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事情聴取 前編
月影と鮫崎は六人の容疑者に話を聞いた。まずは伊東から聞いた。
「十時頃あなたは何をしていましたか」
「玄関の掃除です。証人はいます。国枝さんが十時頃帰ってきました。私には動機はないでしょう。疑うのは無駄だと思います」
「一応話を聞いているだけですから」
次に国枝の部屋に向かった。
「十時頃どこに行っていましたか。伊東さんが、あなたが十時頃走ってきたと証言しましたが」
「ランニングです。八月にマラソン大会がありますから練習です。これでも長距離の選手として活躍したことがあります」
E4号室。
「北村さん。あなたは十時頃何をしていましたか」
「アリバイですか。こっちは部屋に籠って小説を執筆していましたよ。久しぶりに推理小説でも書こうかな」




