第7話 外来の魔法少女
ついにタイトル回収しました。
魔法少女機関を後にした俺はただただ長い歩道の上を歩いていた。
周囲には中学校があるものの今の時間はすでに夜中で人の気配などあるはずもない。
そのため静寂だけが傍にいた。
しかしその静寂が突如として殺される。
『GYYYYAAAAAAA!!!』
「っ!?」
突如としてあたりに広がる嫌悪感のある大音量……
間違いない、魔物だ。
「逃げたほうがいいか?」
ここは魔法少女機関のすぐ近くだ。
魔物はすぐに倒されるだろう。
「けどな……」
俺の手には一つ紙袋がぶら下げられていた。
中には魔法少女機関で作ったマナゼリーが500グラムほど入っている。
研究の名目で俺が持ち帰ったものだ。
「これを使って魔法少女に変身すれば倒せるんじゃないか?」
そう思わず口に出す。
別にすぐに倒さないと町に被害が出てしまうからなどといった正義心から出たわけではない。
俺の魔法少女に変身したらどんな風に魔物と戦えるのだろうという純粋な好奇心から出てしまった言葉だ。
普段の俺ならすぐに行動に移していただろう。
しかしここが魔法少女機関のすぐ近く、というかすぐ隣と言っていいぐらいの距離にあることが問題だ。
「流石にここで変身したら見られるよな?」
という俺の理性がストップをかけてきている。
しかしそのストッパーをぶち壊したのはまた別の理性だった。
ここに人の気配はなく、近くに監視カメラのようなものもない。
変身してしまえば見られても男の俺がその正体であることなどわかるはずがない。
「つまり見られても新しい魔法少女が現れたというだけになる」
じゃあ問題ないな!
俺は紙袋からマナゼリーの入った瓶を取り出す。
「飲むのは……これぐらいでいいかな。」
俺は瓶を傾け一気に4分の1ほどを飲み干す。
ゼリーにはマナだけで砂糖など入れていないのに、桃のような甘い味がする。
前食べたときは寝起きだったし少なかったので気づいていなかったが、きっとこれがマナの味なのだろう。
「今後も何回か飲むだろうしおいしいのはありがたいな。まぁそれは後に置いておいて、それじゃあさっそく……」
『変身!』
『Are you ready? ザザッ、ザーーー』
どこからともなく声が響き、俺の体が光を放つ、前の時と同じだ。
ならばもちろん……
「魔法少女にもなれてるな」
口からかわいらしいがどこかかっこよさも感じる声が鳴る。
「声も身長も変わるから違和感すごいの忘れてたな……。」
これちゃんと戦えるか?
少し不安になってきた。
「まぁ、やってみれば分かるか」
俺は体の調子を確かめつつ魔物の声がした方向へと向かう。
『GYAAAA!!!』
「おっ、いい感じに暴れてんな」
俺は気勢を上げながら暴れ散らかしている獣のような黒い化け物の前で足を止める。
そうだ、せっかく魔法少女になって魔物の前にいるんだしあれをやるか。
「さぁ、お覚悟はよろしくて?」
『GYAAAA!!!』
空気を読んだのかは知らないが、前口上を終えると魔物が襲い掛かってきた。
どうやら爪を武器にして戦うタイプらしく右前足を俺に向かって突き出す。
俺はその攻撃を横に受け流しつつ、隙ができた横っ腹にむけて回し蹴りを叩き込んだ。
『GYA!!??』
「すごいな……」
思った通りに体が動く、これなら問題なくあいつを倒せるな。
俺の一撃を受けた魔物は吹き飛びつつも体をひねり着地したようだ。
とはいえそれなりのダメージが入ったらしく少しふらふらしている。
「今度は魔法も試すか……」
俺が使えるのは基本魔法の5つだけ、おっさんが言ってた固有魔法はまだわからない。
今の状況で使うべき魔法は……
「エアバレット!」
緑色の風のようなエフェクトの球が現れ魔物へと向かう。
しかし魔物は横っ飛びでエアバレットを避けてしまい、そのまま俺の突進してくる。
「これぐらいならまた受け流し……!?」
突然魔物が姿勢を屈めて下段攻撃をしてくる。
この低い攻撃を受け流すのは不可能だ。
しかも完全に受け流す気の姿勢だったため避けることもできない。
「っ、バリア!」
発生した少し青みのある半透明のバリアが魔物の攻撃を受け止めた。
基本魔法バリア……、覚えておいて正解だったな。
魔物はバリアで攻撃を防がれたため少し怯んでいる。
今なら間違いなく攻撃が当たるだろう。
「ファイアボール!」
『GYA……!?』
魔物の顔面にこぶしほどの火の玉がぶつかり爆発する。
バリアがまだ残っているため俺に被害はない。
「…これバリアなかったらやばかったな」
頭が爆発によってなくなった魔物は横に倒れ、そのままどろどろに消滅していく。
「……終わりか」
思ったより簡単だった。
危うい場面はあったものの、結局ダメージは受けてない。
この分なら今後も魔法少女になって魔物を倒すことができそうだ。
俺は魔物を倒すことができて気が緩んでいた。
そのせいだろうか、俺は後ろから魔法少女が走ってきていることに気が付かなかった。
「ねぇねぇ、あなたも魔法少女だよね?」
「!?!?!?!?!?」
後ろから突然話しかけられ思わず振り向く。
そこには一人の少女がいた。
身長は155cmほどだろうか、今の俺よりも10cm以上大きく、髪は桜のようなピンクでそれをツインテールにしている。
どことなくあほっぽい顔をしているが、実際頭があまり良くないのを俺は知っている。
そう知っている、なぜならこの女の子は俺と同じ高校の同級生だからだ。
日陽 あさみ、誰にでも優しく誰とでも分け隔てなく接する性格で、実際俺に対して勉強を教えてほしいと突然話しかけてきたこともある。
まぁ、俺が頑張って教えてもあまり改善はできなかったが……
そんな少女が俺に対して話しかけてきている、しかもさっきの内容からしてこいつも魔法少女なのだろう。
……まずい、この状況どうやって乗り越えるべきだ?
今この間もあほっぽく口を少し開きながら首をかしげているが、変に詰め寄ってこられたらぼろが出て俺の正体がばれてもおかしくないぞ……
「あ!」
「!?」
俺が黙っているといきなり大声を上げた。
もしかしてばれたのか?
いや、さすがにそれはないはずだ。
「もしかしていきなり話しかけておどろかせちゃったのかな?」
「そ、そうだよ、ちょっとびっくりしちゃって……」
よかった、まだばれてないらしい。
しかしここからどうやって離れるべきだろうか……
そんなことを考えているとあさみが口を開く。
「私は日陽あさみ!魔法少女ヒメツバキでもあるよ!あなたは何て名前なの?」
「えっと……」
ここは名前の名乗った後逃げるのが自然か?
名前……
そうだな、今の俺の立場を考えて名前を付けるとしたら……
「ゼノマギア……、いや、ゼアだな、それが私の名前」
「ゼアちゃんっていうんだ!」
「それじゃあ私はこの後用事があるから……」
「えっ...…」
俺は名前を告げてすぐに走り去った。
しかしゼアという名前、我ながらなかなかうまくつけれた気がする。
外来の魔法少女という意味のゼノマギアから頭文字をとってゼア、なかなかしっくりくる。
今後魔法少女として動くときは魔法少女ゼアと名乗ることにしよう。
* * *
「行っちゃった……」
私は走り去っていく白い魔法少女の背を見ながらそうつぶやく。
話しかけた時もびっくりしたみたいだったしもしかしてゼアちゃんは恥ずかしがり屋のかな?
そんなことを考えていると突然後ろから話しかけられた。
「あれ?もう魔物倒しちゃったの?」
「うわっ、あ、清華ちゃん!」
水瀬 清華
私の同級生の友達で魔法少女としての活動もよく一緒にしている。
学級委員長もしていて、私に勉強を教えてくれる。
「もう、後ろからいきなり話しかけられるとびっくりしちゃうからやめてよ」
「あら、ごめんなさい」
あっ、もしかしてゼアちゃんもあの時こんな気持ちだったのかな?
ならびっくりするのは当然だったかも……
「魔物ならゼアちゃんがもう倒しちゃってたよ?」
「ゼアちゃん?そんな魔法少女いたかしら……」
「え?清華ちゃんが知らない魔法少女なんているの?」
清華ちゃんはまじめな性格でなので、同じ魔法少女の名前はできる限り覚えるようにしてたはず。
そんな清華ちゃんが知らない魔法少女なんているのだろうか。
「もしかして未登録の魔法少女かしら?」
「う~ん、清華ちゃんが知らないならそうなんじゃないかな?」
未登録の魔法少女か……
けど魔法少女は妖精と契約してなるものだから、なったらすぐに魔法少女機関に所属するように言われたはずじゃ?
「それよりもあさみちゃん?私の姿を見て何か気づくことはないかしら?」
「ほえ?」
清華ちゃんの姿?
えっと……、いつも通り身長が高くてきれいな水色の髪が膝くらいの高さまであるストレート……
???
「いつも通りの魔法少女の姿じゃない?」
「そう、魔法少女の姿よ、それなのにあなたはさっきから私の本名をしゃべりまくってるの」
「あ……」
忘れてた、魔法少女は正体がばれないようにしなくちゃいけないんだった。
「ごめんねビオラちゃん、うっかりしちゃって」
「まったく、これで30回目よ?そういうところ私は好きだけどちゃんと気をつけなさいよね?」
「は~い!」
……あ、そういえばゼアちゃんに思いっきり本名と魔法少女名を言っちゃったような……
ま、まぁ、同じ魔法少女だしいいよね!
「はぁ、まぁこの辺りは人がいないしいいか、私も変身解除しよう……」
そう言ってビオラちゃんが光りだし、姿が変わる。
170cmほどの高身長で腰ほどの高さまである魔法少女の時よりも少しおとなしい水色の髪、いつもの清華ちゃんの姿だ。
「全く、せっかくこの時間に来たのに魔物がいないなんて、一人暮らしの私はともかくあさみちゃんは大変じゃない?」
「う~ん、そこまでじゃないよ?お母さんたちも魔法少女の活動を応援してくれるからこの時間帯に家を出ても怒られないから。」
「あら?ちょっと前に魔法少女の活動がお母さんに止められそうとか言ってなかったかしら」
「うっ……」
清華ちゃんが突然私の急所を突いてくる。
そう、私は今魔法少女人生の窮地に立たされているのだ。
まぁ、学校の成績が悪すぎて活動休止にしたほうがいいんじゃないかってお母さんに言われただけなんだけど……
「そうだ、せっかく会ったんだしこの後あさみちゃんの家にお邪魔して勉強会でもしようかしら」
「えっ、いやでも」
「だいじょうぶ、私一人暮らしだから別に帰らなくても問題ないわ」
清華ちゃんの突然の提案に私は驚いてしまった。
いや、でもまぁ、ありがたくはあるかも……
お母さんも多分清華ちゃんなら喜んで家に上げるだろうし……
私がどうするべきか悩んでいると、清華ちゃんが口を開いた
「それにしても私が定期的に勉強を教えて今の成績って私と友達になる前はどうしてたのかしら?」
「え?あぁ、それは宇佐戯君に頼み込んでたから……」
「あぁ、彼ね」
宇佐戯君は私のクラスメイトで清華ちゃんと友達になる前はよく頼み込んで勉強を教えてもらっていた。
まぁ、宇佐戯君は頑張ってくれたのに私の脳だとあんまり結果は出なかったけど……
「彼しょっちゅう無断欠席してるのに私より成績いいからむかつくのよね……」
「あはは……、確かにここ1週間は学校に来てないね」
今頃宇佐戯君はなにしてるのかな?
今回の使用魔法紹介
魔法名
バリア
攻撃力C
スピードA
使いやすさA
射程距離C
汎用性B
魔力消費5
概要
基本魔法の一つ
発生速度がかなり早く、強度もファイアボールに余裕で勝てるぐらいに高い
中には足場として使用する魔法少女もおり、汎用性もなかなか高い優秀な魔法
小話
この作品の日本はアニメによくある髪色のバリエーションがすごいタイプの日本です。
一日で更新したのでポイント乞食します。ポイントください。




