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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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42/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 42

…まったくバカバカしい…


 …実に、バカバカしい…


 私は、米倉正造と、別れて、再び、銀座の街をひとりで、歩き出した…


 今さらというか…


 ひとりで、銀座にウィンドウショッピングを、しにきた目的を果たしたというか…


 元々、そのために、やって来たのだ…


 だから、当初の目的を果たすことにした…


 しかし、


 しかし、だ…


 あの秋穂という娘と、米倉正造と、出会ったことで、当初の目的は、ご破算…


 消滅した…


 が、


 それも束の間、今、再び、私は、自由になった…


 だから、この自由を満喫することにした…


 と、言いたいところだが、違った…


 なぜかと、言えば、すでに、私の頭の中は、あの秋穂という娘と、米倉正造のことで、いっぱいになっていたからだ…


 だから、正直、ムシャクシャした…


 せっかく、正造と、別れたにも、かかわらず、いつまでも、頭の中では、あの秋穂と言う娘と、正造のことを、考え続けていた…


 だから、我ながら、


 …バカバカしい…


 と、思ったのだ…


 そもそも、一体全体、どうして、米倉でも、水野でもない私が、米倉や水野の争いに、巻き込まれなければ、いけないのか?


 謎だった…


 だから、余計に、頭に来た…


 それゆえ、せっかく、久しぶりに、銀座にやって来たにも、かかわらず、ウィンドウショッピングが、楽しめなかった…


 たくさんの商品が、目に映るが、私の頭の中に、なにひとつ、入ってこなかったからだ…


 そして、そんなことを、思いながら、心は、むしろ、あの秋穂という娘のことを、考えた…


 それは、やはり、外見が、私に似ているからだろう…


 あの秋穂の外見は、十年前の私に近い…


 十年前…


 たしかに、私は、若かった(笑)…


 もっとも、これは、誰でも、同じ…


 十年経って、歳を取らない人間は、いない…


 が、


 それを、自分に当てはめて、当時の写真を見ると、自分で、自分のことを、言うのも、おかしいが、たしかに、美人で、かわいらしい…


 客観的に見ても、美人…


 自分で言うのも、おかしいが、美人だ(爆笑)…


 そして、それに比べると、今の私は、正直、歳を取った…


 むろん、初めて会うひとは、おそらくお世辞抜きで、私のことを、


 「…きれいです…」


 とか、


 「…かわいいです…」


 とか、言ってくれるが、昔から、私を知っているひとたちは、


 「…美人だけれども、やっぱり老けたな…」


 とか、


 「…昔のかわいさは、ないな…」


 とか、いうだろう…


 いや、


 さすがに、そこまで、口にしなくても、心の中では、そう思っているに違いない…


 当たり前だ…


 自分自身、自分を客観的に見て、そう思うからだ…


 そして、なにより、十年前は、こうして、一人で、銀座をブラブラすることは、なかった…


 必ず、近くには、友人がいた…


 それが、今との最大の違い…


 誰もが、歳を取ると、友人、知人と疎遠になる…


 あの頃は、まだ大学を出たての頃だったから、まだ学生時代の友人たちと、付き合いがあった…


 が、


 月日が経つごとに、年々、疎遠になった…


 学生時代と違い、どうしても、時間がない…


 だから、会うには、お互いに、時間を作る必要がある…


 そして、誰もが、そんなことが、年々億劫になる…


 無理して、時間を作って会うぐらいなら、会わない方が、いい…


 または、男女ともに、その相手に会うぐらいなら、別の誰かに、会いたいとも、考える…


 具体的には、恋人とか…


 それゆえ、しまいには、会わなくなる…


 そういうことだ…


 そして、そんなことを、考えると、再び、自分のことを、思った…


 あの頃…


 十年前は、すべてが、輝いていたとは、言えないが、今、思えば、若かった(笑)…


 考え方も、そうだが、今、見ると、今の自分より、もっと、キレイだし、カワイイ…


 当たり前だが、ひとは、歳を取るものだと、身に染みて、実感する…


 そして、あの頃は、漠然と、十年後は、結婚しているものだと、思っていた(笑)…


 なんの確信も、自信もないが、なんとなく、そう思っていた…


 少なくとも、この歳で、自分が、結婚していないとは、夢にも、思わなかった(苦笑)…


 そして、そんなことを、考えれば、自分で、自分が、驚きだったというか…


 おおげさに、言えば、自分が、こんな人生を歩むとは、夢にも、思わなかった…


 その言葉が、すべてだった(笑)…


 そして、そんなことは、すべて、後になってから、考えるものだ…


 過ぎ去ってから、考えるものだ…


 物事は、とかく、あのとき、こうすれば、良かった…


 とか…


 あのとき、ああすれば、良かったと、思いがちだ…


 そして、それは、すべて、後だから、わかることだ…


 とりわけ、好きだった異性がいて、


 「…あのとき、コクっていれば、良かった…」


 とか、


 「…あのとき、コクられたんだから、付き合っておけば、良かった…」


 とか、悩むのは、その好例だろう…


 その相手と、別れて、5年、10年経っても、その相手以上に、好きな相手が現れない…


 あるいは、


 その相手以上に、自分を好きになってくれる相手が、見つからない…


 などと、言うのは、誰もが、ありふれている…


 だから、悩む…


 悩むのだ(笑)…


 私は、思った…


 そして、思いながら、あの秋穂という娘のことを、思った…


 あの秋穂という娘の狙いを、思った…


 やはり、あの秋穂の狙いは、透(とおる)だろうか?


 水野透(とおる)だろうか?


 今さらながら、考えた…


 水野透(とおる)…


 水野財閥後継者…


 米倉・水野グループ総帥、水野良平の息子…


 一人息子だ…


 だから、あの透(とおる)と、結婚すれば、一生安泰…


 それが、わかっているから、透(とおる)を、狙ったのだろうか?


 わからない…


 なぜ、わからないかと、言えば、物証が、ない…


 なにより、あの秋穂という娘が、よくわからない…


 本当に、澄子さんの娘か、どうかも、わからない…


 これまで、どんなところで、育って、どんな人生を歩んだのかも、わからない…


 だから、これ以上、考えようがなかった…


 考えても、仕方がないからだ…



 そして、数日後、あろうことか、米倉と、水野の提携の解消のニュースが、私の目に飛び込んで来た…


 それは、ちょうど、自宅の、パソコンで、ネットサーフィンをしている最中だった…


 そのパソコンのニュースに載っていた…


 だから、わかった…


 新聞や、テレビで、知ったのでは、なかった…


 また、ご多分に洩れず、我が家も、新聞は、先月、契約を終了した…


 だから、新聞ではない…


 今どき、毎月、4千円以上、支払って、新聞を、購読する愚かさに、ようやく、気付いた…


 だから、契約の終了と同時に、次の契約をしなかった…


 それゆえ、今の我が家では、ネットと、テレビしか、情報源がない…


 が、


 それでも、まったく、困らなかった…


 そして、今さらながら、自分は、遅れている…


 世間に、後れを取っていると、あらためて、気付いた…

 

 なぜなら、世間では、大半が、もう何年も前から、新聞の購読の無意味さに、気付いて、購読をやめているからだ…


 だから、毎月、毎年と、新聞の発行部数が、下がっている…


 それに、気付くのが、遅すぎた…


 だから、我が家の人間は、とろいとなる…


 高見ちづるは、とろいとなる…


 米倉と、水野の提携のご破算のニュース…


 その可能性に、気付かなかったのは、とろいとなる…


 それは、十分、あり得た話だったからだった…


 それに、気付くのが、遅かったということだ…


 だから、とろい…


 あの米倉好子と、水野透(とおる)の結婚…


 それは、米倉と水野の提携の象徴…


 米倉の大日グループと、水野グループの提携の象徴だった…


 だから、その象徴たる、米倉好子と水野透(とおる)の結婚生活が、怪しくなれば、当然、企業同士の提携も、怪しくなる…


 当たり前だった…


 そして、それが、わからないのが、私のとろさというか…


 頭の悪さだと、思った…


 好子さんと、透(とおる)の仲が、悪くなれば、当然、米倉と水野の提携に影響する…


 その点に、いち早く、気付かないのが、自分の愚かさだと、気付いた…


 相変わらず、とろい…


 いや、


 とろいのではでは、ない…


問題は、こうも簡単に、米倉と水野の提携が、解消されたことだ…


 それは、もしかしたら、十分、あり得ることだと、私にも、わかっていた…


 が、


 さすがに、こんなにも、呆気なく、提携を解消するとは、思わなかった…


 だから、今さらながら、自分の頭の悪さを、嘆いた…


 そして、これは、余談になるが、今回のように、好子さんと、透(とおる)の仲が、悪くなれば、おそらく、米倉と、水野の提携に影響する…


 そう、すぐに、気付くか、気付かないかに、学歴は、あまり関係がない…


 いわゆる、勉強ができる頭の良さとは、関係がない…


 こう言えば、言い訳になるだろうか?


 だが、事実…


 事実だ…


 例えば、東大を出ていれば、なんでも、できると、考えるのと、同じ…


 東大を出ていれば、頭は良いが、その頭の良さは、勉強ができる頭の良さ…


 それが、今回のケースのように、


 …ああなれば、こうなるのでは?…


 と、気付く頭の良さとは、違う…


 そういうことだ…


 そして、それを、もっと身近な例で言えば、会社や学校で、ある男女が、皆に内緒で、付き合っていたとする…


 それに、気付くか、否かだ…


 周囲に内緒で、男女が、付き合っていれば、それが、会社や、学校では、バレないように、気をつけていても、どこかで、親密な態度をとるものだ…


 そして、それを見て、


 「…あの二人、もしかして、付き合っているんじゃ…」


 と、思うものだ…


 が、


 いくら、頭が良くても、気付かない人間は、気付かない…


 そういうことだ…


 言い訳になるが、それと、同じ…


 好子さんと透(とおる)の仲が、おかしくなれば、米倉と水野の提携が、おかしくなる…


 そう気付く人間は、気付くし、気付かない人間は、気付かない…


 そういうことだ…


 私は、今さらながら、思った…


 そして、なにより、そのことを、あの好子さんと透(とおる)は、どう思っているのだろうか?


 そう、思った…


 透(とおる)は、ともかく、好子さんは、どう思っているのだろうか?


 倒産寸前だった大日グループを率いる米倉家…


 その米倉は、水野の援助が、なければ、立ち行かなくなるのは、明らかだった…


 だから、先代当主の平造は、親友の水野良平を騙して、米倉と、水野を合併させようとした…


 内実は、経営が火の車だった大日グループを、水野グループと、いっしょにすることで、倒産を回避しようとした…


 そうしなければ、倒産するのは、火を見るより明らかだからだ…


 そのための布石が、米倉好子と、水野透(とおる)との結婚だった…


 いわば、米倉と水野の跡取り同士が、結婚することで、米倉と水野は、ひとつであることを、内外に象徴したわけだ…


 が、


 それが、ご破算になる…


 それは、すなわち米倉の倒産に直結する…


 大日グループの倒産に直結する…


 そんなことが、わからない好子さんでは、あるまい…


 それとも?


 それとも、そんなことは、すべて、承知の上でも、あの透(とおる)が、嫌になったのか?


 考えた…


 理屈では、そんなことは、わかっているが、嫌なものは、嫌だ…


 そういうことだろうか?


 感情は、理屈ではない…


 感情は、理屈を超える…


 そういうことだ…


 が、


 そうはいっても、以前、好子さんから、私に電話があったとき、好子さんは、


 「…透(とおる)に、あれほど、気をつけなさいと、言ったのに…」


 と、嘆いていた…


 ちょうど、透(とおる)が、あの秋穂という娘とフライデーに写った雑誌が、発売された直後のことだ…


 あのときの好子さんの言葉では、あのフライデーの記事の裏に誰かいる?


 誰かの意図で、ああいう記事が、世間に出た…


 明らかに、そう言っていた…


 だから、それを、考えれば、米倉と水野の提携に反対する連中の仕業だろうか?


 そういえば…


 ふと、気付いた…


 水野内部にも、米倉との提携に反対するものが、いると、あの水野良平が、私に言っていた…


 米倉の負債が、おおすぎると…


 当初、考えていた負債よりは、はるかに少ないと、聞いていたが、それでも、莫大な金額であることは、たしか…


 だから、提携に反対するのが、いても、おかしくはない…


 あまりにも、米倉の負債が莫大ならば、下手をすれば、米倉と提携した水野も、共倒れになるからだ…


 いっしょに、倒産するからだ…


 私は、あらためて、そう思った…


 そして、それが、今回の米倉と水野の提携の解消に繋がるのだろうか?


 私は、考えた…


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