↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 46

だから、黙った…


 私は、なにも言わなかった…


 隣の寿さんも、体調が、優れないからだろう…


 なにも、言わなかった…


 一言も発しなかった…


 そして、不気味?な沈黙のまま、クルマが、走り続けた…


 誰も、なにも、言わなかった…


 運転手の方は、最初から、最後まで、こちらが、なにか、聞かない限り、余計なことは、一言も、言わなかった…


 まさに、プロ…


 まさに、プロの運転手という感じだった…


 運転に徹していたからだ…


 そして、やがて、目的地に着いた…


 諏訪野のお屋敷に着いた…


 と、


 そこは、思いがけず、あの米倉や、水野よりも、小ぶりというか…


 小さかった…


 敷地が小さかった…


 そして、建物も小さかった…


 これは、意外…


 あまりにも、意外だった…


 なぜなら、五井は、歴史ある企業…


 米倉や水野より、はるかに歴史ある企業だからだ…


 同時に、規模もけた違いに、大きかった…


 なにより、世界中に知られている…


 その五井本家が、米倉や水野のお屋敷よりも、小さいとは?


 謎だった…


 が、


 その理由は、すぐにわかった…


 場所が、世田谷区の成城だからだろう…


 都心に近いから、どうしても、土地が高い…


 あの米倉も、水野も、この成城から、すれば、田舎…


 田舎だから、広い土地を有することが、できた…


 そういうことだろう…


 そして、運転手の方が、


 「…着きました…」


 と、言ったので、私と、寿さんが、クルマから降りた…


そこへ、思いがけず、長身のイケメンが、私を出迎えた…


 「…お待ちしておりました…」


 長身のイケメンが、恭しく、私に頭を下げた…


 「…諏訪野伸明と申します…本日は、よろしくお願いします…」


 私は、驚いた…


 まさか、こんなイケメンが、出迎えるとは、思わなかったからだ…


 そして、ボーイズラブではないが、


 …もしかして、執事の方なのか?…


 と、思った…


 それほど、一瞬だが、私の頭の中が、混乱した…


 現に今、黒いスーツを着ていることも、執事の方と、間違える原因だった…


 すると、隣の寿さんが、


 「…五井家、当主です…」


 と、説明した…


 「…当主?…」


 思わず、声を上げた…


 この若さで、五井家当主…


 驚き以外の何物でも、なかった…


 五井家当主と言えば、当然、お爺ちゃんというか…


 70代には、なっている高齢の男性を想像したからだ…


 私は、驚いて、その男性を見た…


 そして、その男性の印象はというと、一言で、言うと、爽やか…


 爽やかだった…


 涼しげな印象で、忌憚のない意見で、いえば、お坊ちゃまだった…


 品のいい、金持ちのお坊ちゃま…


 その言葉が、似合った…


 あの米倉正造も、同じ印象を持っているが、正造の方が、背が低かった…


 また、正造は、この諏訪野伸明ほど、お坊ちゃまらしい印象が、なかった…


 まさに、金持ちのボンボンだった…


 苦労知らずの金持ちのボンボンに見えた…


 そして、私が、そんなふうに、この諏訪野伸明という男を総括していると、この諏訪野伸明も、私を見ていることに、気付いた…


 私を観察していることに、気付いた…


 当たり前のことだった(笑)…


 こちらが、観察すれば、相手も、観察する…


 当然のことだった…


 それに、気付くと、私は、恥ずかしくなった…


 一体、私は、この諏訪野伸明という男に、どう見られているのだろうか?


 そう、気付いたからだ…


 私も、子供ではない…


 自分が、相手を評価すると、言うのは、ずばり、相手も、自分を評価するということだ…


 当たり前のことだ…


 そして、若いときには、それすら、わからない男も女も多いものだ…


 変な話、東大出のエリートがいるとする…


 すると、その東大出のエリートに、高卒やあまり、偏差値の高くない大学を出た、人間が、なにか、言っても、当たり前だが、中身は、相手に、すぐにバレるものだ…


 頭の程度は、すぐにバレるものだ…


 それと、同じだ…


 自分では、賢いと思っていても、大抵は、周囲の人間は、自分以上に、自分を評価してくれない…


 そういうものだ(笑)…


 つまりは、自分だけが、自分を高く評価しているものだ…


 それと、同じだ…


 私は、今、この諏訪野伸明を、典型的なお坊ちゃまと、定義した…


 だったら、一体、この諏訪野伸明は、私をどう定義するのだろうか?


 美人だけれども、背が低い?


 そう思っただろうか?


 いや、


 それはない(爆笑)…


 なぜなら、寿さんが、隣にいる…


 この寿さんは、正真正銘の美人…


 彼女が隣にいて、私が、美人なんて、とても、言えない(涙)…


 私が、そんなことを、考えていると、


 「…伸明さん、なにか、言ったら? …伸明さんが、高見さんを、ジッと見ているから、なにを、言いたいんだろうと、高見さん…困っているわ…」


 と、言った…


 いわば、助け船を出したというか…


 会話を、途切れさせまいとした…


 ジッと、お互いに、見つめるだけでは、気色が悪いというか…


 変な空気が、その場に流れて、困るからだ…


 すると、寿さんの言葉に、この諏訪野伸明が、反応した…


 「…いや、若すぎるかなと、思って…」


 と、諏訪野伸明が、照れたように、言った…


 「…若すぎる? …どういうことですか?…」


 と、寿さん…


 「…ボクが、五井家当主だなんて…」


 「…それは、お客様のいる前で、言うセリフじゃ…」


 寿さんが、指摘する…


 私は、そのやりとりで、この寿さんと、この若き五井家の当主が、付き合っているか?


 あるいは、ひどく親密な関係にあると、気付いた…


 直観したというか…


 そして、またそのやりとりをしたことで、この寿さんは、おそらく、自分と、この諏訪野伸明の関係が、私にバレたと、思ったに違いないと、見た…


 なぜなら、一瞬だが、この寿さんが、


 …しまった…


 という表情をしたからだ…


 わずか、一瞬だが、その一瞬を、私は、見逃さなかった…


 そして、そう考えると、


 …なるほど…


 と、思った…


 この寿さんが、


 …五井家に仕える…


 なんて、いまどき、時代錯誤というか…


 妙に、仰々しいことを、言うと、思ったが、この二人が、付き合っているというなら、その言葉が当てはまる…


 この寿という女性は、いずれ、この諏訪野伸明と結婚するのだろう…


 だから、今、この五井家に仕えているのだろう…


 私は、そう見た…


 私は、そう睨んだ…


 と、同時に、なんだか、こんな背の高いイケメンの、大金持ちを、前にして、ガッカリした…


 せっかく知り合ったのに、すでに彼女持ちか?


 そう、思った…


 そして、そう考えると、途端に、この諏訪野伸明に興味がなくなった…


 女心は、実に、自分勝手というか…


 自分のものにならないと、わかると、途端に興味がなくなった…


 が、


 それが、現実だった…


 私、高見ちづるの現実だった(苦笑)…


 「…では、参りましょう…」


 諏訪野伸明が、告げた…


 そして、彼を先頭に、歩き出した…


 私は、この諏訪野伸明を見ながら、あの米倉正造を、思わずには、いられなかった…


 ふたりとも、爽やかなイケメン…


 実に、似ている(笑)…


 だから、無意識に、比べざるを得なかった…


 が、


 さっきも、言ったように、この諏訪野伸明の方が、背が高く、お坊ちゃまっぽい…


 そして、そんなことを、考えながら、この半年ちょっとで、私の人生が激変したことを、悟った…


 それまで、出会ったことのない、お金持ちと接している…


 それまで、33年生きてきて、見たこともない、聞いたこともない、お金持ちと接していることを、あらためて、考えた…


 私は、平凡…


 平凡な人間だった…


 生まれも、育ちも、平凡…


 平凡、そのものの家庭に、生まれ、平凡、極まりない人生を、これまで、歩んできた…


 にもかかわらず、この半年ちょっとで、これまで、出会ったことのない、お金持ちと、知り合った…


 なんという運命のイタズラ(笑)…


 が、


 知り合っただけ…


 なんの関係もない…


 しかも、この諏訪野伸明も、あの米倉正造も、イケメン…


 イケメンだ…


 金持ちのイケメンだ…


 そんな金持ちのイケメンと知り合ったにも、かかわらず、なにもない…


 キスもセックスも、なにもない…


 これでは、もはや、笑っていいか、泣いていいか、わからない(爆笑)…


 目の前に大金持ちのイケメンが、いるにも、かかわらず、私とは、なんの関係も、ない…


 これでは、金持ちのイケメンと知り合った意味は、ないのではないか?


 私は、あらためて、思った…


 私は、あらためて、そんな現実に、気付いた…


 そして、それを、思うと、神様のいじわるを思った…


 私の前に、金持ちのイケメンを登場させて、なにも、させない、神様のいじわるを思った…


 …神様のいじわる…


 そして、そんなバカなことを、考えながら、私は、黙って、諏訪野伸明の後を追って、歩いた…


 私の後には、寿さんが、続いた…


 そして、ふと、思った…


 今、私は、この五井家当主の諏訪野伸明と、歩いている…


 五井家当主…


 つまりは、五井の最高権力者と、歩いている…


 にもかかわらず、この五井家当主は、私を自ら、出迎え、これから、誰かに会わせようとしている…


 ということは、まさかとは、思うが、この五井家当主の諏訪野伸明には、実権がないのか?


 ふと、気付いた…


 五井家当主自らが、私を出迎えて、どこかに連れて、行き、誰かに会わせようとしている…


 と、すると、当然、会わせようとする誰かは、自分より、偉い人間に、決まっているからだ…


 だから、さっき、


 「…若すぎる…」


 と、この五井家当主が、言った…


 あれは、この諏訪野伸明の照れと思ったが、違うのかも、しれない…


 自虐かも、しれない…


 ふと、思った…


 もしかしたら、この若さだ…


 五井家当主は、肩書だけ…


 本当の権力者は、別にいるのかも、しれない…


 ふと、気付いた…


 それを、考えれば、あの水野グループは、今は、あの透(とおる)が、代表のように、なっているが、実際の権力は、父親の良平が、握っている…


 それと、同じかも、しれない…


 ふと、そう思った…


 と、なると、どうだ?


 この諏訪野伸明の若さだ…


 これから、会うのは、この伸明の父親だろうか?


 そう、思った…


 引退して、息子に、五井家当主の肩書を譲った父親だろうか?


 私は、考えた…


 当然、先代当主は、男に違いない…


 だから、この諏訪野伸明の父親だと、考えたのだ…


 そして、そんなことを、考えながら、この家の中を、諏訪野伸明に従って、歩いていると、


 「…ここです…」


 と、ある部屋の前で、立ち止まった…


 それから、


 「…叔母様…失礼します…高見さんをお連れしました…」


 と、声をかけた…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。