招集
警視庁捜査一課三係の合田警部は会議室に連れてこられた。室内にはかつてこの事件を追った仲間がいた。一分後月影が入室した。その後ろには高崎がいる。高崎は六年前に辞職したのでゲスト扱いである。
「合田警部、高崎探偵、上条警部、結城警部補、斉藤巡査部長この五人はかつて清水美里誘拐事件を担当した捜査員だった。残りの五人はすでに亡くなった。青田と春野は殉職した。そしてこの事件の主犯麻生は一年前に病死した。残りの二人。まず中野は半年前に自宅マンションの屋上から転落死した。そして今日西野が公園で射殺された。それも七年前の赤い落書き殺人事件を思い出させるように遺体を木に吊るして。私の見解はこの事件は七年前の赤い落書き殺人事件に見立てて実行されている。つまり犯人はこの中にいる可能性が高い。最後は大工を暗殺して終わるだろう」
合田は月影に質問した。
「そろそろ本題に入りませんか。態々あの事件の関係者を招集したのには訳があるのでしょう」
「実は西野の遺留品にはこの黒い封筒が入っていた。差出人は最後の被害者」
この発言に違和感を覚えた合田は悩んだ。該当者が存在しないと思ったからだ。
「最後の被害者ですか」
残りの四人も同じようなリアクションをしているだろうと顔を見たが、全員が凍りついたような表情をしていた。