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最後の被害者の正体 1
食堂に容疑者が集まった。北村は啖呵を切った。
「俺は忙しい。誰が死んだか知らないが関係ないはずだろう」
「北村さん。いいではないですか。いい現実逃避になるでしょう。それにあなたが書こうとしている物は推理小説だと聞きました。それならこの推理を参考にして書いたらいいでしょう」
「まずはこの事件をおさらいしましょう。事件が起きたのは午前十時。遺体は日本庭園の池に浮かんでいた。その事件発生当時アリバイがあったのは我々と従業員。高崎と小木」
「つまり残りの六人の中に犯人がいる。ここで注目しておきたいのが遺体のそばで浮かんでいたKと書かれた紙」
「残りの容疑者の中でKが頭文字なのは小野さん以外の五人」
上条が反論した。
「待てよ。そのKが小野の残した殺人予告だったら。犯人は小野になるだろう」
「それが犯人の狙いだった。犯人は賭けた。現地の警察や俺たちがあのメッセージが殺人予告だと思っても、あれが斉藤の残したダイイングメッセージだと思ってもいいように」




