【スクールライフ!③】
授業に関しては、理解できないことばかりだった。
でも、使われている文字は、
日本語に酷似していて、何となくだが読めないことはなかった。
前の世界と文化が変わらない、
ということは、正直助かる。
こういうのって
文字を理解するだけでも大変で、難易度が高い場合は言葉も通じないこともあるから、
ある意味、僕はラッキーな異世界召喚だった、と言えるだろう。
そして、授業ではアトラ隕石のことが何度も出てきた。
「えー、アトラ隕石は、千年前にオクト王国となる地に落ちたと考えられています。宇宙からやってきたこの隕石は、常に未知の瘴気を排出。人々の健康や意識に悪影響をおよぼし、世界規模のパンデミックを起こすことになりました」
これは『対ノームド戦』という授業の先生が語った内容だ。
「そして、それが原因で全世界が空前絶後の不景気に。各国は資源を求めたことで、世界戦争が勃発します」
どこの世界も歴史とは戦争というワードが必須らしい。
「激化を続ける戦争を終焉に導いたのは、皆さんお伽噺でも聞いたことがあるでしょうが、アトラ隕石から誕生した五人の女神です。人智を遥かに超える女神たちの力は、それこそ世界中を火の海に沈め、文明を崩壊させます。これが女神戦争ですね」
女神戦争?
セレッソの顔が頭の中に浮かぶ。
「女神戦争の影響により、それ以前の歴史や技術は消失。この世界は千年かけて、文明復興に力を入れなければならなかった。私たちのご先祖様は、本当に苦労されたんでしょうね。きっと、地獄のような状況から、この世界を建て直したのでしょう。地獄と言えばですね、私も第一次オクト・アッシア戦争のときは……」
六十は超えているだろう、
ゆったりとした先生の声は、もとの世界の授業であれば眠っているところだが、僕は色々と考え込んでしまった。
まずは五人の女神。
確か、三枝木さんが同じワードを出していた。セレッソがその一人だと。
ってことは、セレッソは千歳ってこと?
超ババアじゃん。
いやいや、流石に千年も生きているってことはないだろう。
ただ、ここは異世界だ。
不老不死という設定があってもおかしくないが……
いざそれを真実だと突き付けられると、少し信じがたいものがある。
先生の話は続く。
「現在、アトラ隕石は錬金術や魔法による技術、つまりはアトラの壁によって瘴気を抑え込んでいますが、アトラ周辺は他の地域に比べて影響を受けやすくなります。そのため、アトラ隕石の影響を受けないため、付近に用がある人は、聖職者や錬金術たちによって作られる護符の使用が必須です。ただ、人体のノームド化、いわゆるフォールダウン現象は、完全な対処法が見つかっていません」
フォールダウン現象。
僕がこの世界で最初に戦ったモンスターが、それによってノームド化してしまった人、ということだろうか。
後でセレッソに聞いてみよう。
「そのため、オクトにとってフォールダウン現象は、アッシアと並ぶ脅威です。皆さんは立派な勇者、もしくは戦士になったら、アッシアの強化兵だけでなく、ノームドと戦う機会もあります。その対処法をしっかりと学んでください」
フォールダウン現象。
やっぱり、その原因はセレッソに見せられた穴、アトラ隕石が原因だったらしい。
僕にとってのラスボスは、
アトラ隕石になるとセレッソは言っていたが、
この世界にとって神話的存在で、千年以上も解決に至っていない大問題みたいじゃないか。
本当にそんなもの、僕にどうにかできるのか?
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