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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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30/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 30

「…エッ? …澄子さん?…」


 すっかり、忘れていた…


 申し訳ないが、澄子さんの存在をすっかり、忘れていた…


 そして、あの澄子さんが、好子さんを、忌み嫌っていたことを、思い出した…


 徹底的に、憎んでいたことを、思い出した…


 だから、さもありなん…


 あの澄子さんが、好子さんを嫌って、陰で、なにやら、コソコソと動くというか…


 策略を仕掛けるというか…


 とにかく、好子さんに不利になることを、仕掛けることは、十分、納得できた…


 いや、


 もっと言えば、好子さんと透(とおる)の結婚が、決まった時点で、なにかある?


 と、予想すべきだったかも、しれない…


 あの澄子さんが、あのまま、なにもせず、好子さんが、透(とおる)と、結婚したことを、納得するわけが、ないからだ…


 澄子さんは、いつも、好子さんを嫌っていた…


 いつも、好子さんをイジメていた…


 だから、そんな好子さんが、透(とおる)と、結婚することで、脚光を浴びる…


 それが、許せなかった可能性もある…


 いや、


 許せなかったに違いない…


 が、


 これまでは、こらえていたに違いない…


 なんといっても、米倉は、没落寸前だった…


 あのままでは、米倉の経営する大日グループは、間違いなく、倒産した…


 だから、水野と合併するしかなかった…


 米倉は、水野の傘下に入って、生き残りを模索するしかなかった…


 だから、我慢したに違いなかった…


 好子さんが、水野透(とおる)と、結婚することで、米倉が、救われる…


 そう、思ったから、我慢したに違いなかった…


 が、


 もしかしたら、その状況が、変わったのかもしれない…


 ふと、気付いた…


 なぜなら、好子さんにちょっかいを出そうとしたからだ…


 今回の騒動の裏に、澄子がいるとしたら、それは、納得できる…


 米倉澄子…


 あの米倉正造の姉…


 半年ちょっと前に、あの米倉の豪邸で、何度か、会った…


 身長150㎝程度の小柄な女性…


 顔も、また、特徴がなく、平凡そのものの顔だった…


 というより、ハッキリ言えば、特徴が、なさ過ぎた(苦笑)…


 だから、あの澄子さんと、知り合って、偶然、街中で、会っても、つい見過ごしてしまう…


 それほど、特徴がない、女性だった…


 いや、


 特徴はある…


 それは、身長が、低いこと…


 155㎝の私よりも、5㎝も低い!…


 が、


 それを除けば、平凡…


 実に、平凡な女性だった…


 繰り返すが、街中で、偶然、会っても、見過ごすほど、平凡な女性…


 とりたてて、特徴のない、女性だった…


 そして、なにより、あの澄子さんは、好子さんを、毛嫌いしていた…


 いや、


 憎んでいたと、いっていい…


 私は、あのとき、どうして、あの澄子さんが、好子さんを憎んでいたのか、よくわからなかった…


 少なくとも、他人ではない…


 血が繋がった姉妹(と、当時は、思っていた)…


 にもかかわらず、誰にでも、わかるくらい、憎んでいた…


 いや、


 ただ、憎んでいたのではない…


 10歳以上、年の離れた好子さんをイジメていた…


 私は、当時、なぜ、澄子さんが、好子さんをイジメていたのか、わからなかった…


 澄子さんと、好子さんは、母親が違う…


 当時、共に、米倉の先代当主の平造の子供で、ただ、腹違いの姉妹と、思っていた…


 だから、母親が違うから、澄子さんが、好子さんをイジメるのか? 


と、思っていた…


 やはりというか…


 いかに、10歳以上、歳が離れていても、母親が、違うと、愛情が湧かないというか…


 そう、思っていた…


 なぜなら、普通は、可愛がるものだからだ…


 まして、10歳以上、歳が離れていれば、普通は、可愛がるものだ…


 だから、嫉妬…


 澄子さんは、何度もいうように、平凡…


 実に、平凡なルックスだった…


 いや、

 

 平凡すぎたと、いっていい…


 特徴が、なさ過ぎた…


 対照的に、好子さんは、美人…


 だから、余計に許せなかったのかも、しれない…


 そう、思った…


 人間は、嫉妬の生き物…


 身近に、自分よりも、明らかに優れた人物が、いれば、許せないと、思う人間も多い…


 そして、自分よりも、なにが、優れているかと、いえば、大抵は、


 ルックス、


 学歴、


 お金持ち、


 この3点だ…


 とりわけ、ルックスは、誰が見ても、わかる…


 だから、余計に頭に来る人間が、多い…


 たとえば、学校や会社で、美人が、なにか、男に、頼んだりする…


 すると、明らかに、平凡な女のコが、頼んだときと、違う対応をする男が、多い(笑)…


 それが、許せないのだ(爆笑)…


 明らかに、自分が、劣っている…


 それが、わかっているから、余計に許せないと、思う人間が、男女とも、多い…


 私は、当時、だから、澄子さんが、好子さんを、嫌っている…


 好子さんを、イジメている…


 と、思っていた…


 が、


 それだけでは、なかったのかもしれない…


 後で、わかったことだが、好子さんは、平造の娘ではなかった…


 米倉本家のお嬢様の娘であり、お嬢様と、結婚した、平造との間に出来た娘ではなかった…


 だから、それを知っていて、平造の娘の澄子さんは、好子さんを、嫌っていたのかも、しれない…


 つまりは、あの時点では、わからなかったが、すでに、澄子さんは、好子さんと、自分は、血の繋がりがないことを、知っていた可能性が、高い…


 そして、なにより、正統後継者…


 米倉本家の血を継ぐ、ただひとりの正統後継者であることを、知っていた可能性が、高い…


 そういうことだ…


 それゆえ、澄子さんは、好子さんを嫌った…


 好子さんをイジメていた…


 すでに、生まれたときから、差がついている…


 澄子さんは、平造の娘に過ぎない…


 一方、


 好子さんは、米倉の正統後継者…


 その差が許せなかった可能性が、高い…


 ちょうど、天皇家を例に取れば、次期天皇となるのが、好子さん…


 澄子さんは、好子さんよりも、10歳以上、年上にも、かかわらず、ただの皇室の一員…


 だから、それが、許せなかった可能性が高い…


 そして、なにより、好子さんは、澄子さんにとって、身近過ぎた…


 これが、中学や高校のクラスメートか、なにかなら、まだいい…


 学校で、顔を会わすだけだからだ…


 が、


 姉妹は、違う…


 家にいるときは、互いに顔を会わす…


 しかも、とりわけ、米倉のようなお金持ちだと、実家が、小さな旅館のように、大きい…


 だから、澄子さんのように、結婚後も、直一さんという婿を迎えて、あの米倉の家に住んでいた…


 普通の家庭なら、できない…


 家が小さいからだ…


 が、


 米倉の家なら、出来た…


 家が、小さな旅館並みに、大きいからだ…


 が、


そこまで、考えると、謎が残った…


 それほど、澄子が、好子を嫌いなら、あの米倉の豪邸を、澄子が、自分の結婚を契機に、出て行けば、いいことだからだ…


 そうすれば、好子と顔を会わす機会が、激減する…


 が、


 それを、しない…


 あるいは、


 できなかったのは、夫の直一のためでは、なかったのか?


 私は、気付いた…


 澄子の夫の直一は、次期、米倉の社長候補だった…


 本当は、澄子の兄の正造と、次期社長の座を争っていた…


 だから、社長である、平造の元で、いっしょに暮した方が、なにかと、都合がいい…


 そう、判断したのではないか?


 私は、そう思った…


 やはり、いっしょに住むか、否かは、コミュニケーションの点で、差が付く…


 次期社長を目指すならば、現社長の義理の父親といっしょに、暮らした方が、なにかと、都合がいい…


 そういうことだ…


 それゆえ、余計に、好子憎しの感情が、消えないのかも、しれない…


 私は、思った…


 そして、そんなことを、考えていると、透(とおる)が、電話の向こうから、


 「…あの澄子は、コンプレックスの塊(かたまり)だ…」


 と、突然、言った…


 …コンプレックスの塊(かたまり)?…


 あまりにも、意外な言葉だった…


 私は、あの澄子と何度か、会ったが、コンプレックスの塊(かたまり)だとは、思わなかった…


 普通、コンプレックスの塊(かたまり)の人間は、大抵が、


ルックスが、劣っていたり…


 身長が、人並み外れて、低かったり、高かったり…


 あるいは、


学歴が、低かったり…


 するものだ…


 あるいは、


家柄というか…


 生まれた家が、人並み外れて、貧乏だったり…


 つまり、コンプレックスは、普通に、考えて、


 ルックス、


 学歴、


 家柄、


 の3点が、劣っている場合に、生じることが、大きい…


 この一点が、劣っている…


 あるいは、この3点の内の2点、または、3点すべてが、劣っている…


 そのときに、コンプレックスを感じることが、多い…


 しかしながら、私は、澄子さんは、そのいずれにも、該当しないと、思った…


 身長は、150㎝と、小柄だが、ルックスは、平凡…


 良くもないが、悪くもない…


 さらに言えば、頭も、悪いとは、思えなかった…


 たしかに、好子さんをイジメていたから、性格は、悪いかも、しれない(苦笑)…


 が、


 頭が、悪いとは、思わなかった…


 さらに言えば、実家は、お金持ち…


 あの米倉だ…


 コンプレックスを感じるはずが、なかった…


 だから、どうして、あの澄子さんが、コンプレックスを感じているのか、よくわからなかった…


 それゆえ、


 「…どうして、コンプレックスの塊(かたまり)なんですか?…」


 と、透(とおる)に聞いた…


 ぜひ、答えを聞きたいと、思った…


 「…原因は、好子さ…」


 透(とおる)が、即答した…


 「…好子さん?…」


 「…あの澄子は、平凡だ…が、好子は、美人…だから、気に入らないんだ…」


 「…そんな…」


 「…そんなも、こんなもない…これが、事実さ…」


 「…」


 「…そして、澄子の弟の正造…」


 「…正造さん?…」


 「…アイツも、イケメンだ…だから、澄子は、悔しいのさ…」


 「…そんな…」


 言いながらも、透(とおる)の言葉には、妙に納得した…


 私には、兄弟姉妹が、いないから、よくわからないが、同じ家に住む、兄弟姉妹にも、当然、差がある…


 ルックスの差…


 頭の差…


 だ…


 当然、同じ家に住む、兄弟姉妹は、それを、皆、わかっている…


 そして、わかっていても、それが、親の差別に繋がるとなると、話が違うというか…


 例えば、父親が、同じ姉妹でも、美人の方を、優先して、可愛がるとか…


 母親が、頭の良い方を、明らかに、溺愛するとか…


 自分でも、劣っているのは、わかっていても、差別された方は、堪ったものではない…


 そして、それを、思えば、あの平造は、好子さんを溺愛していた…


 だからかも、しれない…


 平造が、澄子さんを可愛がる姿を、私は、見たことが、なかった…


 だからかもしれない…


 明らかに、自分の父親が、ルックスの良い妹を溺愛していれば、いかに、澄子さんが、好子さんと、10歳以上、歳が、離れていても、愉快なはずがなかった…


 父親から、明らかに差別されている…


 それで、不満に思わない娘は、いない…


 そういうことだったのかも、しれない…


 私は、思った…


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