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【強引に脱出するしかない】

『侵入者あり、侵入者あり。兵士たちはただちにセッションSへ。繰り返す。兵士たちはセッションSへ』


どうやら僕たちの潜入がバレてしまったらしい。と言っても、あれだけ派手に戦ったんだ。ニアのバックアップだって無意味なものになってしまったのだろう。


そんな危機的状況だが、フィオナは冷静に次の指示を出す。


「ここは退きましょう。リリ、ワクソーム城につながる地下通路はどっち?」


「あっちだと思います!」


リリさんが指をさす方向には、確かに扉があるが……そこから警報を聞きつけたのであろうアッシア兵が雪崩れ込んでくる。


「仕方ない。来た道を戻って、この施設から脱出を!」


だが、僕たちが使った入り口からも兵士たちが、次々と入ってきた。警報から数十秒と経っていないはずが、瞬く間にアッシア兵たちが僕たちを包囲しているじゃないか。


「皇、こうなったら……僕たちで突破するしかない」


敵の数は百はくだらない。

たぶん、強化兵も含まれるだろう。おまけに謎の敵による攻撃まである。


二人だけで、どうにかできる状況じゃない。

それでも……何とかしないと!


しかし、皇はいつもと変わらないトーンで言うのだった。


「いや、逃げる方法がある」


「はぁ?」


「考えがある、と言ったんだ。君は……死んでもフィオナ様をお守りしろ」


「な、何をするつもりだ……?」


「もう一度言う。フィオナ様を守れ。君を信じるぞ(・・・・・・)


……信じる?

皇が僕を?

どういうことだ?


いや、考えている余裕はない。

よく分からないけれど、皇に信じると言われたんだ。フィオナを守るしかない!


皇がゆっくりと拳を持ち上げると、呟くように言った。


「ブレイブナックル……!!」


皇の拳が激しく光り輝く。

アッシアで戦うようになってから、たくさんの勇者のブレイブナックルを見てきた。だけど、皇が使うのは初めてだ。


しかも、これはただのブレイブナックルじゃない。ありったけのプラーナを集中させているのだろう。


「フィオナ、こっちに! アオイちゃん、リリさんとエックスさんも!」


皇が何をするつもりか、僕は理解して皆を呼び寄せたが、少しばかりか遅かった。皇が拳を床に叩きつける。


同時に、とんでもない衝撃が響き、床に無数の亀裂が走った!


そして、ガラガラと音を立てて床が崩壊し始める。


そうか、ブライアがヴァジュラを撃ちまくったせいで、床が脆くなっていたんだ。そこに、皇の全力ブレイブナックル。


この部屋も崩れるわけだ!


部屋が崩壊したら、どうなるか分からない。僕はフィオナを守るために抱き寄せるが……。


「リリさん、エックスさん、アオイちゃん!」


三人は遠すぎる!

向かうにしても遅すぎた。僕たちの足元も崩壊が始まる。


「くそっ!」


せめてフィオナだけでも!


「フィオナ、離れるな!」


「う、うん……!」


そして、僕たちは浮遊感に包まれ、すぐに暗闇の中へ引き込まれていくのだった。

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