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プロローグ


 薄暗い部屋の中で魔法陣が不気味に光る。


 すぐ側には、少年がとある呪文を唱えている。年は10歳ぐらいだろうか?傷のあるか細い手足とは、裏腹に口からは、複雑な呪文がスラスラと唱えられる。黒い髪にどこか悲しみの滲む青の瞳。


「ユーヴ・ラーリオイズ・クーア・ウィンズ・カーリンスィオ」


 陣より、黒い影が立ち上る。部屋の気温が急激に下がりだし、窓にかかっているカーテンが氷始める。少年の口から、白い息が漏れる。少年は、そこで一度呪文を唱えるのを止め、迷いを振り払うように大きく息を吐き最後の呪文を口にした。


 「ヘルオス」


 途端に陣より立ち上る影がうねりだし人の形を形成しはじめる。


 次の瞬間、影が消え、大柄な青年が立っていた。



「俺を呼んだのは、貴様か?小僧。」




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