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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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68/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 68

「…米倉と水野のせめぎあいって?…」


 思わず、叫んでしまった…


 小さな声だが、叫んでしまった…


 そして、さすがに、それは、まずいと、気付いた…


 自分でも、まずいと、思って、それ以上は、なにも、言わなかった…


 ただ、内山さんの言葉から、米倉と水野の間に、おそらく、私が、想像するよりも、はるかに、大きな溝があると、思った…


 もっとも、だから、米倉と水野は、提携を解消したのだろう…


 結局、米倉は、五井の庇護を受けることになった…


 水野との提携を解消して、五井の助けを借りることになった…


 もっとも、それは、米倉の負債が、なくなったと、わかったから…


 巨額と思われた米倉の負債が、実は、今回のロシアとウクライナの戦争で、急騰した、天然ガスや原油をあらかじめ、米倉の関連会社が、先物買いをしていたことから、帳消しになった…


 天然ガスや原油が、高騰して、多額のお金が、手に入ることになった…


 要するに、借金が、ちゃらになったということだ…


 だから、米倉は、水野と別れて、五井の下に入った…


 そして、その過程で、あの米倉正造が、暗躍したというか…


 五井家当主、諏訪野伸明と、米倉正造は、飲み友達だった…


 互いに、知っていた…


 だから、米倉の借金が、事実上、なくなったことを、説明した上で、五井の庇護下に入ったのだろう…


 いかに、米倉の借金がなくなろうと、このままでは、米倉は、単独では生き残るのが、難しいと、判断したのかも、しれない…


 企業も、人と同じで、一度付いたレッテルというか、イメージは、なかなか変えることは、できない…


 だから、そのイメージを変えるために、あえて、五井の下に入ったのかも、しれない…


 なにより、米倉が、この先、単独で、生き残れるか、不安だったのかも、しれない…


 米倉正造は、米倉の運営する大日産業の取締役…


 大日産業、いや、大日グループの経営状態は、把握している…


 だから、大日グループが、この先、単独で、生き残るのは、困難と、考えたかも、しれない…


 しかし、


 しかし、だ…

 

 「…米倉と水野のせめぎあいが、凄い…それで、こんなことに…」


 と、今、言った内山さんの言葉は、どういうことだ?


 この言葉通りなら、米倉と、水野は、反目しあっていると、いうことだ…


 そして、その余波というか…


 なぜか、その影響が、私に及んだということか?


 その結果、私が、金崎実業を退職に、追い込まれていると、いうことか?


 私は、思った…


 そして、考えた…


 考え続けた…


 なにしろ、考える時間は、たっぷりある…


 机に、座ったまま、一切、仕事が与えられないのだ…


 考える時間は、あった…


 ありすぎた(笑)…

 

 「…米倉と水野のせめぎあいが、凄い…それで、こんなことに…」


 ということは、両家が、いがみ合っているということだ…


 米倉と水野が、いがみ合っているということだ…


 なぜ、いがみ合っているのだろうか?


 考えた…


 米倉は、水野に助けてもらった…


 倒産寸前だった米倉は、水野と提携して、やがて、合併することに決まった…


 そうしなければ、米倉は、倒産するからだ…


 米倉は、破産するからだ…


 だから、水野と提携した…


 ハッキリ言えば、水野の下に入った…


 だから、米倉は、水野に逆らえない…


 当たり前だった…


 が、


 それは、米倉に負債が、あったから…


 しかしながら、今、その負債は、一掃された…


 負債が、なくなった…


 だったら、どうだ?


 米倉の態度が、変わる…


 当たり前だ…


 負債=借金があったから、水野の下に入った…


 借金があるから、水野の庇護下に入った…


 が、


 それが、なくなった…


 すると、どうだ?


 当然、態度が、変わる…


 米倉は、水野に対して、負い目がなくなったということだ…


 これは、例えば、夫婦に例えて、考えれば、わかりやすい…


 妻は、夫に借金の尻拭いをしてもらった…


 だから、妻は、夫に頭が上がらない…


 当たり前だ…


 が、


 今、その借金を夫に返すことができた…


 だから、今、夫婦は、対等になった…


 妻は、夫に、負い目がなくなった…


 それと、同じだ…


 だから、自由に、行動することができる…


 そういうことだろう…


 米倉と水野の関係も、これと同じだ…


 さらに、言えば、この夫婦関係は、まさに、水野透(とおる)と、米倉好子の関係だった…


 好子は、透(とおる)に負い目がある…


 実家である米倉家が、水野家に助けてもらっているからだ…


 だから、透(とおる)に従わざるを得なかった…


 が、


 今、その必要がなくなった…


 米倉の借金が、帳消しになったからだ…

 

 だから、もう好子は、透(とおる)に従う必要は、なくなった…


 透(とおる)に、遠慮する必要がなくなった…


 それが、好子の態度に出たのかも、しれなかった…


 だから、以前、透(とおる)から、私に電話があったとき、透(とおる)が、


 「…あんなわがままな女だとは、思わなかった…」


 と、愚痴をこぼしたのかも、しれなかった…


 言うなれば、米倉が、水野の助けが、必要でなくなったことで、好子さんの地が出たというか…


 透(とおる)に遠慮しなくなった…


 だからかも、しれなかった…


 と、


 そこまで、考えて気付いた…


 ということは、どうだ?


 もしかしたら?


 もしかしたら、好子さんは、すでに、その頃から、米倉の業績が、急回復することを、知っていた?


 だから、わがままになった…


 透(とおる)に、対して、上から目線になった?


 と、気付いた…


 いや、


 そうとも、限らない…


 元々、米倉好子は、わがままな女だった…


 小柄だが、ルックスも、良く、家は、大金持ち…


 これで、性格が、わがままにならぬはずが、なかった(爆笑)…


 顔は、私も、好子さんに、よく似ていたが、いかんせん、家が、違う…


 私は、平凡…


 平凡な家庭で、育った…


 が、


 そんな平凡な家庭で、育った私でさえ、実は、結構、わがままな女だった…


 なぜなら、生まれつき、ルックスが、いいから(笑)…


 あの寿綾乃さんに、出会うまで、私は、実に調子に乗っていたと、思う…


 あの寿さんに出会って、上には、上があると、実感したというか…


 私程度のルックスで、調子に乗っていた自分が、恥ずかしくなった(笑)…


 それが、あの好子さんは、私と同じようなルックスの美人で、大金持ち…


 調子に乗らないはずが、なかった(爆笑)…


 だから、たとえ、好子さんが、透(とおる)に対して、自分を抑えているつもりでも、透(とおる)にとっては、そうでない可能性もある…


 透(とおる)にとっては、好子さんは、常に上から目線の可能性がある…


 そういうことだ…


 だから、必ずしも、好子さんが、米倉の借金が、なくなったから、透(とおる)に対して、態度が、わがままになったとは、限らない…


 と、ここまで、考えて、気付いた…


 今、この内山さんが、言ったのは、

 

 「…米倉と水野のせめぎあいが、凄い…それで、こんなことに…」


 と、言ったのだ…


 だから、それは、必ずしも、透(とおる)と、好子さんの関係に、とどまらない…


 他の米倉家の面々も、水野家の面々に逆らいだしたのかも、しれない…


 ほんの数か月前までは、米倉は、水野の風下につくしか、なかった…


 が、


 それが、変わった…


 だからかも、しれない…


 ハッキリ言えば、対等になった…


 だから、

 

 「…米倉と水野のせめぎあいが、凄い…それで、こんなことに…」


 ということかも、しれない…


 私は、思った…


 そして、おそらく、その筆頭は、澄子さん…


 あの秋穂の母親の澄子さんに、違いない…


 好子さんをイジメていた、姉の澄子さんに、違いない…


 米倉家で、水野家と、反目するような真似をすると、思えるのは、あの澄子さんを、おいて、他になかった…


 他の面々は、皆、おとなしい…


 好子さんの弟の新造さんも、そうだし、新造さんの母親も、同じ…


 また、兄の米倉正造は、おとなしくはないが、水野に歯向かうような真似をするとは、考えづらかった…


 ということは、やはり、あの澄子さんだろうか?


 澄子さんが、絡んでいるんだろうか?


 考えた…


 あの澄子さんは、好子さんを嫌っている…


 だから、邪魔をしたというか?


 今回、米倉の負債が、帳消しになった…


 だから、米倉は、水野の助けが、いらなくなった…


 そして、その結果、米倉は、水野と別れ、今度は、五井の下に入ろうとしている…


 つまりは、これで、好子さんは、透(とおる)と、結婚生活を続ける理由は、なくなった…


 一方、澄子さんにとっては、どうだ?


 これまで、澄子さんは、好子さんの下にならざるを得なかった…


 好子さんが、透(とおる)と、結婚することで、米倉は、水野の助けを得ることができた…


 だから、澄子さんは、大嫌いな好子さんに逆らうことが、できなかった…


 が、


 今、その状況は、一変した…


 好子さんが、透(とおる)と、離婚しても、いいように、澄子さんも、また、好子さんに、遠慮する必要がなくなった…


 だから、娘の秋穂を使って、人事部の松嶋を使って、私を金崎実業から、追い出そうとした?


 ふと、気付いた…


 たしかに、タイミングとしては、あう…


 が、


 そもそも、どうして、私を金崎実業から、追い出そうとしているのかが、わからない…


 私は、なんの関係もないからだ…


 私に、なんの力もないからだ…


 ただ、考えられるのは、私が、米倉家の面々と、水野家の面々と知り合いだということだけだ…


 それだけだ…


 それだけのことで、私を金崎実業から、追い出そうとするだろうか?


 考えた…


 謎がある…


 が、


 もしかしたら?


 もしかしたら、私を追い出すのではなく、私を追い出すことで、誰が、どう動くか、見たい?…


 知りたい?…


 米倉正造が、どう動くか?


 見たい?…


 知りたい?…


 米倉好子が、どう動くか?


 見たい?…


 知りたい?…


 水野透(とおる)が、どう動くか?


 見たい?…


 知りたい?…


そして、


 水野良平が、どう動くか?


 見たい?…


 知りたい?…


 考えながら、


 …まさか?…


 と、思った…


 が、


 やはりというか…


 たかだか、私を、どうのこうのしたところで、なんの影響もない…


 これは、わかっている…


 だから、私を窮地に追い込むことで、誰が、どう動くか、見極めない…


 あるいは、困らせたい…


 それが、澄子の思惑なのではないか?


 あるいは、澄子以外の誰かの思惑ではないのか?


 考えた…


 考え続けた…


 いずれにしろ、時間は、たっぷりとある…


 仕事は、一切与えられない…


 だから、できるのは、考えることだけ…


 考え続けることだけだった…


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