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あの日のかけら
暗い
真っ暗だ
そこにあるのは、紅くこぼれる光だけ
お行きと言われた
いやだ、いやだと泣いたのに、つかんでいた手をほどかれ、さあお行きとそれだけ言っていた
どこへとは言われなかった
だから、ここにいる
ここなら誰かがきてくれるかもしれない
いつもみたいに迎えにきてくれるかもしれない
どこにも行けない。行きたくない
まだ小さいから。みんなと同じようにはできなかったから
走って、走って
隠れて
決して見つかってはいけない
見つかったら終わり
本当は知っている
ここから逃げる道があることを
でも、待っていたいから
ずっと、ずっと。迎えに来てくれるまで待っていたいから
だって一人じゃ、さみしいから
後ろで小さくあの子が呼ぶ
逃げようと。一緒に行こうと、あの子が言う
ちゃんと道に開いてあげる。ちゃんと出られるように塞いであげる
ぼくならできる
泣かないで。怖がらないで
さあ、行こう
行こうよ、サキ――




