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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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27/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 27

ただ、好きだから、結婚したわけではない…


 水野透(とおる)は、ただ、幼馴染(おさななじみ)の米倉好子さんが、好きだから、結婚したわけではない…


 あらためて、そう思った…


 透(とおる)には、透(とおる)の打算がある…


 計算がある…


 あらためて、気付いた…


 私は、これまで、ただ透(とおる)は、好子さんが、好きだから、結婚したと、ばかり、思っていた…


 いや、


 そう、信じ切っていた…


 我ながら、おバカさんというか…


 これでは、イマドキ、小学生にも、勝てないかも、しれない…


 人間は、年齢ではない…


 学力でもない…


 おおげさに、いえば、洞察力だ…


 これが、一番大切…


 水野透(とおる)が、米倉好子と結婚する…


 水野財閥の後継者が、困窮した米倉財閥の後継者と、結婚する…


 当然、なにか、理由があると、考えなければ、ならない…


 当たり前のことだ…


 が、


 私には、わからなかった…


 高見ちづるには、わからなかった…


 これは、やはり近過ぎたのが、原因というか…


言い訳になるが、あまりにも、身近に見知って、透(とおる)が、好子さんを、子供の頃から、好きだったと聞くと…それを、安易に、信じ込むというか…


疑いを持たなくなる…


そういうことだ…


が、


これでは、大人ではない…


子供と同じだ…


私は、思った…


私が、黙り込むと、


「…どうしたの? …高見さん?…」


と、好子さんが、心配そうに、聞いて来た…


これでは、逆だ…


真逆だ…


攻守逆転というか…


私の方が、好子さんを心配していたのに、いつのまにか、好子さんに、私が、心配されている(苦笑)…


まるで、お笑いだ…


私は、とりあえず、


「…いえ、なんでも、ありません…」


と、答えた…


「…そう…」


好子さんが、単調に、返答する…


「…私は、てっきり…」


「…てっきり、なんですか?…」


「…高見さんが、透(とおる)の真の姿というか…私と結婚した、打算が、わかって、透(とおる)に失望したと思った…」


たしかに、その通りだった…


が、


さすがに、それを、言うことは、できない…


言葉にすることは、できなかった…


すると、どうだ?


「…私、ずっと、思ってたの?…」


と、まるで、からかうような声音で、好子さんが、言った…


「…高見さんって、見た目と中身が、違うって…」


意外な言葉だった…


「…どう、違うんですか?…」


聞いて、みたくなった…


「…高見さんは、誰が見ても、しっかり者…学校でいえば、クラスの委員長とか、生徒会長とか、やっていたように、見える…」


「…」


「…でも、案外、抜けているというか、思い込みが激しい…」


「…思い込みが、激しい?…」


「…ほら、透(とおる)が、私を子供の頃から、好きだと聞くと、それを、成就するために、私と結婚したと、思っていたでしょ?…」


「…」


「…でも、現実は、違う…」


「…」


「…高見さんは、しっかりして、見えるから、もしかしたら、周囲の人間も、失礼だけれども、高見さんを、実力以上に、評価しているのかも、しれない…なんてね…」


好子さんが、笑った…


私は、文字通り、言葉を失った…


事実だったからだ…


その通りだったからだ…


好子さんは、最後に、笑いに包んで、言った…


笑い=オブラートに包んで、言った…


さすがに、笑いに包まなければ、言える言葉では、ないからだ…


が、


その通りと、思った…


同時に、もしかしたら、その言葉に好子さんの嫉妬が、含まれているのかも?


と、気付いた…


もしかしたら、好子さんが、私に嫉妬しているから、あえて、そんなことを、言うのかも?


と、訝った…


好子さんも、人間…


自分と結婚した男が、自分以上に、好きだった女が、いると、知って、動揺しないわけがないからだ…


嫉妬しないわけが、ないからだ…


が、


同時に、やはり、それは、ないとも、思った…


たしかに、好子さんが、私に嫉妬して、暴言を吐いたかも、しれない…


が、


内容は、暴言では、ない…


内容は、的を得ている…


正鵠を得ている…


ただ、好子さんは、頭に来て、つい、普段は、思っていても、口にしては、いけない言葉を言ってしまったに、過ぎない…


そう、思った…


そして、そんなことを、考えて、沈黙していると、


「…ゴメン…言い過ぎた…」


と、好子さんが、電話口で、詫びた…


「…高見さん…ゴメンナサイ…そんなに、親しい間柄でもないのに…」


好子さんが、詫びる…


が、


私は、親しい間柄ではないから、余計に、言ったのだと、思った…


なぜなら、親しき仲にも、礼儀ありというわけではないが、親しければ、親しいほど、言えない言葉も、あるからだ…


さすがに、これを言っては、相手が、傷付くかも、しれないと、慮(おもんぱか)るからだ…


が、


それほど、親しくない人間には、案外、遠慮しない部分もある…


なぜなら、たいして、親しくもないから、その人間と、いつ、どうなっても、構わないからだ…


最悪、ケンカ別れでも、いい…


だから、遠慮なく、モノを言える…


とりわけ、私や好子さんのような、関係なら、なおさらだ…


学校や会社のように、毎日、顔を会わすわけでもない…


まして、会社のように、半ば、永続的に、いっしょにいるわけでもない…


だから、遠慮なく、モノを言える…


だから、遠慮なく、本音を言える…


そう、思った…


そして、私にとっては、それが、有益というか…


遠慮なく、モノを言ってくれる方が、ありがたかった…


なにより、私が、案外、自分の実力以上に、評価されているのは、事実…


紛れもない、事実だった…


真面目で、堂々と、落ち着いて見える…


それが、いつの時代も、周囲の私に対する評価だったが、内心は、違うと、思った…


ただ、周囲の人間が、そう見ているだけだと、思っていた…


が、


評価とは、いつも、そういうものだ(笑)…


堂々としていれば、頼りがいがあり、周囲をまとめられる指導力があると、誤解される…


そんな例は、枚挙にいとまがない…


事実は、真逆…


ただ、堂々としているだけ…


が、


それも、もしかしたら、才能かもしれない…


会社でも、学校でも、中途や転校生で、やって来ても、周囲のものを、まとめられる人間は、まとめられる…


真逆に、どんなに、頭が良くても、周囲の人間をまとめられない人間は、まとめられない…


それは、結局のところ、才能が、違うからだ…


頭の良さと、ひとをまとめる才能は、一見、似ているが、実は、まるで、関係がない…


それは、ちょうど、英語ができるから、数学もできるのでは?


と、思うのと、同じくらい関係がない(笑)…


そういうことだ…


が、


当然、まったくのバカでは、ひとをまとめることは、できない…


が、


通常、そこまでの頭の良さは、必要ない…


だから、おおげさに言えば、


「…あのひとは、高卒だけれども、早稲田や、慶応のバイトを、まとめているから、凄い…」


と、飲食業などの職場で、自分以上の学歴の人間をまとめていれば、驚嘆する人間が、出る…


単純に、その人間に生まれつき、リーダーシップが、あるだけなのに、それが、わからない…


そして、ただリーダーシップがあっても、学歴が高くなければ、大きな会社では、出世できない…


当たり前のことだ…


学歴=頭がいいが、なければ、出世は、無理…


できない…


さらに、言えば、頭がいい=仕事ができる…


でなければ、出世はできない…


が、


それすら、理解できない人間が、案外、多いものだ…


私は、バイトを含めると、いくつかの会社を経験したが、案外、それが、理解できない人間も、多かった…


単純に、周囲のものを、まとめられるから、凄いと、驚嘆する人間も、多かった…


が、


それが、まだ、若ければ、いい…


高校や大学を出たばかりならば、まだいい…


が、


稀に、40歳を過ぎても、わからない人間も、いた…


それが、私には、驚きだった…


が、


わからない人間は、何歳になっても、わからない…


中には、


…オレは仕事ができたのに、学歴がないから、出世できなかった…


と、嘆く輩(やから)も、いた…


私は、それを、見て、その仕事とは、なんだ?


と、当時、思ったものだ…


例えば、高卒でも、単純に、手が速く、パソコンの入力作業が速いものが、大卒の社員が、トロトロと、入力が、遅ければ、アイツは、使えない! と、嘆く…


が、


その高卒の人間には、それ以上の仕事は、与えられないから、入社して、十年経っても、ずっと、そのパソコンの入力作業をやらされることになる…


つまり、入社以来ずっと、同じ立ち位置で、仕事を続けることになる…


そして、頭のいい人間は、皆、その人間を追い抜く…


だから、追い抜かれた人間の不満が、溜まる…


そういうことだ…


そして、そういう人間を見て、気付いたことは、すべからく、そういう人間は、相手の能力を探る力が、ないことだった…


例えば、大卒なら、どこの大学を出ているから、あそこは、偏差値が高いから、頭が、いいとか?


あるいは、


英検の一級の資格を持っているらしいと、聞けば、それが、どれほど、難しい試験か否か?


普通は、考えるものだ…


が、


それができない…


いわゆる、与えられた仕事を、自分は、完璧にこなすから、優れていると、自負する…


要するに、評価の基準が、それ以外に、なにもない(笑)…


なにより、他人の頭が、わからない…


誰もが、いっしょの職場にいたりすれば、自分が直接話したことのない相手でも、その相手が、どんな話をしているか、聞いていれば、その人間の学歴などは、なんとなく、わかるものだが、それが、できない…


私にとって、それは、驚き以外のなにものでもなかった…


そして、その経験が、後年、役に立った…


金崎実業に、入社しても、おおげさに言えば、大抵のことに驚かなくなったというか(笑)…


ちょっと、変わったひとを見ても、


…ああ、こういうひと、いた! いた!…


と、納得した…


人間は、類型化というと、おおげさだ、例えば、10通りとか、20通りとかに、分けられる…


だから、ある人間を見れば、大抵は、同じようなタイプの人間にあったことがあった…


だから、そういう人間は、どういう人間か、すぐに、わかった…


それが、役に立った…


そして、それを、考えれば、私…


私、高見ちづるも、同じ…


例外ではない…


私を見て、


…ああ、こういうタイプの女、いた! いた!…


と、内心、思っている人間も、多いはずだ…


そして、その人間は、私をどう評価したのだろう…


しっかり者のお姉さん…


小柄だけれど、美人…


そんなあたりだろうか?


厳密には、他人がどう考えているか、わからないが、おおむね、そんなところだろう…


が、


ひとつだけ、わかることがある…


誰もが、自分以上に、自分を評価する人間は、いないということだ…


自己評価は、常に、他人の評価を上回る…


そういうことだ(爆笑)…


だから、そんなことを、考えれば、今、例に挙げた、学歴は、低いから、出世できなかったと、嘆く人間を、私も笑うことは、できないのかもしれない…


自己評価が高いのは、同じだからだ…


そして、私が、そんなことを、考えていると、好子さんが、


「…高見さん…」


と、言ってきた…


「…ハイ…」


「…透(とおる)が、やっぱり、高見さんと、結婚したいと、言ったら、どうする?…」


と、聞いてきた…


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