表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

231/347

狭田慶次の場合 / ここは根性で

クマエフの千切れた体から吹き出す血が、彼の足元を赤く染める。


「これだけひどい目に遭ったのは、いつぶりだろう」


自嘲の笑みを浮かてから、クマエフは辺りを見回すが、辺りは自らの攻撃で土埃が舞い、敵の位置が確認できる状況ではなかった。


そんな中、最初にクマエフが目に止めたのは、折れた盾と一緒に倒れる岩豪の姿だ。体を引きずるように、岩豪の傍へ移動すると、クマエフは腕を一つ振り上げる。そして、ナイフのように硬質化した手刀を振り上げるが――。


「ブレイブソード!」


その声に、振り返るクマエフ。

視界には銀の輝きが。


反応するにも、千切れかかった体では上手くいかず、それが彼の肩口に突き刺さった。


「くそぉぉぉ」


クマエフの肩に突き刺さった剣を投げつけたのは、もちろん狭田である。


そして、狭田が土埃の中から飛び出してきた。ブレイブモードによる超加速移動は、傷付いたクマエフの反射をはるかに上回る。狭田は跳躍しつつ、一気に距離を詰めると、空中からクマエフの肩口に向けて蹴りを放った。


「二本目、もらったで!」


狭田の蹴りは、クマエフの肩に突き刺さる剣の柄を押し込み、刃をより体の奥へと侵入させた。さらに、着地した狭田は剣の柄を握って、強引に捻ってから引き抜く。


ごとり、と音を立ててクマエフの腕が落ちた。


「オクト人ごときが!!」


残った三本の腕のうち、二本が狭田が手にする剣を掴む。刃で指が裂かれても、剣だけは折ってみせようという意志が見られた。


「こら! 俺のブレイブソード、返せや!」


「ふざけるな! こんなもの、へし折ってやる!」


「やったら、しゃーないな!」


狭田は剣にこだわらず、柄から手を離し、渾身の一撃を拳に込めて叩き込む。が、クマエフも瞬時に反応し、空いた腕でそれを阻もうとした。ただ、ブレイブモードによる勇者の攻撃は、強化兵の体であろうが砕いてみせるほどの威力があった。


クマエフの腕は弾け飛ぶようにして粉砕し、残る腕は二本に……。


しかし、クマエフの武器は腕だけではない。腹部から飛び出たままの臓器が、再び荒れ狂う大蛇のように動き回るのであった。


「ここは……根性見せたるわ!!」


周辺を吹き飛ばすほど、凄まじい破壊力を持つクマエフの臓器だが、狭田はプラーナを燃やして、そのエネルギーを防御に回す。鞭のように打ち付けられる攻撃は、ブレイブアーマーに守られる狭田の体を確実に痛めつけるが、それでも彼は動きを止めず、クマエフに向かって一歩踏み出した。


「捕まえた!!」


そして、動き回る臓器を何本か掴み取り、クマエフの体から引きずり出してから、千切って見せる。クマエフは絶叫しつつも、二本の腕で掴んでいた剣を手放し、攻撃へ転じてみせるが……。


「確かに返してもうたぞ」


狭田はクマエフが手放したばかりの剣を、地面の落ちるよりも先にキャッチし、それを横一閃に振るった。


「でもって、これで終わりや」


「がっ……!」


断末魔の叫びもなく、クマエフの上半身と下半身は離れ離れに。クマエフの体が崩れると同時に、狭田は両膝を付いた。


「あかん。もう動けへん……」


ブレイブモードを解除する……つもりだったが。


「狭田! やつはまだ動いている!」


どこにいるのか、岩豪の声。

そして、クマエフを確認すると、確かに目が合った。

「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」と思ったら

下にある☆☆☆☆☆から、作品の応援お願いいたします。


「ブックマーク」「いいね」のボタンを押していただけることも嬉しいです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ