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焼きそば哲学

っていうかなんで私があいつに焼きそば作んなきゃいけないんだよ。


は?


意味分からん。


心の中でぶつくさ言いつつもインスタントの焼きそばは、フライパンの沸騰した湯の中に投入される。


いやいや、私がなんで作らなきゃなんねーの?

おかしくね?


ほぐれてきた麺を菜箸でかきまぜる。


家が隣で親同士が遠い親戚だからってさ、なぁんで私があいつのお昼ごはんなんか作って届けなきゃなんねーの?


湯が完全に蒸発する前に粉末のソースをふりかけて、さらにかきまぜる。


いやいやいや、おかしいおかしい。


ぱちぱちと焦げだした焼きそばを皿に盛りつける。


そのままそのフライパンに油を足し、卵を割り入れ目玉焼きを作る。


小学校卒業して以来、まったく話してないし、無関係な他人みたいなもんなのに、なんで私?


少量の水を入れフライパンに蓋をして蒸し焼きにする。


母さんが安請け合いして、パートの日なのに。

分かってたはずなのに!

最初っから私に作らせる気だったんだ!


蓋を外し、水分がなくなってから目玉焼きを焼きそばの上に乗せる。

焼きそばにラップをして青のりの小袋をそえた。


隣の家までたった数秒。


チャイムを押すと、すぐにめんどくさそうな態度で奴が出て来た。


高校は別なので、しばらく見ない間にずいぶんと背が伸びていた。


「これ」


ずいっと焼きそばの入った皿を突き出す。


「ありがとう」


ものすごく低い声でお礼を言われた。


私はその瞬間に想像してしまった。


もし、こいつを好きな人がいたとして、隣の家の女子にお昼ごはん作ってもらって届けさせていることを知ったら、すごーく嫌な気持ちになる気がする。

きっと自分がその役になりたいって切望すると思う。

だから私の今の状況は誰かにとってすごーく羨ましい状況なんじゃないかって。


「次からは出前でも頼んでよね」


知らんし。


意味分からん。


てか自分で作れよ。



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