第9話 最頂天を目指す者
準決勝第二戦、開始……
前回までのあらすじ────
間も無く迫る決戦。前回は想像を絶する膂力を誇る霊が海斗を圧倒するも、倒される直前に『何か』に目覚めた海斗の一撃に依る条件勝利となった。世界を超えた者の実力を目の当たりにした刀剣使いと微笑みの福神……彼等は、その強さに震撼し、尚且つ憧れていた。
数多の英雄すら誰一人到達し得なかった力、二人のいずれかが、その一端に手を伸ばす……
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【補正結果】
真里→始動
刀哉→始動
・真里、『資格』を持つ者と暫定
・刀哉、『資格』を持つ者と暫定
・両者のステータス変更
真里
攻撃力=100%→200%
防御力=100%→150%
刀哉
攻撃力=100%→70%
防御力=100%→70%
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曰く、それは穴であると。
曰く、それは道であると。
曰く、それは理であると。
ならば、ならばこれは何とする……
彼、彼女が目指す末路を、何と指す。否、然して、それは末路に非ず────
『そう。それは【はじまり】に過ぎない』
此処は準決勝最後に相応しい地なのか? 広大な荒野は白金の如き艶と色をしているが、天は、頭上の闇は、正面の遥か遠くの金色の光に吸い込まれているようだ。
此処は、異界の再現でも、何処かの景色の再現でも無い。此処は正しく、実在の地。そして、闇を吸い込む金色の光こそが、道である。
「来たか」
「来てしまいました」
「思えばここまで長かった様な気がする。ホンの数十分しか経ってないのだとしても、それは那由他の彼方すらも敵わぬ時間よ」
「何とも言えず殺伐として来ている様な気はしますが、これは終わりが近づいてるからなのでしょう。現にこの場は途轍も無い場所、私達は今何を視ているのでしょうか?」
「さぁわからぬ。ただ、この世の終わりでは無いのは確か、寧ろ"その逆"と言えるだろう」
振り返るべき事など何も無い、今はただ、全力を尽くせ。
『それじゃ二人とも、今回の闘いの前に、優から言うべき事があるそうだ』
瀧沢が突然二人の横に現れて言葉を口にすると、直後に優も二人の前にいきなり現れた。既に毎度見ている光景ではあるが、何の気配もしないのは異常と言うべきか、正常と言うべきか、それとも……
『今回はラスト手前だ。お前さん等が目覚める"可能性"を特別に引き出しておく』
「なッ!?」
「目覚める可能性!? そんな、良いのですか!? まだ私達は準決勝で、闘ってすらも居ないのに」
『ゲームの体験版、あるだろ? あんな感じで、先行して堪能しておけ。今回の補正にも"始動"を掛けた』
驚愕。二人は、憧れさえ抱いた力の可能性とやらを体感出来るらしい。だが、それは一応の海斗も似たようなモノだったのではないか? 霊を傷付けたあの一撃、無類の一撃、アレは一体何だったのか、定かでは無い。
とは言え、今回の闘いは非常に愉しみになる筈だろう。制限補正が余り掛けられなかった今回なら、全てを駆使して挑めるのだから。さて、と言わずに瀧沢が両手を叩く。
『これより、準決勝第2を始める。勝負、開始!』
途端開始の号令が告げられるも、しかし、二人は踏み出さなかった。開始の瞬間に優が消え、瀧沢が視界から居なくなる一部始終を目撃して、立ち尽くしていた。すると不意に真里がさりげない仕草の中で苦無を投げた。
無論、照準は刀哉なのだが、彼は刀を抜く素振りをしながら右手で飛来する苦無を摘み、それの柄の穴に指を入れて回し始めた。一見、気楽に見える光景が、一気に苛烈に加速する。
「ふふっ♪」
「フンっ」
息を漏らすように笑い、微笑み、苦無を放る真里と、鼻を鳴らし、手に持った苦無で同じ苦無を退ける刀哉。二人の距離は約10m、その間を一瞬で到達する苦無の感覚が、次第に短くなっていく。
何と、二人は互いに近づいていた。互いに近づき、歩み、踏み入り、距離は7m、5m、3mと縮んでいく。距離1mに差し掛かった時、二人の織り成す光景は常軌を逸したモノとなった。
真里は既に投擲する必要も無い苦無を延々投げ続け、刀哉はそれを涼しい顔をして往なす。当然、そうなると周囲に真里の苦無が沢山転がっている。中には刃毀れを起こした物も多いだろう、だが気にするべきなのはそこでは無い。
真里が苦無の投擲を始めて1分が経過した、投擲数は両手で隙間無く放っている為、簡単に300本。少し待とう……真里の腰には苦無を収納するケースがある。しかし、300と言う数の苦無をそこに収納するには、ケースそのもののアイディアが特異であるか、ケースそのものが特異である必要がある。
だが、この事は前者後者どれでも無い。では、一体何が起こっているのか?
「その苦無、一体何本在る? 彼此百単位は弾いた筈だが、そちらは尽きる様子が無いな」
刀哉が投擲される苦無を高速で弾き飛ばし続けながら問い正した。延々繰り返される投擲運動を見るのが飽きたのでは無い、延々繰り出される苦無の本数が明らかに奇妙なのが気に掛かった。
「そうですよね、やはり気になりますよね。ではお見せ致します、私の"可能性"を────」
言葉の途中で投擲運動を止めた真里は、バック宙をしながら刀哉から離れた。何か来る……そう察した刀哉は今まで持っていた一本の苦無を放り投げて身構える。真里は、大の字に体を広げ、天を仰ぎ見る。
それから前髪が逆立ち、直後白い光が真里の額に回転しながら出現し、時計の形を象った。針は苦無の形をしており、高速で反時計回りに回り出す。そしてゼンマイの様に時計回りを始めた。
「今より私は、8分間無敵です」
瞬間、真里の全身を光が包み込み、殻の如く徐々に剥がれていく。光の中から現れたのは、『大丈 真里』と呼んで良いのか皆目判らないが、とにかく、進化を遂げた彼女の姿が有った。
虹色に輝く頭髪と眼、上半身と下半身は共に『羽衣』の様な衣服に身を包み、背には細長く光子化した無数の苦無が浮いていた。何より、彼女の額に浮かぶ時計と思しき"象り"が当然みたく針を回している。
「なるほど、8分か。理解した」
刀哉には理解出来た。額の時計は分時計と同じ用途を為し、それは彼女の今の形態の時間の限界を表している。強いて名付けるならば、彼女の額に浮かぶ時計の象りは、"刻限"と言うべきか。
だが耐久をさせてくれる程甘い進化では無いだろう、それが"刻限"の在る理由。
「では、こちらも出し惜しむまい。存分に闘おう……」
そう言葉を口にした後、刀哉は鞘から刀を抜き、刃の尖端を地面に突き刺した。突き刺した刀の柄を手から放すと、仁王立ちで両手を刀の刀身近くに寄せて、目を瞑った。すると暫く後に刀が振動を始め、間も無く地面から離れて宙に浮き出した。
刀哉は浮いた刀に合わせて手を上げていき、息をゆっくり吐きながら両手を自身の胸に素速く向けた。刀は刀哉の両手に従い、刀哉の胸の中心、壇中を貫いた。
突如たる刀哉の行動に、観覧していた全員が騒然とした。優、龍神、瀧沢を除いて……
その時、刀哉の胸に突き刺さった刀は刀哉の体に溶けていき、瞬間刀哉の頭髪が逆立った。髪が逆立つと同時に刀哉の体から心臓の鼓動が全体に響き渡り、鼓動が衝撃波と化して真里を薙ごうとする。
だが先ほど真里自身が口にしていた通り今は無敵、衝撃波は真里に当たる直前で消し飛んだ。心臓の鼓動を響かせる刀哉の髪は次第に白く染まり、瞑っていた目を開け、再び衝撃波を放つ。
今度はさすがの真里も踏み止まる必要がある威力だったようで、衝撃波が迫った直後、押されて退いていた。一方、刀哉は開眼した瞬間、目の虹彩が澄んだ青空と同じ色に染まり、その眼で真っ直ぐ真里を見詰めた。
「刀は常に、時代と共に進化する。吾と交わり、吾自身が刀と成る。これぞ『真神・経津深魂』、刀剣の主との真の意味での"融合"よ」
刀哉の内には、経津主神と言う、刀剣の神様が『魂』として宿っている。一度彼が生命の危機に陥れば、彼の肉体に直接宿る事で顕現し、大いなる力を以って他を圧倒して屠る。その時の一人称も"我"になり、神らしい言動を取るようになる。
が、今の彼はそうでは無い。一人称こそ変われど、それは"吾"であり"我"でない。つまり、彼と神の意識は共存しており、共鳴しており、共同している。彼は神であり、神は彼である。
今正に彼は人であり神、神であり人なのだ────
「待たせてしまってすまない。時間は後何分だ?」
「御安心を、まだ6分あります。これだけ有れば、十二分です」
「左様か。ならば、死合おうぞ!!!」
刹那、二人の姿が搔き消え、絶大な衝撃波を放つ爆音だけが鳴り響く。モニターを見ていた敗退者にはどう見えているか不明だが、優と龍神と瀧沢には二人のその様子がしっかりと見えていた。
『おぉ、可能性とは言え、やるもんはやるなぁ』
『エキシビションが楽しみだね優くん』
『生憎愉しむ事は出来んな、色々考える必要がある。決勝が始まったら俺一旦帰るわぁ、終わったら一言頼むぜ』
『わかった』
優と龍神が言葉を交わす中、刀哉と真里は高速状態から抜けて、自らの姿を改めて観覧モニターに晒した。よく見ると、刀哉は右手に刺々しい見た目をした光の刀を持ち、真里は閃光と化した苦無を両の手に番えていた。
気が付けば真里の背には苦無によく似た形の骨組みで形成された光の羽が生えていた。翼の如く羽撃きをする羽は今の彼女の機動力を格段に飛躍させていると見て間違いないだろう。
しかし対する刀哉はと言うと、何の変哲も無く足の裏をしっかり地面に付けて移動している模様。
「何と速い足捌きでしょうか、確か剣道の歩法でしたね」
「左様。ではもっと速く動いてみせよう」
刀哉は言葉を終えた瞬間、いきなり真里の目の前に現れた。構えは上段、真っ直ぐに光の刀を振り下ろしてくるのがわかる。しかし、真里の目は辛うじて刀哉の動きに追いついていなかった。
ふと景色を確かめて刀哉を見ると、既に自身の目前に迫る彼の姿と、今正に自身を斬りつけんとする刺々しい光の刀が額付近に下りて来ているのが視えた。真里は右手の閃光の苦無を刀の防御に用い、左手の閃光の苦無を防御時の動作に紛れて真後ろに放った。
続けて空になった左手に苦無を再装填する間際に背中で苦無を二本余分に形成して放り、三本目を左手に構えて投擲で迎撃。これを刀哉は頭を逸らして容易く躱すと、彼女の内心は微笑みを浮かべ出した。
ここで刀哉は強く刀を押して閃光の苦無を断つと、真里は刀の迫る方向に合わせて横に一回転しながら回避、更に回避最中にも苦無を二本形成して見えないように放り、更に苦無を形成して刀哉に向けて振るいつつ振り切った直後に放る。
両手で苦無の形成と攻撃、見えない投擲を繰り返し、徐々に真里は己の陣地を敷いて行く。
無論、彼女の内心は満面の笑みを浮かべている。非常に愉快に笑い、そして一生懸命に笑みを堪えている。顔には出さない素顔は、虎視眈々と戦略を遂行させようと企みを練る。
これぞ、彼女に備わった新たな力、狡猾思考。戦術も戦略も思いのままにする鋭い思考能力。この力がある限り、彼女の練る策は常に盤石である。
刀哉への攻撃を止めて彼から離れ、真里は両手で形成出来る限りの苦無を一杯に形成し、刀哉から外した方向に全て投げ放った。そして、苦無を一本だけ形成した真里は、その一本を刀哉の真上へと放る。
刀哉が真里の投げた苦無を目で追うと、その先の光景は壮観とも言える景色が広がっていた。漆黒の空の下に無数の光の粒の様なモノが、半径500mをドーム状に周囲を囲んでいた。
遂に陣地が完成したようだ。
「私の触れたモノは、"有限"から『半永久』へと成長する。苦無をドーム状に張り巡らせ、暫く私の絶対領域とさせて頂きます。そして、ほぼ無限に降り続ける苦無の雨を、貴方は如何致しますか? 尤も、それを私がさせるとは思わないで頂きたいです」
新たに備わった力、八継波止。止まる事の無い源流の力で、彼女の触れた有限を"半永久"に昇華する能力だ。この能力に依り、苦無は無尽蔵にその数を増殖させる。
周囲の苦無を一気に飛ばし、真里の内心が爆笑を敢行しようとした瞬間だった────
「────吾が其れに気付かぬとでも思ったのか、良い頭をしておる」
刀哉が構えたまま佇んでいると、苦無の一本が刀哉の体を擦り抜けた。一本、また一本……次々と刀哉の体を透過して行く閃光の苦無の嵐。真里は、驚きを隠せず唖然としてしまった。そこで優が突然笑い出した。
『ははっ、あれ俺もやったやった。相手からは残像しか見えないからめちゃくちゃ驚くんだよなぁ。正直ネタ要素だが、動揺させて翻弄するには凄く良い。光速回避のままこれで歩ければ合格だな』
優が言うように、刀哉は光速以上で動いて苦無を躱しながら残像を必ず一点に残している。この速さ、そして技術、もしや"可能性"とやらが齎した力なのだろうか?
だがその点なら真里も同じ筈だ。そして真里は両目を凝らして刀哉の残像を見始めた。
新たに備わった力、真意解明。物の材料、質、構造、製法などを全て見極める目。何より、真贋の見切りにも用いる事が出来る万能眼だ。
この目を用いて真里はやっと気付いた……刀哉の光速移動に、残像を一点に絞る技術に、体は明らかに動いてる様に見えないのに一糸乱れぬ動作法に。しかも刀哉は真里が真意を見極めた直後、そのまま摺り足で接近してくる。
「可能性の勝負で負けるつもりはありません!」
負けじと真里も光の羽を広げ、両足で交互に地面を光速で蹴った後、一瞬溜めてから刀哉と同じく残像を一点に残しつつ光速移動を開始した。
これも新たに備わった力、御神技脚。水面をも渡る四肢で、閃光と同じ速さで動く事を可能とする。
これで互いに光速移動状態となり、残像を一点に残しながらゆっくりと接近を続けた。じっくりと触れる距離まで二人が近づき、間も無くと言う距離まで接した瞬間、残像が混じり合って光と風圧が発生した。
「うぐッ!?」
瞬間、真里が一瞬で苦無ドームの終わり付近まで吹き飛ばされ、透かさず刀哉が追撃を掛けに行く。このまま飛ばされたままでは自ら敷いた苦無ドームに殺される様なモノだ。しかし彼女の新たな力はここでも発揮する。
身を翻し、苦無ドームの尖端に足裏が触れた直後、何も痛がる様子無く、躊躇せずに蹴り出した。御神技脚は本来人の足では渡る事の叶わぬ場所を渡れる力。故に、刃の上でも難無く足を付けられる。
緩やかな流れの景色で真里と刀哉は再び顔を合わせる。今度は腰を左右に振る真里、すると振った腰から光の輪が広がり、刀哉を容赦無く弾き飛ばす。
新たに備わった力、熾天光輪。腰の辺りから光の輪を発し、それを領域とする。
更に言うと、刀哉を弾き飛ばしたのは決して光の輪そのものでは無い。光の輪が更に展開する空間に阻まれて弾かれたのだ。目には見えないが、空間の持つ高密度の出力は対象物を確実に阻む。
「なるほど、良い技だ。暫し本気を出すとしよう」
相変わらず降り注ぐ無数の苦無を避けながら言葉を口にする。刀哉は無駄でいて無駄の無い行為の一部始終だが、実際問題真里の陣地である苦無ドームから降る苦無の雨を躱しながら攻撃するにはこれが一番適していると言わざるを得ない。
苦無ドームの終わり付近まで飛ばされるも、刀哉は直角に落下し、ドーム激突の難を逃れる。この着地直後、僅かな間に足を確かめ、強く踏み込んで駆け出した。
縮地────強靭な脚力とそれに依る才能を必要とする技術だが、彼は弛まぬ努力で物にした。今の彼ならば、如何程の速さに至るか……
………………
………………
真里もそれなりの速さには至っている。至っているがしかし、如何やら刀哉は瞬発的に"世界"を上回ったようだ。
「ほぉ、これが世界を上回った景色か。実に壮観だな汝……聞こえてはいないか。良い、まずは斬り闢く」
刀哉は改めて右手に光の刀を形成し、止まった世界で唯一躍動を成す彼のみが跳び上がり、光輪を展開したままで静止する真里の前で刀を一閃した。忽ち光輪は断ち切れ、見えない空間が光を発して砕け散る。
途端、世界が動き出す。真里は、自らの眼前に浮かぶ"覇者"に目を奪われ、そして薙ぎ払われた。その一撃は、無数の必殺にて無双の創始、唯一無二の閃光だ────
「いざ翔けろ、『流天の無双』……」
────その者の名は、『刀哉』。
「…………はッ!?」
「目が覚めたか。もう無敵の8分とやらも終わったぞ汝、闘いはまだ決着してはいないが、如何する?」
真里はいつの間にか気絶をしていた。起きてまず、可能性の姿のままの刀哉が胡座をかいて真里を真横から見詰めていた。そう、真里は実質敗れた。覇者の領域に到達した刀哉の無双の一閃に依って。
だが、決着を付けた筈の本人はまだ決着してないと言っている、如何言う事なのだろうか?
「汝の覚悟を見せろ、吾はそれ故に未だ勝っていない」
「私の、覚悟を、ですか?」
「左様。吾に示せ、汝の意志を」
唐突に覚悟を見せろと言われて、当然ながら真里は戸惑った。だが、少しだけ黙した後、真里は清々しい顔で答えたのだった────
「────私、負けたくないです」
「それで良い」
それから刀哉は立ち上がり、右手に光の刀を形成して地面に刺すと、反転して背を向けた。それを明確に捉えたのか、瀧沢の声が空間全体に響き渡る。
『勝者、大丈 真里』
直後、髪が下り、闘気も収まり、刀哉の姿は元の状態へと還った。そしてそれは、二度とその先へ行けない絶対の枷を嵌められる破戒でもあった。
もう二度と、彼は覇者にはなれない。
「俺は一足先に帰る。憧れこそあれ、俺には過ぎた力よ。故、後はお前に託す。楽しかったぞ、真里殿……」
「刀哉さん……」
そして、突然現れた優に連れられ、刀哉はその場から……否、"闘い"から去って行った。
『良かったのか?』
「良い、それに貴殿には視えていよう? 俺の────」
『わかってっから言うな。まぁ、あんたは一時でもこの瞬間を味わえただけで充分なんだろぉ? 良いさ、賛成してやるよ。何なら俺も色々やるが?」
「不要。帰って今まで通り、"いきたい"」
この言葉を最後に、刀哉は元の世界へと瞬間移動された。後は言わずもがな、彼は彼の生きる道を歩み切ったのだった。
『さて、真里。後はあの光に向かって歩け。決勝戦はそこで行う』
「……はい」
空間全体に優の声が響き渡る。遂に終わりが目の前まで迫ってきたこの対戦、いよいよ最後の闘いが、始まるのだった────
続く────
感想是非是非お願いします
次回予告……
最後の準決勝を制したのは、刀哉の宣言負けにて勝利した大丈 真里。
遂に完結! これが最後、決勝戦────
次回、超絶コラボ対戦 -異世界の戦士達-
第10話 終結
御楽しみに




