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かわいそう

作者: にこ

 今から一人の少年の話をしよう。


 彼は心優しい少年であった。どんな人だろうと優しく接し、動物や昆虫、植物に対しても思いやりを持つ人であった。いじめられている人を見ると必ず助け、捨てられている動物がいると必ず保護をして里親を探す。枯れそうな植物をみれば水をやるほどである。そんな彼の口癖は「かわいそう」であった。


 心優しい少年だが、万人に好かれているわけではなかった。偽善者、奇人、気持ち悪いなどの心無い言葉を投げかけられることもあった。それでも彼は決して行動を変えることはなかった。


 しかし優しい少年は、やはり人間である。心の器の限界は来てしまった。それも攻撃してきた人間に対して憤怒し、暴力でやり返すなどという、常識の範疇に収まらない方向へ。


 歪んでいく。優しいという概念が。優しいとは何か? なぜ誰にたいしても嫌がられるようなことをしていないのに攻撃されるのか。そもそもかわいそうな人をなくすことは自分の手で可能なのか。いくら考えても答えは出ない。が、彼は気づいた。いや気づいてしまった。僕が一番かわいそうではないか?


 かわいそう、これから逃げるにはどうすればよいのか。ただかわいそうを生み出す人間を排除するとしても多すぎて手が付けられない。ならば自分が死ねばよいのではないか?


 それから彼の行動は早かった。瞬く間に縄を手にしこの世から去ってしまった。


 悲しいお話だ。彼は、自分が救えるものの限度を知らず、次々と助けて行って限界を迎えてしまった。自分が救ってきた人にどれほど感謝されていたのか、彼が自分のために少しでも行動していれば。それをわからずにこの世を去ってしまった。それがどれほどかわいそうなことか……。


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