第1話 魔力残滓
時は遡り1ヶ月前...
俺、星染 宇佐戯は高校が終わり帰路についていた。
「はぁ...、いつも通りだるかったなぁ...」
また明日になると高校に行く羽目になるのかぁ...
などと考えながら歩いていると、近くからなにかが破壊されたような音が聞こえた。
「ん?なんだなんだ?」
つい気になって、音がした方向へと向かうと、そこには魔物らしき姿があった。
黒い異形な姿をした、普通にグロい見た目だ。
そばには魔法少女と思わしき人もいる。
「ほぅ、これは珍しいものを見た。」
交戦していた魔法少女は、火の魔法を発動し、それが命中すると魔物の体はどろどろと溶けていって、やがて完全に消滅した。
魔物が消滅したのを魔法少女が確認するとどこかへ飛んで行った。
「魔法少女かぁ...」
というより、魔法なぁ...
気になるよなぁ、魔法はロマンだもん。
あっ、そうだ。
魔法の残滓的なものが空気中にあるかも知れないし回収してみよう。
「回収できるようなものは...、これでいっか。」
帰り道でたまたま買っていた飲み物を飲み干し、空のペットボトルを作り出す。
俺は魔法少女がファイアボールを使った辺りの場所に近づきペットボトルの空気を入れ替え回収をした。
「早速家に帰るぞ~」
俺はワクワクした気分で走り出した。
* * *
俺の家は、死んだ両親が研究者だったこともあり、測定機器がたくさんある。
それらを使った結果、どうやら回収は成功しており、謎の物質が検出されていた。
次に、どんな性質を持つか様々な機器で調べたのだが...
「すげぇ、意味わかんない反応がたくさんだ。」
試しに熱を加えてみると膨張どころか逆に縮小しており、逆に冷やすと膨張した。
普通の物質とは真逆だ。
「だったら加熱しまくれば液体になるんじゃ...」
そう思い、熱を加えまくっても気体から液体にはならなかった。
「駄目か...」
う〜ん、液体にしてみたいなぁ...
あっ、そうだ。
残滓が普通の物質とは真逆反応を示すなら液体が生成される化学反応とは逆のことをしてみれば液体になるかも。
じゃあまずは...
数時間後...
駄目でした☆
「はぁ...、なんとかできないものか...」
そもそも発想が間違ってるのかな...
う~ん...
「...とりあえずテレビでもみて落ち着くか。」
そう思い、テレビをつけるとニュース番組をやっていた。
「ふ~ん...、海外の世界遺産に爆破予告が来たねぇ...」
...爆破?
爆破...
そうだ爆破だ!
爆破の反対は収縮、もしかしたら液体になるかもしれない!
「そうとなったら早速実験!」
もちろん爆破しても大丈夫なように防爆スーツをきて……と。
まずは...水蒸気爆発かな。
というかこれ以外に爆発するものが無さそう。
そうだな...
絶対零度の残滓と真反対の温度にした残滓を接触させるか。
数分後...
出来た☆
本当に出来ちゃったよ。
無理だと思ってたのに。
「ふぅ...」
とりあえず一段落だぁ...
って...
「あぁ!?」
液体になったマナが消えてる!
多分気体になったんだ!
戻るの早すぎるよぉ...
...ゼラチンで固めたらそのままになったりしないかなぁ
数分後...
「嘘......だろ......?」
残滓が気体になるのはさっきの感覚からしておそらく一分程度。
だが、ゼラチンで固めたものはそこから一分以上立っても残滓が抜ける気配がまるでない。
ゼラチンで固めるとかいうバカみたいな方法が正解だと...?
い、意味がわからん。
「...まぁ、成功したんだし良しとするか。」
深く考えたら負けな気がする。
うん。
「んぁ~...、作業してたら疲れたな。」
残滓のゼリーをかたずけたら寝るか...
人物紹介
星染 宇佐戯
16歳
主人公
研究者の親を持ち、その遺伝か本人も研究が好き。
少しマッドサイエンティストの気質があり、平然と自分の体で実験しようとする。
一分以内にゼラチンを固めるという謎技術を持つ。