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前編

長くなったため、前編と後編に分けました。

土曜日の午後

行き着けの喫茶店で

昼食のカルボナーラと

食後にブラックコーヒーと

ティラミスを食べる


それが、私の休日の過ごし方


あの娘から告白を受けたのも

土曜日だった――


二月の十四日の土曜日

俗に言うなら

バレンタインデー


その日も私は

いつものように

行き着けの喫茶店で

いつもと同じカウンター席に座り

いつもと同じメニューである

カルボナーラとコーヒーとティラミスを

顔馴染みである

この喫茶店の

看板ウェイトレスである

あの娘に頼んだ


「いつものメニューですね

しばらくお待ちください」


鈴のような彼女の声に

私は心地よさを覚える


店内を見渡すと、私以外に客はいない

私はこの時間帯にしかいないから

この喫茶店が繁盛しているのかいないのか

私には分からない


まぁいい、持ってきた本でも読みながら

頼んだメニューが来るまで

隙をつぶしていよう――


「お待たせいたしました。

こちら、カルボナーラとコーヒーとティラミスになります」


しばらくして、トレイに頼んだメニューを乗せた

彼女が声をかけた


「ああ、ありがとう」


私はそう言うと、読んでいた本を

脇にどかして

頼んだメニューを置くスペースを作る


それを確認した彼女が

トレイからメニューを

取り出して

カウンターに置いた


カルボナーラとコーヒーはいつも通りだったが

ティラミスだけ違った


生クリームにチョコソースがかかってあるのは

いつも通りなのだが

今日に限って

生クリームに寄り添うようにして

刺さってある二本のポッキーが

片方だけ、クレープロールチョコになっており

さらには、手作りらしい

星形のクッキーまで刺さってある


「……これ、いつもと違うけど

どうしたの?」


「ティラミスですね

今日はバレンタインなので

今日だけ特別に、デザートを頼んだお客様に

手作りのクッキーをつけてあるんです


あ、マスターの許可はいただいてあるので

そこは大丈夫ですよ」


私の抱いた疑問に

彼女が丁寧に

説明してくれた


カルボナーラを食べ終わったら

いただくとしよう――


カルボナーラを

いつもと同じように食べて

口直しにコーヒーを啜る


ここまでがいつもと同じ


しかし、ティラミスだけは

いつも通りではない


なぜなら、いつも通りじゃないからだ


たまにはこういうのも

悪くはないな


私はそう、顔を綻ばした


どう食べるかなんて

気にしても無駄か


フォークで一口サイズに押し切り

そのまま口に運ぶ


コーヒーを浸らせたスポンジ生地と

上にかかっているチョコソースが

口の中でほどよく混ざり合って美味い


今度は、同じように

フォークで一口サイズに

押し切ったティラミスを

横に添えられている

生クリームに

少しつけて食べる


生クリームの甘さが加わって、

美味さの広がりを感じた


そこにポッキーを一口かじり

サクサクとした食感が

新たな広がりを

口の中に感じさせる


私がティラミスを楽しんでいると

目の前から視線を感じた――


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