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陰雷館に集まる者たち 3
その旅館は東西に個室が五室ずつ設けてあり、南には食堂があった。廊下からは日本庭園を眺めることができる。日本庭園には北以外の入り口から入ることができる。床には赤い絨毯が敷かれていた。しばらく歩くと伊東が止まった。
「ここは食堂です。席は十個あります」
再び歩くこと一分。伊東は合田の部屋に案内した。合田の部屋は西側の五号室だった。速のドアには『W5』というプレートが掛っている。
「合田様の部屋はここです」
「様付けにするなよ。それに態々東側から通すことはないだろう」
「ごめんなさい。食堂の場所を把握してもらうことがこの旅館のしきたりですから」
「それとこのルームプレートだけど東側は」
「例えば東側の一号室はE1というようになっています」