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【これは機動的な戦士だぜ】

甲板から、勇者たちの戦いを見守った。

戦いは数、と聞くが実際にその通りなのだろう。まさに、そういう展開で数で勝るオクト兵が少しずつイザール基地に迫り、戦いはすぐに終わるように見えた。


艦橋を見上げると、フィオナの姿が。

彼女も僕に気付いたらしく、小さく頷いた。僕は頷き返してから、再び戦場の方へ目を向ける。


「変身……!」


ブレイブシフトを掴むと、全身が光に包まれ、灰色のブレイブアーマーが僕を守る。


そして、ニアが用意してくれた、対攻撃魔法用防御装備のマント、旧式のブレイブバスター、ブースター・ユニットも装着済だ。


『誠さん、聞こえますか?』


「ニア?」


耳元でニアの声が。


『はい。特別に誠さんのナビゲートを許してもらえました。できる限りサポートしますね』


さらに、セレッソの声も。


『感謝しろよ。私がフィオナに許可とってやったんだ』


「助かるよ! じゃあ、アルバロノドフの位置は?」


『敵の位置までは分かりませんが、中央の部隊がかなり乱れています。強敵がそこにいるとしたら、アルバロノドフかもしれません』


中央か。確か、ハナちゃんが中央の部隊に配置されるとか言っていたよな。


僕の頭の中に、アルバロノドフにやられた名前も知らない勇者と、馬部さんの姿が浮かんだ。


ハナちゃんが、あっけなくやられるなんて思いたくないけれど、嫌な予感がしてならなかった。


「ニア、ハナちゃんの居場所は分かる?」


『すぐに調べます』


ニアがキーボードを叩く音。


『見つけました! 華さんは中央、イザール基地の手前にいます。これは……敵に囲まれているかもしれません』


僕は船首から港に飛び降り、戦場へ向かって走る。


「どっちだ!」


『一時の方向です。いま華さんがいる方向を表示させました』


すると、視界の隅に赤い矢印が表示された。


なるほど、ゲームで見たことあるぞ。これに従って突っ走れば、ハナちゃんがいるところへたどり着く、ってことだな。


僕は全力疾走でハナちゃんのところへ向かう。が、アッシアの兵士たちが次々と僕の行く手を阻んだ。


「死ね、勇者!」


飛びかかってきた兵士は生身。

強化兵ではない。

僕は跳躍してそれをやり過ごし、戦場の奥へ進む。


すると、正面から大量の火の玉が!

しかも、押し寄せる壁のように、かなり広範囲に渡る攻撃だ。


これは避けられないぞ!


『誠さん、マントを使って!』


僕はニアに言われた通り、マントを掴んで体を保護した。


わずかな衝撃。

しかし、熱は感じなかった。


『魔法の無効化を確認。よかったーーー!』


よかった、って……

自信なかったのか?


僕が再び走り出すと、今度は全身灰色の兵士が目の前に。


強化兵か!


「ブレイブバスター!」


ブレイブバスターの引き金をひくと、赤い光線が飛び出す。そして、それが強化兵を吹き飛ばした。


まるで……

ガン〇ムが使う武器じゃないか!


しかし、威力はいまいちだったらしく、強化兵が立ち上がって、僕を睨みつけた。


「か、かまってられないぞ!」


僕は再び走って逃げるが、強化兵の方が速い。少しずつ距離が詰められていく。


『誠さん、ブースターユニットを使えば、敵を振り切れます。そのまま、華さんのところへ向かえば二分で到着するはず。使ってください!』


「分かった!」


ブースターユニットをオンにすると、ドンッと後ろから押されるような感覚の後、一気に加速した。戦場の景色が次々と後方へ流れていく。僕を追いかけていた強化兵の姿も、すでに確認できなかった。


「す、すごいぞ……!」


何度かアッシア兵が僕に飛びかかろうとしたが、誰一人として捉えることはできない。


『前方、華さんを目視で確認できるはずです!』


……あの赤いブレイブアーマーがハナちゃんか!


女性的なフォルムだけど、どこか野性的で攻撃的。その印象はハナちゃんそのものだ。さすがはアインス博士。ハナちゃんの特徴をよく捉えているな……。


って、感心している場合じゃない。


ハナちゃんは五体の強化兵に囲まれているが、ダメージを受けているらしく、膝をついて動けないみたいだ。


助けないと!


「ブレイブバスター、乱れ撃ち!」


と言いつつ、小心者の僕は二発分だけ引き金をひく。赤い光線が、二体の強化兵を弾き飛ばし、ハナちゃんを含む全員がこちらに視線を向けた。


「ハナちゃん!」


僕が左手を伸ばすと、ハナちゃんも手を伸ばした。


ブースターユニットの加速をゆるめず、僕はハナちゃんの手を取り、強化兵たちの間を潜り抜けるように通過する。


「ま、誠なのか?」


「助けにきたよ、ハナちゃん!」


安全な場所まで移動したことを確認してから、ブースタユニットを停止させる。


「怪我は??」


「大丈夫だけど……誠、後ろ!」


振り返ると、襲い掛かる強化兵の姿が。僕は反射的にブレイブバスターの引き金をひき、強化兵を吹き飛ばす。


何とか不意打ちを免れたが、まだ敵勢力が多い場所であることには変わりない。


「ハナちゃん、一度安全なところまで移動しよう」


「バカ! 私はまだ戦える!」


立ち上がろうとするハナちゃんだが、ふらりとバランスを崩す。そんなハナちゃんを受け止め、僕は抱き上げた。


いわゆる、お姫様抱っこってやつだ。


ひ弱な僕が、こんなことできるとは思いもしなかったぜ……。


「ちゃんとつかまってて!」


「う、うん……」


再びブースターユニットをオンにする。ハナちゃんを抱えているから、先ほどに比べればスピードは落ちるが、戦場の中を掻い潜るには十分だ。


『誠さん! アルバロノドフが現れました! やっぱり、中央です! 中央をかき分けて、こっちに真っ直ぐ向かってますーーー!』


「すぐに行く!」


このまま、戦いが続けばイザール基地が落ちるのも時間の問題だ。だけど、アルバロノドフは捨て身の覚悟でフィオナを攻撃するだろう。


そして、そこにはアリサさんもいるはず。


早く戻らなくては!


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