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ゼノマギア  作者: ささみ
第1章 なぜ彼は魔法少女となったのか
19/21

第18話 笑顔

これ書き終わった時点でまさかの投稿1時間前である。

後半はこの章の重要な場面だしうまく書けてると信じたい……

 俺は帰り道を歩きながら、俺は再びシントリエのことを考えていた。


 彼女は失踪しているとされているのに、彼女の本名と思われる市津思愛は失踪者リストには載っていなかった。


 そこで俺は今になって思いだしたことがある。

 失踪届は親族にしか提出できないということだ。


 つまりだ、彼女の親族が失踪届を出さない選択をしたのなら、彼女の友人だろうが失踪届は出せないのだ。

 ということは彼女に友人がいたならば、その友人は彼女について探している可能性がある。

 そこからシントリエについて知ることができるのではないかと思うのだ。


 なので、俺は市津思愛という人物を探している組織がないのかネットで探してみることにした。


「……!、あった!」


 俺が見つけたサイトによると、市津思愛は2019年3月2日に学校に来たのを最後に行方をくらまし、その両親はなぜか彼女の失踪届を出していないらしい。


「このサイトに書いてある電話番号に連絡すれば、彼女について知ることができるかもしれない」


 けどどんな名目で接触する?

 彼女が魔法少女なことは勝手に言うのはまずいだろうし……


「あ、そうだ」


 こうなったらおっさんを巻き込もう。

 おっさんに俺が魔法少女なこと以外の部分を話しちゃえば、魔法少女機関の名前で話を聞きに行けるかもしれない。


「そうと決まれば明日魔法少女機関に行って、おっさんに相談するか」


 そう決めた俺は到着した家の玄関に入り、すぐにそのまま布団をかぶった。


 *  *  *


「はぁ!?最初の魔法少女を見かけた!?」

「え、そんなに驚くようなことなの?」


 おっさんを巻き込むことを決めた翌日

 俺がおっさんにシントリエと遭遇したことを話すとかなり驚かれた。


「ふつうに遭遇したし、魔法少女機関もここら辺にいることぐらい把握してるものだと思ってたんだけど?」

「把握してるわけねぇだろ!?」

「そ、そうなんだ」


 なんというか珍しくおっさんの圧が強い、思わず少し後ずさりしてしまった。

 魔法少女機関も彼女のことを探しているだろうとは思っていたがここまで熱心だとは......


「それで?一体シントリエはどこにいたんだ!?」

「あ~、教えてもいいですけど接触するのは難しいと思いますよ?」

「え、なんでそう思うんだ?」


 なぜ難かしいのかおっさんに聞き返されてしまったが、どう返すべきかな……

 あ、そうだ。


「俺が見たときはあの白い魔法少女とシントリエが戦ってたんですよね」

「はぁ?それは……どういうことだ?」

「俺が知りたいですよ、ただどちらかといえばシントリエのほうが襲い掛かってたようには見えました」

「……シントリエが魔法少女を敵対視してるのか?」

「詳しくはわからないですけど、俺にはそういう風に見えました」


 なんでシントリエが襲ってくるのかは俺が知りたいよ。

 あの時の会話を思い返してみると、どうも妖精に何かがありそうだったけど何があったんだ?


「そういうことがあったのでシントリエについて調べてみたんですよ」

「おう、行動が早いな、何がわかったんだ?」

「彼女の本名だけです、しかも頭にはおそらくが付きます」

「おそらく?それはどういう?」

「簡単に言うと......」


 俺はおっさんでもわかるようにこれまでで分かったことを簡単に伝える。


「なるほど、それでそのサイトの管理者に話を聞きたいから魔法少女機関の名前を使いたいと」

「おっさんも気になりませんか?」

「う~ん、そうだな、俺も同行するなら問題ないぞ」

「よし、じゃあ早速電話してください」

「え、そこで俺にやらせるの?まぁいいけど……」


 おっさんがサイトに載ってた電話番号に電話をかけて数分、電話終わったようでスマホを耳から離した。


「どうでした?」

「すぐにでも話をしたいらしい、電話主も北海道在住らしいからこれから会えるそうだ」

「じゃあ早速行きましょう、どこでやるんですか?」

「札幌にある喫茶店に来てほしいらしい、俺が車を出すからそれで行くぞ」

「わかりました」


 だいぶとんとん拍子に話が進んだが、早い分には俺としてはありがたい。

 俺とおっさんはすぐさまおっさんの車に乗り込み指定の場所に向かった。


 *  *  *


「この喫茶店だ」

「……closeになってますけど?」


 俺とおっさんが喫茶店の前に到着し、店にかかっている看板を見るとどうやら閉まっているらしい。


「友人の喫茶店を借りてるらしいから入っていいそうだ」

「あぁそういう感じか」


 どうやら入っても問題ないらしいので、俺は喫茶店の扉お開いた。


「本当に思愛ちゃんが見つかったんですか!?」

「会って早々圧が強いなぁ!?」


 というかまだ扉を開けただけで喫茶店に入ってすらいなかった。

 まぁ、行方不明の友人を見つけたとか言われたら、これぐらい焦ってもおかしくないのかもしれないが少し落ち着いてほしい。


「あ、すいません、私は御影(みかげ) 千里(ちさと)といいます、思愛ちゃんの友人で今は脳科学者をしてます」

「え、あの!?」

「ん?知ってんのか宇佐戯?」

「高校生の時点で脳科学者の第一人者とも呼ばれていた有名な学者ですよ!」

「し、知らねぇ……」


 マジかこのおっさん、脳科学について調べたことがあるなら必ず名前を知ることになる有名人だぞ。

 けど見た目が高校生の時の写真と違いすぎて俺も気づけなかった……

 髪はぼさぼさだし隈もひどい、メイクで隠そうとはしているがまるで隠せていなかった。

 一体彼女に何があったんだろうか。


「あはは……、正直脳科学はそこまでメジャーではないので知らなくても全然おかしくないんですけどね、むしろ知っている方のほうが珍しいです」

「だよな?」

「え~、生きてたら一回ぐらい脳みその仕組みとか知りたくなりません?」

「わからんでもないが、そこで行動しようとするやつはあんまりいないと思うぞ」


 なんか納得いかないので若干不貞腐れた顔をする。

 まぁ、俺たちがこれからする話とは一切関係ないので別にいいのだが、なんかなぁ……


「それよりこっちも自己紹介をするぞ、俺が魔法少女機関研究部署の部長をしている井出雄露だ。」

「同じく研究員の星染宇佐戯です」

「井出さんと宇佐戯君ですね、わかりました」


 ……別に今は関係ないし気にしていないのだが、俺のことを呼ぶときなぜか苗字じゃなくて名前で呼ばれることが多いのか気になった。

 まぁ本当に今は関係ないのだが。


「思愛ちゃんについて聞く前に聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

「大丈夫ですけど何が聞きたいんですか?」

「魔法少女機関に所属しているということは、思愛ちゃんが魔法少女であることはわかっているんですよね?」

「「!?」」


 御影さんは彼女が魔法少女シントリエであることを知っているのか!

 ということは市津思愛がシントリエなのは間違いなさそうだ。


「はい、こちらでもしっかり把握しています」

「わかりました、では思愛ちゃんについて聞かせてください」

「はい、彼女が発見されたのは……」


 おっさんが御影さんにシントリエについての話を共有した。

 これで何か彼女についてわかるといいのだが……


「思愛ちゃんが魔法少女を襲っていた?」

「えぇ、おそらくではありますが」

「そんなはずは!いや、でも、う~」


 御影さんは何やら何か思いつめたような顔をしている。

 この反応的に何か彼女が魔法少女を襲う心当たりのようなものがありそうだ。


「何か心当たりがあるんですか?」

「……このことはほかの誰にも伝えてほしくないんです、けど広めたりしないことを約束してくれるなら話します」

「安心してください、言いふらすような真似は絶対にしません」

「なら、分かりました。実は思愛ちゃんはどこかの研究所に売られたらしいんです」

「「え、」」


 御影さんの口から想定外の言葉が紡がれた。

 研究所に売られた……?

 確かに魔法少女にはそれだけの価値はある。

 けどそれを実際にやるなんてこと……


「8年前魔物が突如現れた影響で、海外に逃げる人が続出したのは知ってますよね?」

「はい、けどそれがどうつながるんです?」

「思愛ちゃんの親は逃亡しようにもお金がなかったらしいんです、そこで思愛ちゃんが魔法少女であることを特定した怪しい研究所が、彼女を売れば莫大な金を払うと親に迫ったそうなんです」

「それでまさか本当に……!?」

「はい、即決だったらしいです、思愛ちゃんが学校に来ないことに気づいたクラスメイト全員で家に押し掛けた頃にはもう......」

「……すいません、こんなことを聞いてしまって」

「いえ、大丈夫です……」


 あまりにも胸糞悪い話だった。

 我が身可愛さで親が子供を売る……

 そんなこと許されていいはずがない。


 ……なんというか、この話を聞いて俺には一つ覚悟ができた。

 彼女がなぜ俺に襲い掛かったのかは知らない。

 けどこんな話を聞いた以上見捨てることは俺が納得できない。

 なんとしてでも彼女を理解する、そう覚悟をした。


「御影さんは市津さんとは親しかったんですか?」


 重い空気を晴らすためか、おっさんがそう御影さんに質問した。


「はい、私と思愛ちゃんはクラスの中で一番といっていいほど仲が良かったんです、私の脳科学の研究の時も手伝ってくれて、魔法少女に変身するときや魔法を使うときにどんな脳の状態になるのか、なんて研究にも手伝ってくれました。」

「え、何それ気になる。」

「おい!?」


 思わずそう口から出てしまった。

 いや、だってしょうがないじゃん。

 魔法少女の研究者としてこれを気にしないのは失格だよ、うん。


「ちょっ、おまっ、今のタイミングでよくそんなこと言えるよな!?」

「ここで気にならないのは研究者失格ですよ」

「そうかもしれないけどさぁ!?」


 そんなコントのようなやり取りをしていると、笑い声が聞こえてきた。

 思わずその方向を見ると、少し笑顔になった御影さんがいた。


「ふ、ふふっ、いいんですよ別に」

「え、でも」

「本当に良いですって、確かにここで気にしないのは研究者として失格ですから」

「そ、そうですか?」

「はい、そうです」


 やっぱり御影さんはわかる人のようだ。

 御影さんも脳科学者だしそうだろうと思っていた。

 そんなことを思っていると御影さんが俺のほうを見て口を開いた。


「宇佐戯君、実はちょうどそれについての研究資料をスマホに入れて持ってるんです、本当はこの研究は思愛ちゃんとの秘密にするつもりだったんですけど、誰かに見せたりしないならその資料を君にもあげます」

「え!?本当に良いんですか!」

「ええ、もちろん、約束を守れるなら」

「守りますよそれくらい!」

「ふふ、じゃあメールアドレスを交換しましょうか」

「はい!」


 俺と御影さんはメールアドレスの交換を行い、研究資料を送ってもらい、思わずスマホを抱きしめる。

 ま、まさかこんなところでこんな貴重な研究資料をもらえるとは......

 ここに来たのは間違いなく正解だった!


「ふふ、なんというかうらやましいです、思愛ちゃんがいなくなってからの私は全然研究がうまくいってなくて……」

「そんなことないですよ!御影さんは間違いなくすごい脳科学者です!今は成果が出なくてもすぐにとんでもない成果が出せますよ!」

「!……そうね、ありがとう宇佐戯君、私も久々にやる気が出てきたわ」

「それはよかったです!」


 感謝の言葉を俺に言った御影さんの顔は、隈などひどい部分もあったがそれを圧倒的に上回るほどいい笑顔だった。


「それじゃあ俺たちはここらへんで失礼します」

「資料を読んだ感想は後で必ずメールで送りますね!」

「えぇ、待ってるわ」


 俺たちはその言葉を最後に喫茶店を出た。

 俺の頭の中には資料についてだけでなく、あの笑顔も強く残っていた。

小話

この後すぐに宇佐戯は資料を暗号化し、絶対に誰にも見られないように厳重なセキュリティーを施したファイルに入れた。


この章の最重要アイテムが出てきたのでポイント乞食します。ポイントください。

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