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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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57/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 57

「…すでに、そうなっているって、どういうことですか?…」


 「…透(とおる)ですよ…水野透(とおる)…」


 「…透(とおる)さんが、どうかしましたか?…」


 「…透(とおる)が、フライデーで、写真を撮られた相手は、秋穂ですよ…忘れたんですか? 高見さん…」


 そうだ…


すっかり忘れていた…


 たしかに、そうだった…


 あの水野透(とおる)は、秋穂さんと、いるところを、写真に撮られた…


 だから、大騒ぎになった…


 なぜなら、水野透(とおる)は、すでに、米倉好子と結婚している…


 しかも、二人の結婚は、ただの結婚ではない…


 二人の結婚は、水野と米倉の提携の象徴…


 二人が、結婚することで、水野と米倉は、提携し、やがて、合併する…


 そのための結婚だった…


 なにより、米倉は、水野なしでは、生きれない…


 水野なしでは、生き残れない…


 だから、二人の結婚は、米倉を救済するための結婚…


 米倉の経営する大日産業が、苦境に陥り、破綻寸前になった…


 その危機を回避するために、大日産業の莫大な負債を隠して、水野と提携した…


 いわば、水野を騙して、米倉を救うために、利用したのだ…


 それを知った水野家当主の水野良平は、激怒したが、結局は、息子の透(とおる)が、強引に、好子さんとの結婚を望んだから、その意を汲んで、結婚を認めた…


 だから、普通に考えれば、二人は、簡単に別れることが、できないはずだった…


 二人の離婚は、水野と米倉の提携の解消を意味する…


 そしてそれは、同時に、米倉の…大日産業の破綻を意味する…


 だから、離婚は、できないはずだった…


 が、


 離婚では、なかったが、透(とおる)の不倫が、発覚した…


 不倫=浮気が、発覚した…


 そして、それを契機に、水野と米倉の提携は、解消…


 米倉は、路頭に迷うと思われたが、思いがけず、あの五井が、手を差し伸べた…


 そういうことだった…


 「…透(とおる)は、ホントは、高見さんが、好きだったんですよ…」


 「…私が、好きだった?…」


 「…そうです…」


 「…でも、だったら、どうして、透(とおる)さんは、好子さんと結婚したんですか?…」


 「…それは、好子も好きだって、ことです…」


 「…好子さんも好き?…」


 「…たぶん、透(とおる)は、高見さんも、好きだし、好子のことも、好きだったんだと、思います…二人とも、甲乙つけがたいほど、好きだったんだと、思います…」


 「…だったら、どうして、透(とおる)さんは、好子さんと、結婚したんですか?…」


 「…それは、たぶん…」


 「…たぶん、なんですか?…」


 「…米倉を…好子を救うためだったと、思います…」


 「…好子さんを救うため?…」


 「…あのままでは、間違いなく、米倉は、没落した…大日産業は、倒産…これは、逃れられなかった…」


 「…」


 「…そして、透(とおる)は、好子と、幼馴染(おさななじみ)です…幼い頃から、父親を通じて、米倉、水野、双方の屋敷に出入りしていた…だから、米倉の苦境を知って、透(とおる)は、好子を、放って、置けなかった…」


 「…」


 「…米倉が、没落することは、好子が、路頭に迷うこと…それを、見ないフリをすることが、透(とおる)には、できなかった…」


 「…」


 「…だから、透(とおる)は、高見さんではなく、好子と、結婚した…苦境に陥った米倉を助けることで、好子を救おうとした…」


 そんなことが…


 そんなことが、あったとは?


 まったく、気付かなかった…


 だから、透(とおる)は、好子さんを、選んだ…


 私、高見ちづるではなく、好子さんを選んだ…


 そういうことだったのか?


 私は、思った…


 すると、


 「…結婚は、タイミングですよ…」


 と、電話の向こう側から、正造が、告げた…


 「…タイミング?…」


 「…そうです…付き合っている女が、妊娠したのを、契機に、結婚するのは、世の中には、ありふれています…それが、透(とおる)にとっては、米倉の危機だったと、いうことです…」


 …では、その危機がなければ、どうだったのだろうか?…


 あの水野透(とおる)は、好子さんでなく、私を選んだのだろうか?


 米倉好子でなく、この高見ちづるを選んだのだろうか?


 思わず、そう、思った…


 だから、


 「…だったら…」


 と、つい、勢い勇んで、言ってしまった…


 が、


 それ以上は、言えなかった…


 なんといっても、血の繋がりがないとはいえ、今、電話をしている相手の正造は、好子さんの兄…


 その兄に、聞いていいことと、悪いことがあると、思ったのだ…


 「…だったら、大日産業の業績が、悪化しなければ、透(とおる)は、好子でなく、高見さんと、結婚したのか? と言いたいのですか?…」


 その通りだが、さすがに、それは、言えなかった(苦笑)…


 さすがに、言っていいことと、悪いことがある…


 だから、さすがに、それを、口にすることは、できなかった…


 「…でも、それは、わかりません…」


 「…わからない?…」


 「…ボクは、透(とおる)では、ありませんから…」


 正造が、笑った…


 私は、


 「…」


 と、答えることが、できなかった…


 たしかに、言われてみれば、その通り…


 その通りだった…


 今、電話している相手は、米倉正造…


 水野透(とおる)ではない…


 だから、当たり前だが、透(とおる)が、どう思うかは、わかるわけがなかった…


 が、


 やはりというか…


 そんなことは、わかっているが、この際、ウソでも、いいから、


 「…ホントは、透(とおる)は、高見さんと、結婚したかった…」


 と、言って、もらいたかった…


 ウソでも、いいから、


 「…好子ではなく、高見さんを選びたかったと、思う…」


 と、言ってもらいたかった…


 正直、自分が、どれほど、透(とおる)を好きだったかと、問われれば、微妙…


 返答に困る(苦笑)…


 にもかかわらず、自分を、好きだと、言われたかった…


 図々しいにもほどが、あるが、そう言われたかった(苦笑)…


 これは、誰でも、同じ…


 同じだ…


 自分が、どれほど、その相手を好きではなくても、その相手に、自分を好きだと、言われるのは、嬉しいものだ…


 だから、自分勝手極まりないが、


「…透(とおる)は、ホントは、高見さんが、好き…」


「…高見さんと、結婚したかった…」


と、言ってもらいたかった…


そして、そんなことを、考えていると、


「…結婚は、タイミングです…」


と、またも、正造が、繰り返した…


「…タイミング?…」


「…さっきも言った妊娠がいい例です…付き合っている彼女が、妊娠したから、結婚する…」


「…なにを、言いたいんですか?…」


「…どんなことも、タイミングだということです…」


「…」


「…そして、今、五井が、米倉を助けたのも、タイミングだということです…」


「…タイミング?…」


意味が、わからなかった…


五井が、米倉を助けることが、どうして、タイミングなのだろう?…


「…正造さん、それって、一体?…」


私が、言いかけると、正造が、いきなり、


「…スイマセン…ちょっと、ひとが、来たようです…今日は、これ以上は…」


と、言って、呆気なく、電話を切った…


明らかに、ミエミエのウソだった…


が、


私には、どうすることも、できなかった…


こんなとき、相手に、電話を切らないでくれと、懇願しても、無理…


切るときは、切る…


誰もが、そういうものだからだ(苦笑)…


そして、そんなことよりも、正造の言葉が、意味深過ぎた…


色々示唆するものが、あり過ぎた…


そもそも、あの秋穂という娘…


本当に、あの秋穂は、透(とおる)を、狙っているのだろうか?


ふと、思った…


あの秋穂という娘が、透(とおる)と、いい関係になっても、おかしいとは、思わない…


透(とおる)だって、三十歳を過ぎた男…


自分より、若い女と、男女の関係になっても、おかしくはない…


なにより、あの秋穂という娘は、キレイ…


そして、カワイイ…


何度も言うように、あの秋穂という娘は、私と、似たタイプの美人…


女優の常盤貴子さんの若い頃に、似ている美人だ…


そして、それを、思えば、あの米倉好子さんも、同じ…


透(とおる)と、結婚した、好子さんも、同じタイプの美人だ…


なにより、私と、好子さんは、姉妹と呼んでいいほど、似ている…


見ず知らずの人間が、私と好子さんを見れば、姉妹と間違えるほど、似ている…


つまりは、私と、好子さん、そして、あの秋穂という娘は、皆、似ている…


三人とも、女優の常盤貴子さんの若い頃に似ている…


そして、それを考えれば、これは、もしかしたら、透(とおる)の女の好みなのか?


そう、気付くと、思わず、吹き出しそうになった…


三人とも、同じタイプ…


同じような顔をした女…


つまりは、透(とおる)は、女優の常盤貴子さんの若い頃のようなタイプが、好きだと、言うことだ…


が、


ふと、気付いた…


これは、罠?


誰かが、仕組んだ罠?


元々、私が、米倉家に出入りしたのは、私が、好子さんに似ていたから…


女好きの、米倉家の先代当主、平造が、血の繋がってない、娘の好子さんを、狙っていると、思った、息子の正造が、いわば、好子さんの代わりに、私を、平造に与えようと、画策した…


好子さんを、平造から、守るためだ…


だから、そもそも、私が、好子さんと似ていなければ、私は、米倉の家に招かれることもなかった…


そして、あの秋穂だ…


彼女もまた、私と、好子さんと、同じタイプの美人…


だから、透(とおる)も、気を許したというか…


親しくなったということだ(笑)…


そして、それを、あのフライデーに撮られた…


フライデー=写真週刊誌に撮られた…


そして、それを、契機に、米倉と水野は、提携を解消した…


つまりは、あの写真を撮られなければ、水野と、米倉は、提携を、解消することは、なかったということだ…


私は、その事実に、気付いた…


今さらながら、気付いた…


が、


おそらく、それは、きっかけに、過ぎない…


きっと、水面下では、米倉との提携に、反対するものが、大勢、水野内部にいたに違いない…


あの水野家当主の水野良平は、一人息子の透(とおる)が、好子さんとの結婚を、懇願したから、仕方なく、透(とおる)と、好子さんの結婚を認めたが、水野家内では、反対の声も、大きかったに違いない…


傾きかけた米倉を救うためには、当たり前だが、水野は、米倉の負債を背負わなければ、ならない…


いわば、米倉の借金を肩代わりしなければ、ならない…


負債は、当初、想定していたときよりも、少なかったと言われるが、それでも、莫大な借金に違いない…


このご時世、あまりにも、莫大な借金を背負えば、水野とて、無傷では、すまない…


最悪、米倉と共倒れの恐れすら、ある…


だから、当初は、父親の水野良平も、猛反対した…


透(とおる)と、好子さんの結婚を、猛反対した…


透(とおる)が、好子さんと、結婚することは、水野が、米倉を救うことになるからだ…


そして、それは、危険過ぎた…


すでに説明したように、米倉と水野、双方の共倒れの危険があるからだ…


が、


これも、今、説明したように、米倉の負債は、当初、想定したよりも、大分、少なかった…


だから、水野良平は、透(とおる)と、好子さんの結婚を、許した…


共倒れの危険が、なくなったと思ったからだ…


が、


もし、それが、ウソだったら?


ふと、思った…


もし、それが、ウソだったら、どうする?


いや、


ウソとは、言えないが、間違いだったら、どうする?


つまりは、米倉は、ホントは、当初、思っていた通り、莫大な負債を抱えていた…


と、したら、どうする?


その可能性に気付いた…


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