第17話 魔法つかえますん
ちゃんと推敲したつもりでも、読み返すとおかしな表現が残っていたりします。
「自分はなんでこんなこともちゃんと出来ないのだろう」という気分で一杯になりますが、完結だけはさせようって思って書いてます。
13話~16話まではまた直しました。
素人の投稿は、最初は否定的な印象から読まれるのが大半だと思います。ですから、おかしい描写や矛盾した描写があった時点でアウトだと、分かっていて始めたのに何故直らないのか自分に腹が立つことがあります。
帰り道で『半分凍った遺体』を入手し、私は足早に住処へと帰還した。身体が5アーム(≒m)にもなっていたものだから入るのが大変だった。
この遺体自体は、とにかく死因がかなりヤバいと言わざるを得ない。どんな生物が、どうやってこの修繕担当者を凍らせたのかが分からないのだ。
斬られたり突かれたりでは死なない私だが、焼かれたり凍らされたりは充分に利くのではないかという気がする。このまま南東部へもう一回行って試してくるというのは、自殺判定を食らう気もするのでやめておこう。用心しなければ。
とにかく今回の目的を果たすことにしよう。衣装を作るのだ。
折角だから金属繊維で作るも良いかもしれない。私は出るかどうかも不明なその新しい布地に想いを馳せた。遺体の手をジッと見つめながら、それに合う手袋をあるかどうかも不明な脳内に想い描いたのだ。
ジャジャ、ジャジャジャ、ジャジャっといつもとは違う感じで、体内にある何かが何往復もした挙げ句複雑に回転するような、そんな得も言われぬような不思議な感覚が私を襲った。身体の下の方から、ニュオっと鈍い光沢の何かが出てきたのは次の瞬間だ。
「これは! ひょっとして……完成品?」
身体の下の方から出てきたのは、鈍く金属の光沢があるものの、あり得ないくらいに非常に密な編み目を持つ手袋そのものだった。ツヤッツヤだ。
右の手袋が出来たので、遺体の左腕を見ながら想像力をフル稼働させてみたところ、右手の物と同じ左手の手袋も何とか作ることが出来た。色は全体的に濃い灰色と言ったところで、何となくではあるが錆びに強い印象がある。
他の物もこれで作れるんじゃないだろうか?
そう考えた私は、この新しい未知の繊維と、自動縫製機能とでも言うべき能力に夢中になってしまった。
立て続けにコートを作ってみる。これは既にある防水コートとソックリ同じデザインにしてみた。成功だ! 思った通りに、ちゃんとコートの形状でそれは出てきてくれた。
続いてブーツも両足の分を作ってみる。若干サイズが大きいのではないかという物が吐き出されてきたが、形状は普通で問題なく使用出来そうな代物だった。驚いたことに、金属なのは靴底とつま先と踵だけで他は全部が革の様な質感の素材で出来ている。
裁縫技能いらんなコレ。
しかし着るものが出来たのは良いのだが、今は重金属をタップリと体内に貯蔵してある状態なのだ。何とかしなければ。
ブロック状にして置いておくことは出来ないだろうか?
これは予想外に上手く行って、部屋の角に金属ブロックが積み上がる結果になった。ついでに身体の方も2アーム(≒m)にまで戻った。
最後にこの遺体を消化して後片づけを行う。私が殺したわけではないが何となく後ろめたい気になってくる。幸せに生きる為とは言え、何と業の深い生き物になってしまったのだろうか。
さて、より人間らしく装う為の準備はこのまま進められそうだ。
続いては、今回偶然に吸収してしまった例の『宝石っぽい何か』が私に何をもたらしたのか確認しなければならない。
今までは何となく分かった。今回も何となく分かるのだが、そうすると住処から出て別の場所で試すべきであろう。
私は念の為に3日間は大人しくしていることにした。
ヤクザ者なら根性もあるし、私の様な怪物的な容姿の者とでも、会話ぐらい出来るんじゃないかと思って油断してしまった。あれはおそらく騒ぎになっているだろう。
ユックリと休息を取った私は、オッサン達がその日の業務を終えて引き上げるのを待つことにする。
「おい、聞いたか? 地底伯クーネルだってよ。南東区のヤクザどもが震え上がってるらしいぜ」
「雷を出して、腕を振り回してな……10何人でもなぎ倒してから、犠牲者に話しかけるらしいぞ。おっかねえな……」
オッサン連中の噂話は貴重な情報源だ。
内容からして、おそらくは例の機械兵士の噂が、私のことも混ざった上で変形して伝わっているのだろう。
この国で『星占い』と言えば、それは貴族の嗜みである。機械ではあるが、その制御に相当に高度な技法が使われているはずだ。
それ故の『地底伯』という呼称なのだろうが、私のことも混ざって伝わっているから厄介なことになってきた。人間に化けている時に『クーネル』を名乗ることは出来なくなってしまったようだ。
それにしても地底伯とはまた大仰なあだ名だ。
現実は厳しい。前世では周囲に内緒で読んでいた『ネテミーナ・ワカランテ』先生の恋愛官能小説のようにはいかないのだ。
厳しいながらも純粋な性格の美女が、顔を合わせるのもキツいような人外と恋に落ちて、色々と大きい声で言えないようなマネをしたりはしないのである。
目的が金銭的なものである場合だけでも、何とか良好な関係が築けないものか、今の私はそういったこと挑戦しようとしている最中なのだ。
今聞いた話は保留ということにしておき、吸収した『宝石っぽい何か』がどういった能力を与えてくれたのか先に確かめに出かけよう。
私も機械兵士などと戦う場合には、同じような力を行使することはやぶさかではない。
私の予想が当たり強烈な『例のアレ』を撃てるようになれば、機械兵士のような存在と戦う場合には頼もしいことこの上ないに違いない。
私は新しい武器の試し撃ちを行うべく、適当な場所を求めて住処を離れた。
さて、ここまで来れば問題無いだろう。
ここは都市の南西部。朽ち木が流れ着くことが多い場所だ。住処から1.5ザトー(≒㎞)以上は離れている。
では早速精神を集中し、こう……目標に向か
ズゴォォォォン!!
「ワァァァ、アェェェ、出るの早いだろ!」
身体の一部をほんの少し伸ばし「出ろ」と念じながら撃つ方向を指し示した時だった。
私の身体中を何かが駆け巡ったかと思ったその時には、もうその雷撃は凄い速さで発射され、狙った地点は黒い放射状の焦げに覆われて真ん中が抉れていたのである。
使えそうなのは良いのだが、あそこの修繕などはどうしたら良いだろう? 機械兵士が放った時でも、焦げは広がったが床はあそこまで抉れなかった。
それに凄まじい大きな音がしてしまった。これは反響して相当に遠くの方まで届くだろう。
とにかくこれは最後の手段だ。私だってそう何回も撃てないだろうしな。今のところ疲労も無いが、こういうのは後からドバっと来るものなのだ。
私は新しい能力を得た。使いどころは悩むが、切り札としては申し分ないだろう。
申し分無いのだが、とにかくこの場所からは早いとこ離れないと危ない。
天界からこちらに送り返される前に、こっちにしておけば良かったなどと考えてしまったものだが、実際の威力を見れば「布にしておいて良かった」と言わざるを得ない。
それでも一応はこう言えるだろう。
「魔法……使えますん〔ゴボゴボ〕」
主人公【クーネル】の能力を整理
作成:伸縮性の高い布、半植物繊維の布〔糸〕
金属繊維の布〔糸〕と金属ブロック
土加工ブロック〔土質固化接着液〕
服やブーツ等の各種完成品
基礎能力:膂力、素早さ、器用さ、反響定位
赤外線視覚、穴掘り、保護色
人間の振り〔シルエットだけ〕
会話:人間、ネズミ、アリ
武器:溶解毒〔酸+毒〕、クモの糸、ハサミ
カマ、雷撃の魔法




