を考えながら歩いていたら・・・迷った。


「ねーディル!まーだぁー?」


「んー・・・迷った」


「っえぇぇ??」


 叱られた。1000歳下くらいの少女に怒られた。なんとも情けない気分だ。俺らがその辺をウロついていた先生に教室の場所を聞き、なんとかM組の前まで来れた。


 意を決して中に入ると、異様な雰囲気だった。淀んでいるというか、温度が低いというか・・・20人くらいのメンバーだった。なんというか殺伐としてる。アリスが怖がってるというのにメンチきってくる奴がいる。ぶっ飛ばそうかな・・・。


「さて席につくか」


「・・・うん」


 凄く入りたくなさそうなアリスの手を引き自分たちの席につく。アリスは俺の隣の席に腰かけた。周りの奴等の年齢は16くらいだ。アリスは周りに比べて幼い、そのせいか机と椅子がちょっと大きめだ。


 これからの学生生活の事を考えていると、前の奴が振り返ってきた。なんか歯がギザギザしてて悪そうな奴だ。赤い髪の毛が印象的だ。


「なーお前、その小っこい奴、何だ?」


「友達」


「なんだそりゃ、からかってんのか?お前」


 なんなのコイツ!いるよね他人に絡んでくるくせに態度悪い奴。うっとうしいわー。はい、コイツ友達候補にはなれず残念だったな!


「からかってないから、前向けよ」


「つれねえ事言うなよな、お前何でここがM組って言われてるか知ってるか?魔王組ってんだよ、毎年M組で一番腕の立つが魔王って呼ばれるんだぜ?ま、魔王になるのは俺だろうけどな!」


「へー」


 魔王か、いつの間に憧れられる存在になったんだ?魔王ってのは・・・そんな事より、魔王を生み出す教室か。なんの因果かまた魔王を目指して生活するのかー。あ、魔王になるのはコイツか。


「はーい、皆さん静かにしてくださいね」


 先生っぽい人が教室に入ってきた。黒い髪の毛に黒い瞳だ・・・同族かな?真っ黒の髪の毛は高位の魔族に多い特徴だ。人間界では珍しい髪の毛の色だ。口調は穏やかで優しさを感じさせるが、こやつできる!知らんけどなw



「さて、私が本日から皆さんの担任になりましたシーナ・ベルフォレッタです。よろしくね」


 先生のニコニコした自己紹介に誰もリアクションしないのかと思いきや、一人の女子生徒が「よろしくお願いします」と返事をした。ほぇー、たった1人でもリアクションするとは真面目だな~。

 ハキハキと聞き取りやすい口調の生徒だな~。奴はクラス委員とかになる事だろう。これまた知らんけど。


「さて、ではM組についてお話ししますね。私たちM組は少し変わった境遇の生徒を集めたクラスです。1年間M組で勉強したら、来年からは他の皆と同じクラスになります。なので早く学校に慣れてくださいね。くれぐれも魔王なんて言われないようにね!

 それでは!皆さんお待ちかね、自己紹介の時間です!ミーナさんから順にお願い。内容は任せます」



「はーい、ミーナ・ファンレローズです。得意な魔法は幻術系の魔法です。北部出身です。趣味は、読書です。よろしくお願いしまーす。」


「はい、拍手」


 少数の拍手が起こる。アリスを見ると、拍手していたので俺も拍手することにした。そんなこんなで自己紹介は順調に進んでいった。意外とみんなちゃんと自己紹介している。適当に聞き流していると、唯一先生のよろしくお願いしますを返した、通称クラス委員長の番だ。


椿つばき りんです。極東出身です。よろしくお願いします。特技は身体強化魔法です。剣の腕にも自信があります。1年間の目標は、序列10位圏内です」


 彼女の自己紹介の後、クラスがざわついた。どうやら校内の純粋な戦闘力だけをランキング化したものが序列らしい。学期末にランキングを決める模擬戦があるらしい。血の気の多い奴が多いM組でそんな事を言ったらザワつくよな。

 するとアリスに順番が回ってきた。


「あの・・アリスです。よろしくお願いします。」


 さすが我が友!簡潔な自己紹介だ!俺も見習うとしよう!赤面してるのもキュートだ。100点!


「さすがだアリス!簡潔で分かりやすい」


 褒められて嬉しそうなアリスとは対象に、ほかの生徒からの視線がアリスに集まっている。ま、可愛いしな。アリス。


 目の前の男は案の定、目標は魔王だ!とか言って爆笑を巻き起こした。先生は「だから魔王なんてダメですからね!」とプスプス怒っていた。そして俺の番。


「ディルです。よろしくお願いします!」

 ふ、完璧だ!と思ったのだが、先生に阻止された。


「あら?時間が随分余ってしまいましたね。じゃあ最後のディル君に先生から質問です。1年の目標と、特技と、趣味、はい!教えてディル君」


 えぇー不公平だろ!なんで俺が余った時間潰しに使われなきゃいけないの?コイツなら良いだろう的な感じ?教師もグルのイジメか?仕方ないので付き合う事にした。


「はい、目標は、友人を作る事です。特技は闇属性魔法です。趣味・・趣味は~、魔法の勉強かな~。特にないです。」


「よ!真面目君!」


 そう誰かが言いクラスの何人かがクスクス笑っている。声の主は、金髪で体の大きな生徒がヤジを飛ばしてきたようだ。こいつのあだ名は問題児だな。まったく、俺のアンラッキーカラーは金で確定だな。あ、でもアリスは別だよ?彼女はもっと綺麗な金髪だから。


「はい、皆さんお静かに。ディル君ありがとう。さて、私たちM組はいろいろな国のいろいろな人種のお友達が集まっています。M組は隔離されているわけではありません。学校生活に慣れる第一歩だと思って仲良く過ごしてくださいね。あと毎年M組では戦闘で魔王を決める事を勝手に恒例行事にしてますけど、ダメですからね?

 M組は戦闘能力に長けた人が多いですけど、喧嘩はダメですよ。それに来年からは魔法の腕や学力が問われるので、ちゃんと勉強しましょうね!分からないことは先生に聞いてください!」


 ニコニコと穏やかな口調で先生が話す。対して生徒達はまったく興味なさげだ。くそぅ何と友達作りに適さない環境なんだ。アリス一人友達ならいいか!

 その後の先生の話は、今日行われている能力テストについて、M組だけ明日行うそうだ。戦闘訓練があるため支給された戦闘服を持参しろとの事。などの説明を終えると、解散となった。他の連中は戦闘訓練を見学に行くらしい。凄く悪そうな顔をしていたので俺は行きたくないな~。アリスも部屋に帰りたいらしいので帰ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ