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パンツと部活⑦

 

 鞄から今日、きららに渡されたDVDをゲーム機に差し込み、再生ボタンを押した。DVD再生はおまけの機能だが、あまりゲームをやらない達也にとっては、こうした使い方をすることが圧倒的に多い。そもそもこのゲーム機も父親が昨年末の家電量販店の福袋で当てたもので、家族の誰もゲームをしないから、消去法で達也の部屋に置かれているに過ぎない。


 ディスクにはタイトル表記がでかでかとされており、「厳選‼ 田中君へ!」とポップに書かれていた。考えるに昨日の夜、達也と別れてから準備をしたわけだ。勿論達也が返事をする前なのだから、用意周到である。


(結果的に彼女の思惑通りだな……はは)


 相当、楽しみにしてくれていたことがその文字から読み取れ、見る側にも少し気合が入る。


 DVDはテレビ番組の録画が主で、様々なフリースタイルバトルが収録されており、そのどれもがハイレベルなものだった。昨日のイベントで実際に見たものにも圧倒されたが、収録されているバトルはどれもプロのものであり、素人目にもそのレベルの違いが明らかだった。


その中でも達也を一際引きつけたバトルがあった。


 その番組の趣旨は、チャレンジャーが三人の「モンスター」と呼ばれるラッパーを倒すと、「ラスボス」に挑戦でき、そのラスボスに勝利すると賞金が手に入るというものだ。達也が胸を打たれたのは、そのラスボスの引退試合だった。ラスボスは最後の対戦相手にモンスターのうちの一人を指名した。お互いがリスペクトを持って戦い、最後はモンスター側がラスボスへの感謝の言葉を告げてそのバトルは終わりを迎えた。他のバトルでは見られる貶し合いとは異なる、明らかに異色のバトルだったが、その分、達也の心には言いようのない感動が残った。


(すごいや……ただ貶しあうだけじゃないんだ……)


 興奮が冷めないまま、達也は布団に入った。しかし、そのバトルの余韻のせいで、その夜はなかなか眠ることができなかった。


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