表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/347

【賭け事の賞品】

時間は神崎誠が岩豪鉄次と対戦する、数週間前までさかのぼる。


「では、私が勝ったら神崎誠にちょっかいを出してやります。彼が私に惚れるように、色々と仕掛けてやるのです」


ゴージャスな金髪をかき上げ、ジュリアは言った。


「その結果、彼が自分の意志で私のことを好きになったら、問題ないでしょう。ええ、彼を私のものにしてしまいます」


「ふざけるな、意味がわかんねぇ」


ジュリアの発言に頬を引き攣らせるのは綿谷華。アミレーンスクールの女子暫定勇者だ。


いつもはクールに振る舞う彼女が、頬を赤く染める姿を見て、ジュリアは満足げである。


「でもぉ、綿谷さんは彼のこと、別に好きじゃないんでしょ? だったら、別にいいじゃないですか」


「ああ、そうだよ。好きじゃないよ。だけど、それとこれとは関係ない。っていうか、わざわざあいつを賭け事の賞品みたいに扱う必要ないだろうが」


「ありませんけどぉ……綿谷さんが嫌がりそうだから、そうしたいんです」


「お、お前は……」


顔を赤くして拳を握りしめる華だが、ジュリアは飽くまで挑発的だ。


「あら、怒っている怒っている。どうして怒っているのでしょう。怒ると言うことは、何か特別な感情があるのでしょうか? 再三否定しているので、そんなことはないはずですが、かと言って何もないのに怒るなんて不自然ですよねぇ」


口を開いてしまったら旗色が悪い。

何とか冷静に判断した華は全力で口を閉ざす。が、ジュリアはその口を閉ざしてはくれなかった。


「この際、綿谷さんの気持ちは横に置いておきましょう。横に置いておいてあげます。でも、決めました。綿谷さんの気持ちに関係なく、私が勝ったら神崎誠を誘惑する。一緒に帰ったり、お弁当作ってあげたり、テスト前は一緒に勉強したり、スクールカップルがやりたがるような、ベタこと全部やってやります」


「勝手にしろ!」


その場を立ち去ろうとする華だったが、その背にジュリアの声が。


「あら、許可をいただいた、ということでよろしいですね?」


無視して、華は歩いた。

何を苛立っているのだ、と自分に問うが、その昂りが収まらない。すれ違う人、誰もが振り返るほど、その気迫は凄まじいものだった。


さて、彼女の身に何があったのか。


さらに時間はさかのぼる。神崎誠がアミレーンのスクールに入学した日まで。

「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」と思ったら

下にある☆☆☆☆☆から、作品の応援お願いいたします。


「ブックマーク」「いいね」のボタンを押していただけることも嬉しいです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ