【怪しい視線☆恐怖の手紙】
今日も朝からハナちゃんと学校へ。
本当に、この瞬間は僕にとって憩いの時間だった。だって、朝だとハナちゃんは機嫌がいいし、楽しそうに笑ってくれるから。
デートの約束は忘れられてしまったのかもしれないが、それでもいいか、と思わせられるほど、何かもう恋人同士みたいな時間なのだ。
しかし、今日は何だか妙な感じがあった。
後頭部に視線。
僕は思わず振り返った。
「どうした?」とハナちゃん。
「いや、何か見られているような気がして」
「今更何言ってんだよ。私と一緒に歩いてんだから、誰かしらには見られるって」
ハナちゃんはどうでも良さそうだ。だけど、いつもの視線と違ったような気がしたのだ。
いつもは好奇心というか、ただの面白いもの見たさ、という視線が殆どなわけだが、さっきのは違った。
明確な敵意と言うか……。
「なんだよ、お前にそんな視線の違いが分かるのか? 達人かよ」
そう言ってハナちゃんに笑われてしまうと、確かにその通りである。気にしなければ良い、と思ったのだが……。
一時間目の授業が始まると、僕は登校中に感じた視線の正体を知る。
「…………」
僕は真横から、突き刺さるような視線。
「…………」
二時間目の授業も変わらず鋭い視線が。こめかみに穴が開いてしまいそうだ。
「…………」
三時間目。
「…………」
四時間目の授業が終わり、ついに耐えられなくなった。僕は、朝から強い視線を送り続ける、
隣の席の男……
皇颯斗に声をかけてみることにした。
「あの、何か……用?」
「…………」
しかし、皇はナイフの先のように鋭い視線を向けるだけで
……何て言うか、
普通に怖い。
「僕……皇くんに何か、したかな?」
恐る恐る下手に出てみたが、やはりリアクションはない。
どんな言葉なら皇が返事をするのだろうか、と頭を悩ませたが、教室の入り口にハナちゃんの姿を見付けた。彼女も僕の視線に気づき、軽く手を振ってくれた。
そうだ、今日はハナちゃんが学食を案内してくれる日だった。
僕も手を振り返して、
席を立とうとしたが、その瞬間、皇がとてつもないスピードで、僕の席に何かを置いた。
「な、なに?」
しかし、皇は僕の声など聞こえなかったように、席を立って教室を出て行ってしまった。彼は席に何を置いたのだろうか。見てみると、綺麗に折り畳まれた紙だ。
……手紙か?
こういうのって、女子同士がやるものではないか。
嫌な予感を抱きながら、折り畳まれた紙を開いてみると、こう書かれていた。
「神崎くんと二人きりでお話がしたいな☆ 放課後、一人で体育館裏に来てね。みんなには内緒だよ。華先輩にも絶対に言っちゃダメ!! もし、華先輩に話したら神崎くんをフルボッコにしちゃうんだから(泣)」
???
なんだ?
どういうことだ?
なぜ丸文字で女子風なんだよ。
「さっき、颯斗から何か受け取ってなかった?」
「いや、何も……」
学食へ向かう途中、
ハナちゃんも不審に思ったらしく、質問されてしまった。
が、皇の視線と丸文字が怖すぎて、相談することはできなかった。
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