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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部  作者: トモサン


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19/106

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第2部 19

だから、


 「…透(とおる)さん…」


 と、私は、言った…


 「…仮に、透(とおる)さんが、水野の後継者の座から、降りたときは、代わりの方は…」


 私が、良平に聞くと、良平の顔が、歪んだ…


 「…当然、います…」


 良平が、苦悶の表情で、言う…


 「…水野は、天皇家と同じです…」


 「…天皇家と、同じ…」


 「…直系の後継者は、透(とおる)だけですが、分家を、見れば、何人か、いる…」


 「…」


 「…そして、実は、透(とおる)の立場も決して、盤石なものじゃないんです…」


 「…どういうことでしょうか?…」


 「…透(とおる)は、春子の息子ではない…」


 良平が言った…


 当たり前のことだった…


 透(とおる)は、この水野良平が、愛人との間に、作った子供…


 この良平の血の繋がった息子ではあるが、春子とは、血が繋がってない…


 当たり前だった…


 「…だから、水野本家の血を引いてない…」


 「…」


 「…私は、高見さんも、承知のように、分家の出身です…」


 「…」


 「…ですが、分家出身ですが、本家の春子と結婚して、水野を大きくしました…だから、自分で言うのも、恥ずかしいですが、水野家内で、一目置かれているというか…一定の権力は、得た…」


 「…権力を得た…」


 「…ハイ…ですが、それも、妻の…春子の尽力が、あってのこと…」


 「…奥様の?…」


 「…そうです…どうしても、水野のような昔からの一族を束ねるには、権威づけというか…本家の信任を得る必要があります…」


 「…」


 「…妻の春子は、水野本家の血を引く、ただひとりの人間…だから、春子に認められなければ、なりません…」


 「…そんなに、奥様の力が…」


 「…必要です…」


 「…でも、会長が、事実上、水野をここまで、大きくして…」


 「…それでもです…春子は、天皇と同じです…」


 「…天皇…」


 「…天皇家ではありませんが、長く続く一族は、求心力と言うか…誰かが、頂点に立ち、一族をまとめる必要があります…」


 「…」


 「…私が、言うのも、面はゆいですが、妻が、水野一族の頂点であることは、私と結婚した今も、変わりません…」


 「…奥様が、頂点?…」


 「…ハイ…」


 「…でも、会長のこれまでの実績は…」


 「…それを、考慮しても、水野家内では、妻の方が、地位が上です…」


 「…」


 「…私は、水野家内では、入り婿のような立場といえば、いいのか…」


 「…入り婿ですか…」


 「…ハイ…」


 良平が、真顔で、答えた…


 なんということだ?


 私は、思った…


 この水野良平は、あの米倉平造同様、分家にも、かかわらず、本家のお嬢様と、結婚して、家を栄えさせた…


 家を格段に繫栄させた…


 にも、かかわらず、水野家内では、相変わらず、入り婿状態とは…


 あり得ない…


 想定できない地位だった…


 そして、私が、そんなことを、思っていると、


 「…透(とおる)の地位…透(とおる)が、私の後継者として、水野の中で、いられるのも、妻の…春子の支持があってのものです…」


 「…奥様の支持?…」


 「…妻の…春子の支持がなければ、水野の次期当主としては、認められません…」


 「…そんな…」


 「…外のものからすれば、信じられないかもしれませんが、事実です…」


 「…」


 「…春子は、当然、基本的には、透(とおる)を、認めていません…ですが、私のこれまでの実績を鑑みて、渋々、透(とおる)を、水野の後継者として、認めたというか…」


 「…」


 「…率直に言って、妻の…春子の後押しがあって、今の透(とおる)の地位があります…妻が、心変わりをすれば…」


 「…すれば、どうなるのでしょう?…」


 私は、聞いた…


 私の質問に、水野良平は、頭を抱えた…


 「…わかりません…」


 「…どうして、わからないんですか?…」


 「…春子が、心変わりをして、他の水野の人間を後継者に、推したとき、水野が、まとまるか、どうかが、わからないんです…」


 「…まとまるかどうか?…」


 「…当たり前ですが、これまでは、水野の後継者は、透(とおる)と、決まっていた…だから、突然、春子が、心変わりをして、水野の別の人間を、後継者に推しても、一族内で、納得するか、どうかは、わからない…」


 「…」


 「…そんなことは、春子も百も承知だと、思うんですが、別の見方をすれば、それほど、今回の透(とおる)の行動に、春子は腹が立ったというか…」


 「…」


 「…このまま、透(とおる)が、私の跡を継いでも、水野は、沈没すると、思ったのかもしれない…」


 水野良平が、沈痛な表情で、訴える…


 水野が、沈没?


 そんなバカな…


 まさか、水野ほどの大企業が?


 いくらなんでも、おおげさ過ぎないか?


 私が、思っていると、


 「…冗談では、ありません…」


 良平が、言った…


 「…蟻の一穴ではありませんが、小さなことから、どんなに大きな組織でも、傾くものです…」


 「…」


 「…だから、春子が、透(とおる)が、好子さんと、不仲になった騒動を聞いて、眉をひそめたのも、無理からぬことです…透(とおる)が、好子さんと、不仲になれば、今の水野と米倉の提携も、下手をすれば、ご破算になりかねない…そんなことも、わからない透(とおる)に、水野の今後は、任せられないと、春子が思っても、当然です…」


 良平が告げる…


 私は、そんな良平の言葉を聞きながら、水野透(とおる)と、米倉好子の結婚を思った…


 好きだから、結婚する…


 これは、当たり前…


 が、


 その当たり前のことが、できない…


 二人とも、大金持ちの子息…


 二人が、結婚することで、大金持ちの一族が、結びつく…


 だから、簡単に離婚も、できない…


 周囲の人間の、さまざまな思惑が入り乱れるからだ…


 私は、そんなことを、考えると、ふと、シンデレラを思い出した…


 あの物語のシンデレラだ…


 シンデレラは、サクセス・ストーリー…


 いわゆる、貧しい娘が、王子様に認められるサクセス・ストーリー


 成功物語だ…


 が、


 難癖をつけるわけではないが、あの後、シンデレラは、どうなったのだろうか?


 王宮で、うまく、やれたのだろうか?


 貧しい生まれのシンデレラが、王宮に入る…


 当然、妬みや嫉妬に晒されるだろう…


 その結果、イジメに遭う可能性も高い…


 そして、そんな様々な試練を乗り越えて、立派な王妃となるのか?


 それとも、


 王宮から、逃げ出すか?


 二つに一つだろう…


 私は、イジワルでも、なんでもないが、そう考える…


 なにしろ、もうすぐ34歳になる女だ…


 小学生でも、なんでもない…


 王子様と、結婚しても、バラ色の未来が、待っているわけではない…


 むしろ、ここからが、勝負というか…


 本番だろう…


 どういった生活が、待っているか、皆目、見当もつかないからだ…


 そういったことも、わからない女が、稀にいるが、それは、ハッキリ言えば、頭が、少し足りないのだろう(笑)…


 身分違いの恋が、簡単に成就するほど、世の中は、甘くない…


 貧乏人の生まれの女が、金持ちの連中の中に、すんなりと、入れるか? と、問われれば、大きな疑問だろう…


 人間は、平等ではない…


 仮に、年収200万にも、満たない母子家庭で、育って、年収1億円の家庭に、嫁いだりすれば、当たり前だが、うまくいくとは、思えない…


 育った環境が、違い過ぎるからだ…


 価値観や、金銭感覚が、違い過ぎるからだ…


 仮に、年収1億円の相手に嫁いでも、相手が、成り上がりならば、いい…


 まだ、うまくいく可能性もある…


 もしかしたら、相手も昔は、貧乏だったりする可能性もあるからだ…


 だから、話も、合うかも、しれない…


 が、


 この水野のように、昔からのお金持ちならば、うまくいく可能性は、皆無というか…


 ほぼ、ないだろう…


 なぜなら、育った環境が、違い過ぎるからだ…


 そして、なにより、相手の親戚も、皆、金持ちだらけ…


 おおげさにいえば、皇族と、貧乏人が、結婚したようなもの…


 例え、離婚しなくても、まったく、話が、噛み合わず、一人ぼっちになる可能性が、高い…


 皮肉でも、なんでもなく、それが、現実だろう…


 身近なところで、言えば、学歴も、また同じ…


 東大卒の人間と、偏差値40の人間が、結婚したとする…


 当然、話が、噛み合わない(爆笑)…


 仮に、共に、相手のルックスに惹かれて、結婚しても、いっしょに、生活することが、困難になる…


 これが、例えば、相手が、有名人ならば、例外かも、しれない…


 相手のネームバリューに、価値を見出すからだ…


 だから、相手が、偏差値40でも、構わない…


 全然、OK!


 が、


 普通は、ありえない…


 相手が、バカなことを、言い出して、


 「…コイツ、やっぱり、バカだったんだ!…」


 と、思って、それを、表情や態度に出せば、終わりというか…


 それまでの関係は、呆気なく、崩壊するだろう…


 そもそも、普通に考えて、誰もが、あまりにも、頭の違いがあり過ぎれば、夫婦や恋人になれる可能性は、はぼ皆無…


 なにしろ、話が、噛み合わない…


 誰もが、わかる事例で、言えば、身近な高校で、偏差値の高い高校の子と、偏差値の低い高校の子が、付き合うか、否か、考えれば、いい…


 偏差値65の高校にいっている男と、偏差値40の高校に、いっている女が、付き合えば、当然、話が、噛み合わないからだ…


 だから、普通に、考えれば、付き合ったり、結婚したり、するわけはない…


 仮に、結婚しても、話が、噛み合わず、お互いが、相手選びに失敗したと、思うだろう…


 それが、現実だ…


 が、


 稀に、そんな簡単なことも、わからない輩(やから)がいる…


 そして、そんな連中に共通することは、誰もが、自分有利に考えるというか…


 自分に都合よく、考える…


 ハッキリ言えば、今、あげた例で、言えば、


「…それは、わかるが、自分は、例外…」


と、考える…


 自分は、当てはまらないと、考える…


 そして、そう主張する根拠は、なにもない(笑)…


 仮に、偏差値40でも、ルックスが、人並み外れて、抜きん出て、いるとか…


 実家が、金持ちだとか…


 言うのは、わかる…


 が、


 彼(彼女)らには、なにもない…


 なにもないのに、自分は…自分だけは、例外と考える…


 まさに、バカの極みというか(笑)…


 が、


 世の中には、一定数だが、そういう人間も、いる…


 そして、そういう人間ほど、なぜか、プライドが高い(笑)…


 呆れるほど、高い(爆笑)…


 そして、歳を取って、気付いたのだが、これは、単に、コンプレックス…


 ただのコンプレックスの裏返しではないか? と、気付いた…


 意識する、意識しないに、限らず、自分が、劣っている…


 自分が、負けている…


 その事実に気付いている…


 が、


 それを、認めることが、できない…


 だから、だろう…


 だから、ヤクザではないが、虚勢を張るというか…


 少しでも、自分を大きく見せたがる…


 少しでも、自分を優れているように、見せたがる…


 そして、そんなことを、考えれば、考えるほど、人間は、平等ではない…


 ルックスや、能力、家柄に差がある…


 そんな、当たり前のことを、考えた…


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