第4話 魔法少女機関
魔物に辛勝した翌日……
「あれから更に調べてわかったことをまとめよう。」
まず、攻撃を1回でもすれば中のマナがなくなることが分かった。
正確にはマナゼリーに集まったマナがだが。
どうやら攻撃の際にそのマナが活性化し、その影響により魔物へのダメージとなるらしい。
そのため武器に使うなら使い捨ての銃弾が推奨される。
ただし、使った弾頭をマナに近づければ再びマナが集まるためリサイクルは可能らしい。
……まとめるとは言ったものの一つしかなかったわ。
「よし、有用性も証明できたし魔法少女機関にプレゼンしに……」
……いつ行くんだ???
やっべ、普通に応募要項とか全く見てなかったわ。
え〜と……
え、応募締め切り今日じゃん!?
うわ〜、ぎりぎりで気づけてよかった〜
早速応募っと……
よし、できた。
じゃあ応募もできたし寝るか〜。
* * *
そのころ、魔法少女機関にて……
「おい、今回の応募者は何人だ?」
「およそ30名です。」
「そうか……、だいぶ減ってきたな。」
「はい……、まぁ、これまでに受かった人物もかなり少ないですししょうがないかと。」
宇佐戯が応募した魔法研究部門はかなりの人員不足であった。
なぜなら殆どの応募に来た人物を落としてきたからだ。
落とした理由は能力不足、その一言につきた。
まあ中には優秀ではあるが極度のロリコンでなおかつYESロリータNOタッチも知らない危険人物であることが理由に落とされた人物もいたがそれは関係ない。
そもそも魔法はその特異性からほとんどわかっておらず、国が総力を上げてもわかったことは何もわからないという事実のみ。
そんな状況を打破できる者を求めて経歴や年齢などを無視して、国民から集めてはいるが、それでも集まったのは十数名、たったそれだけであった。
それに、それだけ優秀な人材を集めてもほとんど進展はなかった。
「見込みがある人物はいるか?」
「いえ、見た限りでは残念ながらいません。」
「そうか……、人員不足は変わらずだな……。」
「ええ、それに前から所属するように頼み込んでいた魔法少女オルフェンからは『めんどくさいから無理だ。』という返答をもらいました。」
「はぁ……、まぁ、まだ未成年の子供に頼む時点で駄目なんだ、しょうがないか……」
魔法少女オルフェン、彼女は魔法少女の中で最も頭がいい魔法少女であり、魔法の研究でもいくらか功績を上げていた。
そのため時折手助けを要請するのだがいつも断られている。
「ふむ、たった今応募人数が一人増えました。」
「ん?こんな締切直前にか?」
「えぇ、……これは……!?」
「応募した奴がどうかしたのか?」
「ええ、どうやらまだ未成年のようです。」
「未成年?またいたずらか?」
「そうだとは思いますが……」
「何があるのか?」
「ええ、いたずらにしてはやけにしっかりと応募用紙が書かれています。」
「というと?」
「年齢以外に変なところがないです。」
「なるほど、イタズラするようなやつならもっと変な箇所があるはずってことか?」
「はい、これはもしかするかもしれません。」
「魔法少女オルフェンのようなやばい未成年かもと?」
「えぇ、これは期待できるかもしれませんよ?」
「ふっ、そう言って結局駄目だったことしかないだろ?」
「いえ、今回こそ行ける気がします。」
「はいはい、期待せずに待ってるよ。」
* * *
しばらく時が流れ……
「今日はプレゼン当日か……」
遅れないように早めに行くか……
「ん〜……最近は学校サボって家にいたから日に当たるのは久しぶりだな……」
そんなことを呟きつつ、道を歩いていると曲がり道で道の角でひととぶつかってしまった。
「うおっ。」
「おっと。」
ぶつかり倒れそうになったのだが、俺の手がぶつかった相手に掴まれたため倒れずにすんだ。
「大丈夫ですかな?」
「え、えぇ、すいません、あまり前を見ていなくて。」
「いえいえ、私もお嬢様に気を取られてあまり前を見ていませんでしたので、お互い様ですよ。」
ぶつかった相手を見るとスーツを着た高齢の男性で、なぜか赤ん坊を抱えていた。
それにしても……
「ご高齢に見えるのにかなりの体幹ですね?」
「おや、そうですか?」
「ぶつかったのに倒れたのは俺だけですから。」
「ふふ、それは確かに。」
体はピンと伸びており姿勢もいい。
なんというかイケジイだ。
「おっと、私はこれから買い物があるため立ち話はここまでに……」
「えぇ、では。」
イケジイは去ってしまった。
それにしても……
「あの赤ん坊……」
何故だかわからないが、妙な感じがした。
一体何だったのだろうか?
「……かなり気になるが、それよりも魔法少女機関を優先しよう。」
もう魔法少女機関の近くだし。
小話
実は魔法少女機関は宇佐戯の家から徒歩10分で向かえるぐらいには近くにある。