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E5号室
E4号室は自分の部屋だった。だから月影はE5号室をノックした。
「恵子」
男はそう言うと正気に戻った。
「恵子ではない。貴方は誰ですか」
「晩餐会の参加者です。恵子というのは朝日奈恵子のことですか」
「はい。突然いなくなった僕の彼女です。七年間連絡がなかった恵子からこの旅館の招待状が届いたから来ました。もしかしたら恵子に会えると思って」
「貴方の名前は」
「小野次郎です」
彼の部屋にある机の上には薬に入った瓶がある。
「あの薬は何ですか」
「僕は精神病を患っています。これは治療薬です」
月影は納得した。




