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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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75/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 75

…知っていた!…


 …やはり、知っていた!…


 これは、以前、半年ちょっと前に、新造さんから、聞かされた言葉…


 この好子さんの弟の新造さんから、聞いた真実だった…


 私の、祖父の祖父だか、忘れたが、とにかく、会ったことのない、遠いご先祖様が、米倉の一族だったと、いう話だった…


 ハッキリ言って、その言葉を聞いたときは、驚いたが、それだけだった…


 なぜなら、そんな遠いご先祖様が、米倉一族であろうとなかろうと、現在の私になんの関係もないからだ…


 が、


 その言葉で、なぜ、私と好子さんのルックスが似ているかは、わかった…


 他人の空似だと、ばかり思っていたが、遠くても、血の繋がりがあることが、わかった…


 だから、納得したというか…


 そう考えれば、澄子さんも、平造の娘…


 好子さんとは、血の繋がった姉妹ではないけれども、米倉一族であることは、間違いない…


 だから、澄子の娘のあの秋穂が、私や、好子さんに似た美人であっても、おかしくはない…


 そう、言いたいのだろう…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 「…高見さんも、米倉の一族…だから、私に似ている…そして、それは、あの秋穂も同じ…」


 好子さんが、繰り返す…


 「…でも、大丈夫…」


 好子さんが、明るく、言った…


 「…大丈夫? …どうして、大丈夫なんですか?…」


 「…バカね…高見さん…」


 好子さんが、笑った…


 「…もう私と透(とおる)は、離婚したのよ…」


 そうだった…


 あの秋穂と、透(とおる)が、泥酔して、腕を組んでいる姿をフライデーに写真に撮られて、この好子さんと、透(とおる)は、離婚したのだ…


 だから、今さらだった…


 あの秋穂の行動も、今さらというか…


 あの一件で、秋穂の母親である、澄子の狙いもわかったが、もはや、どうでもいいというか…


 すでに、あの一件を契機に、米倉と水野の提携が解消した…


 だから、今さら、秋穂が、どう動こうが、関係なかった…


 好子さんは、そう言いたいのかも、しれなかった…


 それに、仮に、そんなことは、ありえないと思うが、あの秋穂という娘が、透(とおる)と、結婚しても、米倉と水野の提携が、元に戻るということは、ありえなかった…


 透(とおる)と、結婚したのが、この好子さんだから、米倉と、水野は提携したのだ…


 仮に、澄子の娘の秋穂が、あの透(とおる)と、結婚したとしても、秋穂は、米倉を代表する人間ではない…


 だから、米倉=大日グループは、動かない…


 そういうことだ…


 仮に、秋穂の母親の澄子さんが、前面に出ても、同じこと…


 あくまで、好子さんが、米倉の正統後継者だからだ…


 他の兄弟姉妹では、ダメということだ…


 そんなことを、考えていると、


 「…でも、あの秋穂という娘もバカね…」


 と、好子さんが、笑った…


 「…バカ? …どうして、バカなんですか?…」


 「…だって、高見さん…水野の御曹司に手を出したのよ…ただですむわけないじゃない?…」


 「…どういう意味ですか?…」


 「…あの秋穂という娘が、それまで、どこで、どんな生活をしていたのかは、知らないけれども、世間で知れた、大企業の御曹司に手を出した報いは、受けるはずよ…」


 好子さんが、不気味な予告をした…


 私は、驚いた…


 が、


 事実かも、しれないと、思った…


 この好子さんが、言う、


 …ただですむわけないじゃない?…


 ということが、どういうことかは、具体的には、わからない…


 が、


 殺されるとか、直接、危害を加えられることは、なくとも、例えば、私のように、突然、会社をリストラされるのは、十分、ありえると、いうことだ…


 あの秋穂は、会社ではなく、以前、銀座のクラブにいたというが、それでも、同じ…


 突然、店=職場をクビになる危険もある…


 そういうことだろう…


 私は、思った…


 「…まあ、本人もそれがわかっていて、透(とおる)に手を出したのか、どうかは、わからないけれども、ただではすまないでしょう…」


 好子さんが、断言した…


 私は、なんと言っていいか、わからなかった…


 ただ、その言い方に、初めて、この好子さんの闇を感じたというか…


 別の言い方をすれば、米倉の正統後継者の迫力を感じた…


 迫力は、おおげさだけれども、権力者というか…


 大企業のオーナー一族の凄みを感じたということだ…


 本当に、透(とおる)に手を出したことで、あの秋穂と言う娘が、どうにか、なるかは、わからない…


 ただ、私のような一般人からすれば、好子さんの言葉は、十分、不気味だった…


 十分、脅威だった…


 そして、そんなことを、思っていると、


 「…高見さん…会社に戻れたんですって…」


 と、好子さんが、いきなり言った…


 私は、驚いた…


 文字通り、驚愕した…


 「…一体、どうして?…どうして、そんなことを…誰から、お聞きしたんですか?…」


 「…蛇の道は蛇ということよ…」


 好子さんが、意味深に答える…


 私は、どう言っていいか、わからなかった…


 これが、昔からの友人ならば、


 「…そんな気取った言い方をしないで、教えてよ…」


 とか、気安く聞くことができるが、好子さん相手では、それが、できなかったからだ…


 なにしろ、身分が違いすぎる…


 「…もう、大丈夫とは、思うけれど、油断は、しないで…」


 「…油断ですか?…」


 「…そう、油断…もっとも、これは、私にも、言えるけれども…」


 「…好子さんにも?…」


 「…米倉は、水野と提携を解消した…そして、借金は、ちゃらになった…今は、五井の庇護を受けている…」


 「…」


 「…人間で、いえば、とりあえずは、安全圏に移ったという感じかな…だから、ホッとした…」


 「…」


 「…でも、そこが、ホントに安全圏なのか、どうかは、わからない…」


 「…どういう意味ですか?…」


 「…ホッとしていたら、いきなり、銃弾が飛んで来た…なんてことも、あるかも、しれない…」


 「…」


 「…だから、最後まで、気を抜けない…」


 「…」


 私は、この好子さんが、言いたいことは、わかったが、それに対して、どう答えていいかは、わからなかった…


 すると、


 「…ああ、松嶋さんは、処分されたそうね…」


 と、さりげなく、好子さんが、告げた…


 私は、文字通り、


 「…」


 と、絶句した…


 言葉もなかった…


 まさか、好子さんが、松嶋を知っているとは、思わなかったからだ…


 「…ご存知なんですか?…」


 「…知らないわ…」


 あっさりと、答える…


 「…じゃ、どうして?…」


 「…高見さんが、その松嶋という人に、嫌がらせをされて、金崎実業をリストラされそうになったことを、兄から聞いたから…」


 「…」


 「…でも、その松嶋ってひとも、良平さんの逆鱗に触れて、金崎実業をクビになったでしょ?…」


 「…良平さんって? 水野社長ですか?…」


 「…そうよ…」


 「…」


 「…その松嶋ってひとが、誰からの指示で、高見さんをクビにしようとしたのかは、わかっているけれども、それでも、良平さんは、それが、許せなかったってこと…」


 「…」


 「…つまり、良平さんは、それほど、高見さんを気に入っているということ…」


 好子さんが、断言した…


 「…気に入っている? …私を?…」


 「…たぶん、高見さんが、思っている以上にね…」


 あっさりと、好子さんが、告げた…


 「…そして、それは、私も同じ…」


 「…同じ?…」


 「…正直、高見さんが、透(とおる)と、結婚するのなら、私は、透(とおる)と、結婚しようが、しまいが、どうでも、よかった…」


 仰天の言葉だった…


 あまりにも、意外な言葉だった…


 「…でも、私が、透(とおる)さんとなんて…」


 「…身分が違うと言うんでしょ?…」


 「…ハイ…」


 「…そんなことは、百も承知…仮の話よ…」


 「…仮の話…」


 「…あくまで、夢物語…だから、私と高見さんが、対等の立場なら、透(とおる)が、高見さんと、結婚しても、よかったと、思えた…」


 「…」


 「…でも、そんなことは、ありえない…だから、仮の話…」


 「…」


 「…でも、良平さんにとっては、たぶん、仮の話じゃない…」


 「…どういう意味ですか?…」


 「…たぶん、本気で、高見さんに、透(とおる)と結婚してもらいたかったと思う…」


 「…ウソォ!…」


 「…ウソじゃないわ…」


 「…どうして、好子さんに、そんなことが、わかるんですか?…」


 「…良平さんが、高見さんをリストラしようとした松嶋ってひとを、クビにしたからよ…」


 「…それが、一体?…」


 「…その松嶋って、ひとが、誰の指示で、高見さんをクビにしようとしたのか、良平さんは、わかっている…だから、普通なら、良平さんは、そんなことは、絶対しない…なぜなら、そんなことをすれば、指示を出した人間の逆鱗に触れるから…」


 「…」


 「…それでも、その松嶋ってひとを、クビにしたのは、それほど、良平さんが、怒っているということ…」


 「…」


 「…つまり、高見さんを、それほど、気に入っているということよ…」


 好子さんが、断言した…


 私は、どう返答していいか、わからなかった…


 たしかに、あの水野良平に気に入られているというのは、嬉しい事実だ…


 この話が、事実ならば、好子さんの言う通りなのだろう…


 が、


 それにしても、実感がなかった…


 仮に、私が、水野良平のお気に入りだとしても、それがなんだと言うのか?


 私が、透(とおる)と、結婚できるわけではない…


 そんな夢のようなことが、あるはずがないからだ…


 「…でも、その代償は、高くつくかもしれない…」


 好子さんが、意外なことを、言った…


 「…代償?…」


 「…良平さんが、奥様の春子さんに逆らったこと…」


 好子さんは、春子さんと、ハッキリと、名前を出した…


 「…良平さんは、春子さんに、滅多に逆らったことはない…それが、逆らった…」


 「…逆らった?…」


 「…たぶん、その松嶋さんが、高見さんを、クビにまでしなかったのは、春子さんが、そこまで、求めてなかったから…」


 「…求めてなかった?… どういう意味ですか?…」


 「…たぶん、嫌がらせ…」


 「…嫌がらせ? …どうして、私にそんなことを?…」


 「…それは、簡単なことよ…」


 「…簡単って?…」


 「…きっと、春子さんは、私と透(とおる)の結婚が、うまくいかなかった原因の一つは、高見さんにあると、思っているからよ…」


 「…私にある? …どうして、ですか?…」


 「…透(とおる)が、高見さんの存在を知って、私とどっちにするか、気持ちが揺れ動いた…それが、離婚の原因の一つと、思っているからよ…」


 「…そんな…」


 「…そんなもこんなもない…だから、高見さんは、良平さんに連れられて、水野のお屋敷に行って、春子さんに会ったでしょ? …アレは、春子さんが、透(とおる)が、気持ちが揺れ動いた高見ちづるという女が、どんな女か、自分の目で、見ておきたかった…そういうことよ…」


 予想外の言葉だった…


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