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元魔王が、学校に通うことにしました。

 ついに完成した。魔法と呪法のコラボレーション!ま、黒魔法を少しアレンジしたんだけど、それはまぁいいや。にしても、大変だった!!けど、魔法も上達したし、大まかなシステムも理解した。楽しかった~。なんつーか・・・やり遂げた~。


 そんな事を思って睡眠に突入しようとしたところで天界に転移させられそうになった。慌てて魔眼を開くと、どえらい魔法現象が起こっていた。神様のパねえ!・・・すると真っ白な世界に転移していた。



「おい腐れ魔王。お前一体どんだけ部屋に引きこもってんだ!」


 フワフワ金髪の神様が怒ってる。冷静に考えると神様怒らすとかデンジャラスだな。でも言われてみれば家からしばらく外に出てないな。


「んー1か月とかかな?」


「100年くらいだよバカ」


 あー100年か、俺一つの事に一人で没頭するとこうなるんだった。年取ると月日が過ぎるの早いな。ん?て事は100年間自宅を守り続けたレジェンド自宅警備員だな。定職についたなら一体いくらまで退職金が上がるのか・・・そんな物を求めないのも自宅警備員の流儀だ・・・やめよ。なんかくだらない年月を過ごしてきた感が増す。


「俺はお前が死んだかと思ったぞ?100年間部屋から出て来ないで。」


「そりゃそうですよ、飯を食わなくても死なないし、飯を食わなきゃトイレにも行かんし。」


「お前な、そういう事してっと人間と離れていって角が生えてくるぞ?まぁいい、俺は反省した!お前に冒険者登録と、拠点を手に入れさせれば冒険に出るはずだと思ったんだが、甘かった。それで次からはもっと細かい指示をだす、それに従え!さもなくば殺す」



「えぇぇぇぇぇ!?」


 ちょっとこのフワ神何言ってんのぉぉぉ?最後のとことか横暴がすぎるだろ!俺より魔王向いてそうなんですけど!


「お前には学校に通ってもらう!そこで学生とともに生活し、社会適合者へと成長しろ!」


「はい!魔法学校を希望します!!」


「許可する・・・そうだな、中央魔法大学への入学手続きを進めさせる。幅広い身分の者が世界中から集まる世界最大にして最先端の魔法学校だ。」


 キタコレ!魔法学校とか楽しそう。新しい魔法理論作れるかも!でもスクールライフか~面倒くさそうだな。


「ちなみにお前が最後に倒した勇者いるじゃん?あれの血を引く奴通ってるから気を付けろよ。それに昔の勇者パーティーメンバーの血を引く奴とかな。まぁ、お前は顔割れてないから大丈夫だろ。」


 え?適当じゃね?お面被ってだけで本当にバレないの?てか貴族も平民も通ってるのか~、俺の身分ってどんなんだろ。元王だし、貴族くらいの身分なのかな・・・あ、ただの引きこもりか。


「ちなみに、魔法大学と違って子供しかいないから。少し見た目幼くしとくぞ。感謝しろ指令のバックアップはする。」


「あー、神様や、俺の見た目っていくつ位に見えるの?」


「知らん、それから俺の事はロアと呼べ」


「この神様えらく適当だな!」


「なんにせよ、学校に必要な物資はお前の部屋に送らせといた、入学式は明日だ。今日から学生寮に入れる。学校では呪術使うなよ?お前の正体がばれる。それから学校では友を作れよw」




 最後の一言を言うとき悪そうな笑みだったのが気になるけど・・・。ざっと適当な注意を受けたところで自宅へと転移していた。魔法学校に通うのは正直楽しみだ。でもよく考えたら俺、魔王になる前は学校に通っていたんだよな?

 にしても、友を作れか・・・なんでだろう、前世の記憶はあんま覚えていないとはいえ、友を作った記憶がないな。なんだろう、今心が冷たくなった気がする。


 あー、そういえば俺の見た目、若くしたとか言ってたけど、目線が低くなった気がするのはなぜ?そこで、見た目を確認してみると少し子供っぽくなった気がする。まぁ年齢の概念には疎いからよく分からない。

 でも背が縮んだせいで髪が長くなった気がするな。背を縮めるなら髪も縮めてくれよ。でもコレ邪魔だけど以前自分で切ったら凄いイジられたしな。それ以来髪切るの怖いんだよなー。ま、放置で。



 にしても、荷物が見当たらないな。部屋を探してみると一通の手紙と、学生証みたいなのがテーブルの上に置いてある。とりあえず手紙を読んでみる。


「ニートへ、学生証をもって魔法学校へ行け、そこに学生寮があるからソコが今日からお前の部屋だ。学校で使う荷物はソッチだ。目を通しておけ。寮長に軽く説明聞けよ?常識の無いお前には必要な手順だ。あと、お前が秘かに出版した本だが、あれは自分で書いたって言うなよ?

では、良き学生生活になる事を祈っている。

 ちなみに、友を作れなかった場合は抹殺するからなw」


 wじゃねーよ。スゲーむかつく。てか本の件、バレてたか。仕方ない、とりあえず学校に行くか。なんとなく学生証を開いてみると、俺の顔写真と名前が書かれていた。ディル・ロザースト。これを名乗ればいいのか。てな訳で学校へと向かう。


 魔法学校に到着した。学校は広く、立派な校舎が並んでいる。すげーな、どんだけ金かかってんだ?デザインまで凝ってんな~。しかも学校に張ってある結界もなかなかの物だ。凄腕魔術師がいるんだな!これは楽しみだ。


 新しい環境に飛び込むっていうのは期待と不安が混じった緊張感があるものだ。しかし、長すぎる時間を生きた俺だからこそ新鮮さっていうのはこの上ない喜びだ。


 学生寮に入ると、入寮手続きが済んでいるため、管理人さんから簡単な寮のルールについて説明を受けた。ルールの内容は簡単だった。


 門限は夜の10時だ。

 領内での魔法の使用、私闘は禁止だ。ただし、正規の手続きを踏んだ決闘であれば地下にある闘技場の使用を許可する。

 最後に、一般生徒の学生寮は見ての通り、一つ。半分が男子寮、半分が女子寮なんだが、君の部屋は寮の構造上、唯一女性寮の隣の部屋だから気を付けなさい。

 あと、貴族の方々も同じ建物に住んでらっしゃるから、分かると思うけど絶対に問題は起こさないでね。だそうだ。


 との事だ。なんとなく女性寮に最も近いって皆がこぞって住みたがりそうだが、意外と人気がないらしい。美人がすくないのかなぁ?



 説明を終え、部屋に向かって歩くと何人かの生徒とすれ違った。そのうちの一組の会話が聞こえてきた。


「入学早々テストあるらしいぜ?」


「マジかよ、それって筆記試験?」


「筆記だけじゃねえよ、魔法と戦闘って二種類の実技もあるらしいぜ?」


「うっわ~、それで1年生の地位が決まんのか~、上のクラス行きてえなぁ~。」


「バカ、上のクラスは貴族ばかりでキツイだろ。」


「そんな上行ける奴とかこの寮にいねーからw」


 


 なんて笑いながら話していた。テストあるとか聞いてねーな。それより、普通ルームメイトがいるもんなのか。て事は俺もルームメイトと友達になれば指令クリアーだな。意外とチョロいな~。


 歩いていくと俺の部屋の前に誰かいる・・・3人も、泥棒かな?



「あなたが、この部屋の住人ですか」

「寮長、こいつ怪しいです!」


「そうだけど?」


 どうやら泥棒じゃなくて寮長だったらしい、これ手土産でも持って来なきゃいけなかったのかな?寮長は女性だ。ウェーブのかかった長い髪に、何か強い意志を感じる印象の目つき、そして胸が大きいのが特徴的だ。この態度・・・貴族っぽいな。


「私は寮長の3年生Sクラス、ルーシー・リリディアントですわ。あなたの部屋は見ての通り女子寮と隣り合っています。私もこの階の部屋に住んでいますわ。監視の目が厳しいのにも関わらず、女子生徒を部屋に連れ込んだりと、馬鹿な真似はしないでくださいまし。」


「私は副寮長のリリー・ヴァイオスです。この人はレベッカ。以後お見知りおきを」


 自己紹介してくれたのは青い髪をショートカットにした女性だ。大きな杖を持っているのが特徴的だ。少し子供っぽい印象を受ける容姿だ。それよりコイツ俺の事見て怪しいとか言ったよね?

 

 レベッカと紹介された女性からは自己紹介をしてもらってないのが気になったが、俺も自己紹介をすと、一言だけ

「それでは良い学生生活を。」と言いルーシーが踵を返し去っていく、その後ろをついていくリリー。


「よー、ロン毛。面倒事は起こさねえ事だ。あたいらを敵に回すとこの学校じゃ生きていけないんだぜ?気つけな。」


 そう言い、鋭く俺の事を睨み、去っていったレベッカ。真っ赤なポニーテールを揺らしながら遠ざかっていく。何アレ、友達になれなそう。



 なるほど、この部屋はそうゆう訳で誰も住みたがらないんだ。なるほど、女子との距離が近く、監視が厳しいとは地雷原みたいな部屋だ。

 俺の学生生活は前途多難だな。と、頭を掻きながら部屋へと入る。


 そこには、一人の幼い少女がいたのだから、学生生活一歩目から地雷を踏んでしまった事に泣きそうになった。

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