第14話 最初の魔法少女
委員長の変身を見た翌日……
俺は今日も近くで発生した魔物の討伐に向かっていた。
『GYAAAA!!!』
「はぁ、これ飲むと身長縮むんだよなぁ......」
使わないという選択肢俺の中にはないが、それはそれとしてなんとなく嫌な感じではある。
これならわからないほうがよかったか?
そんなことを考えつつもマナゼリーを飲み干した。
「変身!」
『Are you ready? ザザッ、ザーーー』
俺の体が光に包まれ姿が変わる、光が消えた頃にそこにいたのは真っ白な魔法少女である俺だった。
「さぁ、ここからがハイライトだ!」
『GYAAAA!!』
魔物は人型で刀のようなものを持っている。
とりあえずあの刀に気を付けつつ接近するか。
行動を決めて俺は魔物へと走り出す。
すると魔物は体を屈め、居合のような姿勢をとった。
「居合かな?なら、ソイルニードル!」
魔物に土でできたとげが飛んでいく。
魔物はそのとげを居合切りで防いだが、それによって刀を振りぬいてしまった。
「これで防ぐのはきついだろ?」
俺は隙ができた魔物に銃を3発撃ちこみ、俺自身も魔物に近づく。
『GI!!!』
「うげ、まじか」
魔物は俺が打った3発を全て弾いてしまった。
その代わり刀のようなものは折れてしまったようで魔物はそれを投げ捨てる。
「まぁ、刀を壊せたんだしいいか」
『GIIIIII!!!』
相手は武器を捨てて丸腰の状態だ。
だいぶ状況は有利になっている。
お互いににらみ合う均衡状態の中、先に動いたのは魔物だった。
『GI!!』
「流石にそれは通らねえよ」
魔物の攻撃は大ぶりの右ストレートでわかりやすい攻撃だった。
俺は突き出される右腕を掴み、右足で足払いをしバランスを崩させ、そのまま投げた。
「ファイアボール!」
『GIII......!』
投げられて倒れ伏した魔物は立ち上がろうとしたものの、それよりも早く俺のファイアボールが頭を消し飛ばした。
頭がなくなった魔物はどろどろになり消えていく……
「今日のは若干強かったな」
そんな感想が俺の口から洩れた。
正直刀を捨ててなかったら俺は攻めあぐねていただろう。
他の魔法少女が来るよりも早く倒したい俺としては厄介な敵だったといえる。
「さて、帰るとする「ちょっと待ちな」……!?」
俺は慌てて後ろを振り向く、するとそこにいたのは一人の少女だった。
黒い、彼女を見てまず思ったのがそれだった。
俺が白い魔法少女なら彼女はいわば黒い魔法少女であり、まるで俺とは対照的な見た目をしている。
髪は腰ほどまでの長さのストレートだろうか。
なんにせよとにかく黒い見た目をしている。
……俺は彼女に見覚えがあった、というか今の日本人は彼女をテレビで何回か確実に見ているだろう。
そう、彼女こそが日本に生まれた最初の魔法少女、名前は確か……
「魔法少女シントリエ……!」
「知ってんのか、なら話が早いな」
なぜシントリエがここに!?
テレビじゃ確か行方不明になってるって聞いたぞ!?
「お前なかなか強いな、特に魔物が刀を捨てた後がよかった」
「え、うん、ありがとう」
なんか褒められたけどいったい何なんだ?
何がしたいんだこいつ。
「まぁ、そんなことはどうでもいいんだ、お前の妖精は今いるか?」
「えぇ……、いや、いないけど」
「ふ~ん、本当に?」
「だからいないって」
「そう、なら……」
シントリエの手に水でできた槍が現れる。
おそらく基本魔法のアクアスピアだろう。
「おいおい、正気か?」
「ん?今の私が正気に見えるのか?ならその頭は相当は相当お花畑なんだろうな」
「っ、さすがに魔法少女と戦うのは想定してないぞ!?」
間違いない、シントリエはやる気だ。
嫌な感じがする。
多分シントリエは俺よりも……
「シッ!」
「ぐっ」
アクアスピアでの突きを斜め前に走りこむことで避けようとしたが無駄だった。
走りこむのと同時にシントリエはバリアを生成し、俺はバリアにぶつかってしまった、しかもそのバリアはすぐに消されそのまま蹴りを入れられた。
「これ勝つの無理じゃね?」
「わかってるなら早く妖精を出しな、お前は見逃してやる」
俺は激痛が走る腹を手で押さえながらそう言った。
思えば魔法少女になってまともにダメージを受けたのは初めてな気がする。
シントリエは妖精を出せば見逃してくれるらしいが……
「俺に妖精はいねぇんだよなぁ......」
「は?何言ってんだお前」
まぁ、信じるわけないよな......!?
俺は追撃を仕掛けてくるシントリエのアクアスピアによる横薙ぎを後ろに飛んで躱す。
しかし、このまま逃げ回っていてもシントリエに負けるのは時間の問題だろう。
正面から勝つのは不可能となると俺にできる手段は……
「グミ撃ちしかないよな!」
「まじか、それは悪手だろ」
俺はエアバレットを大量に生み出しシントリエに打ち出す。
初めての無言での魔法の発動だったが、うまくいってよかった。
もちろんシントリエはバリアで防いでしまっているが、物量の暴力により貫通するものも少なくない。
「たしかにグミ撃ちは私に有効だろうが、お前のマナが切れるほうが早いだろ!」
「確かに普通はそうだ、だけど俺にはこれがある」
そういって俺はマナゼリーを取り出す。
俺は念のためいつもマナゼリーは3パックずつ持ち歩いている。
これを使えば俺の魔力切れよりも先にシントリエを倒せる可能性はある。
まぁ、分の悪い賭けであることに変わりはないが可能性がないよりはましだ。
「なんだそれ!?あきらかに大量のマナが含まれてるぞ!?」
「なんだ?マナの感知が生身でできるのか?」
シントリエの手にマナ測定器のようなものは見えない。
おそらくそんなものがなくても観測できるのだろう。
10年も魔法少女をやってればそんな技術も習得できるのか?
そんなことを考えつつ、俺はマナゼリーを飲みながらグミ撃ちを続ける。
「ちっ、あの変なゼリーが何個あるかわかんねぇ、ここはいったん引いてやる」
「へぇ、俺は続けても構わないけどね?」
「……顔はマジだな、こりゃほんとに10個とか持ってるかもしれねぇ」
こえぇなほんとに!?
これちょっとでも安心した顔してたらマナゼリーがそんなにないのばれてたんじゃねぇか!?
「はぁ……、今日はこのぐらいにしてやるが次はねぇ、その顔覚えたからな」
「もう二度と会わないことを祈ってるよ」
「はっ、そりゃあお前が魔法少女として活動する限り無理だろうな」
その言葉を最後にシントリエは去っていった。
「……ほんとにいないよな?」
俺は念のためしばらく警戒していたものの、またシントリエが現れる気配はなかった。
「何とか勝てたか……」
相手が逃げただけとはいえ、生き残れた時点で勝ちであることに変わりない。
俺は生き残れたことに安堵しつつ、家へと帰ることにした。
今回の使用魔法紹介
魔法名
ソイルニードル
攻撃力C
スピードB
使いやすさD
射程距離B
汎用性E
魔力消費 7
概要
基本魔法の一つ
土のとげを放出する魔法だが、威力だとファイアボールのほうが強く、牽制ならエアバレットのほうが使いやすいためあまり使われていない。
魔法名
アクアスピア
攻撃力C
スピードC
使いやすさC
射程距離D
汎用性B
魔力消費 12
概要
基本魔法の一つ
本来は水でできた槍を射出して使う魔法で、ソイルニードル同様の理由であまり使われないが、シントリエの場合はこれを手で持つことでファイアボールよりも一発の威力は少し低いが使いまわせる使い勝手の良い武器にしている。
小話
ちなみにこれ以降宇佐戯はマナゼリーをほんとに10パック持ち歩くようになる。
ようやく最初の魔法少女を出せたのでポイント乞食します。ポイントください。




